04 巨人族のプレイヤー(主人公とは別人)
待ちに待ったAW。最初から種族は決めていた、そう巨人族だ。普通はMMORPGで圧倒的な強さを持つキャラなんて有り得ない。でも巨人族は別だ、バランスブレーカーだと思ってた、キャラ作成時の注意事項を読むまでは。デメリットが多すぎてちょっとためらう、これほどとは想定外だった。
巨人が駄目なら別キャラ作れば良いだろうし、まずは巨人を選択することにする。キャラの作成を済ませチュートリアルを進めていく。ゴブリンが穴から湧いて出て来たが、近寄るだけでゴブリンが逃げていく。
『巨人族は他の種族から恐れられているので、弱い種族は見ただけで逃げだすものもいるよ』
これじゃレベル上げできねーよ! 再度ゴブリンが出て来たので急いで近づいて殴ろうと試みるがフィールドの外に消えていった、どうすんだよこれ。
逃げ出す前に倒したいんだけど武器も無いからリーチも限られているし、魔法なんて馬鹿だから覚えても威力無いし、器用値が低いから生産も向いていないし物を投げても当たらない。これどうにかなるのか?
今度は豚人間と言えるような、顔が凶悪そうな豚で体は人型のデブなモンスターが二体出て来た。全身が黄土色でところどころに大きなシミがある醜いモンスターだ。
『穴からオーカー達が出て来たよ。モンスターの中には、味方の数が多いと逃げないタイプもいるよ。近づいて倒してみよう』
オークじゃないのか? まあいいや、これならいけるんじゃないか? 近づくと二体とも逃げていった。
『巨人族は他の種族から恐れられているので、弱い種族は見ただけで逃げだすものもいるよ』
うるせーよ妖精! 話の流れで言ったら、どうみても逃げないタイプの敵だろ今のは!
今度はケンタウロスのような上半身が人間で、下半身が馬っぽいモンスターが二体出て来た。
『穴からケンタオア達が出て来たよ。モンスターの中には、味方の数が多いと逃げないタイプもいるよ。近づいて倒してみよう』
ケンタオア達に近づいても逃げない。逃げねーのかよ! ここは天丼で、逃げるところじゃねーの? まあ良いけど。まずは軽く殴ってみたら、殴り返してきた。ケンタオア達は足を生かして素早い動きでこちらを翻弄する。一匹がこちらの注意を惹き、背後からもう一匹が攻撃してくる。いやらしいわ。
あえてオトリの敵を追いかけて、しばらくもう一匹は無視したところで急に振り返ってみると、こちらに突撃してくるところだった。パンチを相手の上半身に繰り出す、クリーンヒットして十m位吹っ飛んでいった。
一気に距離を縮めて倒れている敵に追撃をくらわす。後ろから攻撃されるが無視してストピングを行い続けると、倒れたケンタオアの姿が分解して細かいポリゴンになって消えていく。
直ぐに振り向き足を止めて殴っていたもう一体にもパンチを喰らわす。両手をクロスして両足?で踏ん張ったようだが、防御は役に立たず拳が相手の腕ごと胸にめりこむ。
足が止まっているので、今度は左右からフックのように連打する。成すすべもなくHPが削られていき、ポリゴンとなって分解して消えていく。
経験値百と百Gが入った。これがどれ位のレベルの敵か分からないから、貰った経験値とGが高いのか低いのかよく分からない。まあいいや、どんどんチュートリアルを進める。
:
:
『お前のような弱者は一撃で殺する事も可能だが、そんな虫けらを殺したところで何の価値も無い。見逃してやるから、早々と立ち去れ。“はい” “いいえ”』
デブな悪魔モンスターが出て来てムカついたので殴ると相手も殴って来た。一撃でHPが三分の一位持っていかれた、雑魚っぽいのにツエーな。こちらのダメージはそんなに入っていない、三回殴られて死んでしまった。でも全然一撃じゃねーじゃん。
何か腹が立ったのでアイツを倒せないか考えてみる。とりあえず装備が無いので装備を整えたい、課金ショップを確認すると巨人族専用武器ガチャがあった。三百円でNランクの武器が手に入るらしい。
いやらしいよね、初期武器を与えないで買わせるとか。まあ三百円だしいいか。ガチャを廻すとサンタマリアの棍棒+1が出た。二m位あるのでこれならリーチもあるし弱いモンスターも逃げる前に叩けそうだな。
しかも良さそうな名前が付いている、期待して棍棒の説明を読むがただの素材名でしかも木の堅さは余り固い方じゃないらしい、なんじゃそりゃ。まあ攻撃力がプラスされているだけマシと考えるか。
再び戦闘のチュートリアルを選択するとゴブリンが出て来た。走って近寄ると逃げ出すが棍棒を振り回しゴブリンの背中にヒット、直ぐにポリゴンとなって分解して消えて、経験値三と五Gと薬草一個が手に入った。経験値とG少なっ!
またゴブリンが出て来て逃げるものの、リーチが伸びたので一撃でポリゴンとなって消えていく。オーカー達もポリゴンになって消えていく。オーカーは一体で経験値五と十Gだった。
その後出て来たケンタオア達もさっきより全然楽に倒せる。やっぱケンタオアを倒すのが多少面倒だけど経験値が多くていいな。
先ほどのザーコを倒すには、まだLVと装備がちょっと足りないと思う。防具も課金ガチャで出してみる。ブラッドウッドの小盾とエンジュの籠手、ゴンサロアルベスの胸当て+1が出た。偶然にも重複する防具が出なかったのでこの辺で止めとく、同じ装備個所の防具が出ると勿体ないからね。
ブラッドウッドの小盾は、巨人サイズなので一m位ある。比較的固い素材らしい、防御成功時ダメージ無効化確率五%増加という良さげな機能が付いている。
エンジュの籠手は、手の甲から肘辺りまでをカバーする防具でこちらも固い素材らしい。籠手で防御した状態で攻撃するとダメージ十%増しという、こちらも当たりな気がする。
ゴンサロアルベスの胸当て+1は見た目がダサイ。ただの木の板を数枚縄で括り付けた防具だ。まあ布の服よりも防御力はあるから良いけどさ。
もう一度ザーコに棍棒で頭を殴るとダメージが五十程入った。ザーコの初撃は前回と同じでパンチを繰り出してきた。盾で弾いてみるとノーダメージ、さっきに比べれば大分いい。
ザーコの拳が光り、物凄い勢いでパンチを繰り出す。とっさに盾を出すが防御をこじ開けて胸に拳が届く。
「ガハッ」
痛くは無いんだけど、強いダメージを受けた人が吐きそうなセリフ? が出て体が固まる。引き続きザーコのパンチが顔面にくるのが見えるが体が動かない。届く寸前に体が動き、上半身を思いっきり左側にそらす事でパンチを避けることに成功。
そのまま、倒した体の反動で右廻し蹴りを行いザーコの横っ腹に入る。蹴った足はそのまま前に置き、盾を顔面にぶち当て重心を左前に持っていく、自然と体の右側が後ろに開くので、右手の棍棒を振りかぶって、斜め上から顔に叩き込む。
ザーコの頭の周りに★マークが複数個輪っかになった状態で回っており、ピヨピヨという効果音がして体がフラフラしている。
渾身の力を込めて棍棒を上段からザーコの頭めがけて打ち込むが、フラフラしているため相手の首筋にヒット。星マークは消えたが体が固まっているようなので、もう一度棍棒を右から頭に振りぬく。
ザーコの顔が大きく歪み、音とともに体が倒れる。ポリゴンになっていないので棍棒で何度も上から撃ち込み続ける。
『ヒール』
ザーコの体は緑色の光に包まれピカピカした演出が一瞬出て消えた。ザーコの手が足に伸び、足首を掴むとそのまま勢いよく立ち上がり、反動で今度はこっちがひっくり返る。
倒れたダメージが若干入り、体制を立て直す前に蹴りを入れられる。棍棒を振り廻すと距離を取ったので、急いで立ち上がり棍棒を構える。
ザーコが距離を一気に詰めて来たので棍棒で殴るが、ダメージを気にせずにそのまま体当たりされて体がよろける。腹に痛みを感じたと思ったら、直ぐに顔にも痛みを感じる。テンポのよい攻撃を連続で決められてまた死に戻りした。
チクショウ! 行けそうな感じがしたのにダメージが一定量を超えると回復するのか? 汚ねーな、ずるいわ。もしかして死なないんじゃないのアイツ? 関わっているだけ無駄な気がするから、普通にゲームする事にした。




