01 プロローグ、キャラクターメーキング
今日も家に着いたら二十二時を超えていた。え? そんなに遅くないだろって? いやいや、もう四十七歳だし、そんなに頑張れないって。
録画していたアニメを見ながら、冷凍していたご飯とお惣菜をレンジでチンして食べる。いつも夜遅くに食べるからドンドン太る。いや本当は関係なく太るんだけどね。仕事のストレスで、日中も何か食べながら仕事しないと正直やってられない。
固定給の契約社員だから残業しても収入は増えないし、仕事の内容はクソだし、請負契約なのにやっている事は実質派遣だし、一番クソなのは今働いている現場の会社だわ、お客様に対する誠実さが全くない。ブツブツ。
愚痴を言い出すとキリがないが、愚痴を言う相手も居ないので、実際には頭の中で考えては、口からこぼれるのは、ため息か悪態くらいだ。あーあー金があったらもう働かないでずっと遊ぶんだけどな。
--- 三カ月後 ---
会社を辞め、中古の家を買って引っ越し。新型のフルダイブVR機も購入。うは、うははは。まさか宝くじが当たるとは思わなかった。これからはずっとゲームをして過ごそう。
いや、実際には多少の家事はするよ? 買い物や食事しないと死んじゃうし、洗濯だって三日に一回くらいはすると思うし、流石に一カ月とか掃除しなかったら、俺でも気持ち悪いもん。
さて、いよいよサービスインするVRMMORPG。Another World 略称AW。
『戦闘も冒険も生産も生活も出来るフルダイブVRMMORPG、ただし倫理規定を逸脱しない限り、いやごめんちょっと言い過ぎたかも、でも出来る方だと思うよ。あっやっぱそこまでは出来てないかも……』
というCMの謳い文句に滅茶苦茶期待が高まる。しかもフルダイブですよフルダイブ、うひうひひひ。今まで最新型のフルダイブ装置なんて、ちょっと高いから買う勇気が無かったけど、生きてて良かった。さあゲームを始めよう。
『ようこそAnother Worldへ。まずは、あなたのキャラクターを作成しましょう。種族を選んでください』
人間、妖精とか、亜人、の3つの候補が表示されている。意外と少ないね、ていうか“妖精とか”ってなに“とか”って。
“妖精とか”を選択すると、ドワーフ、エルフ、サラマンダー、シルフ、ノーム、ヴォジャノーイ、ウンディーネ、ルサールカ、クー・シー、ドラゴニュート、鬼と表示された。聞いたことが無いような種族があるけど、まあいいや他もみてみる。
亜人を選択する、獣人、巨人、人魚の3種類。こっちはもっと少ない。でもムフフ、人魚を選択。上半身が人間で、しかも半裸で胸が露わになっており、下半身はイルカの下半身に鱗をつけたような、想像した通りの男性が表示されている……。
性別を女性にすると胸は当然隠れています。まあそうだよね、注意事項があるので読む。
『人魚は陸上での移動が制限されます。そのままでは殆ど移動できません。ピチピチ跳ねながら若干ランダムな移動になります。移動の際は若干のダメージを受けます。変身することで二足歩行も可能ですが、動きが遅くお勧め出来ません』
誰が選択するんだよ! なんで作った! まったく。巨人を選択する。巨人らしいけど、比較するものが無いから大きさが分からない。こちらも注意事項があるので読む。
『巨人は体力、攻撃力、防御力が高く、一対一の物理戦闘では比類なき強さを誇ります。
ただし、大きいため敵からの攻撃が当たりやすくダメージを受けやすいです。他種族用の武器や防具はサイズが合わなくて大抵装備出来ません。
また各種道具の利用にも制限があります。例えば一般的な薬草は一個では効果が薄く、大きさに比例して複数個服用しないと回復量が少なくなります。
知力、魔力が低いため、魔法を覚えても威力が低くなり、魔法攻撃には非常に弱いです。また魔法道具の利用にも制限が掛かります。
器用が低いため生産に向きません。また遠距離攻撃が当たりにくいです。
普通の村や町の建物では、体が大きすぎて建物の中に入れません。なので冒険者ギルドも巨人村以外では第三者の手助けが必要になります。
巨人族は他種族に恐れられているため、見ただけで逃げ出す弱い種族のモンスターもいます。また、敵を倒して得られる経験値が他の種族より低くなるためレベル上げが困難です。本ゲーム初心者にはお勧めできません』
……もういいや。獣人を選択する。犬、猫、馬、猿、鳥、獅子、虎、牛、河馬、象、……。五十個位選択肢がある、獣人は人気なんだね。
犬を選択すると更に候補が表示される。ドーベルマン、ダックスフンド、ポメラニアン、ボクサー、ミニュチュアプードル、スタンダードシュナウザー、ジャイアントシュナウザー、ジャーマンワイアーヘアードポインター、ジャーマンショートヘアードポインター、グレートデン……二百種類以上はありそうだね。
猫を選択しても同じように多数表示され、猿でも数十種類出ていた。正直見た目はあんまり気にしないから、ゲームを進めるのに楽な種族が良いな。
『どんなプレイスタイルにしたいのかな? それに見合った種族を教えてあげるよ』
小さな妖精が飛んできて話しかけてくる。そりゃそうだろうなこれだけ種類があったら、全部見てたらニ、三日位掛かりそうだし。
「魔法が使えて、何らかの生産が出来る感じで。というか生産ってどんなもんがあるのですか?」
ゲームの事前情報が殆ど出ていないので良く分からない。
『魔法を使うならエルフがお勧めだね、育て方によるけど魔法属性に左右されず多数の魔法が使えるよ。魔法属性に偏りが出るけどその分特定領域に特化したウンディーネやサラマンダー、シルフ、ノームも良いね。人間もエルフ程じゃないけど平均的に魔法が使えるよ。
生産は人が手で作れるものは大抵作れるよ。ただ、詳細はあんまり教えるとつまらなくなっちゃうから、何をしたいかによって案内するよ』
「うーん、そう言われてもな。例えば家とか作れても需要が無さそうな気がするし、作るの大変そうだし、やっぱ簡単に作って売れるのが良いよね。それでいて需要が一定数あり続けるようなものかな」
『手順が簡単って話になると薬学は薬草とかHP回復ポーションなどが作成出来るし、素材も簡単に手に入るから序盤は進めやすいよ。料理も素材が簡単に手に入るし序盤から進めやすいよ。需要はちょっと予測できないから回答出来ないな』
「他の人達だけど、どんな種族や生産スキルが人気があるのですか?」
『既にキャラクターを作成した人の中で、一番人気はドワーフで鍛冶を選んでいるね。種族に関係なく薬学と料理も人気だね。
スキルを覚えれる数と一度に装着できるスキル枠に限度があるから関係のあるスキルを最初は選んだ方が良いね。
外したスキルは熟練度が入らないけど、今まで覚えたスキルは利用出来るよ。再び装着すればスキルの熟練度が入るようになるよ。将来職業に就くとスキルレベルの上限があがるよ。職業に応じて活用できるスキルレベルの上限は変わるから注意してね』
「なるほどねえ。魔法使いたいし、薬学が人気だっていうし、エルフで薬学は無難みたいだからそれにしようかな」
『名前、性別、容姿、パラメータ、スキル、を設定してね。名前は他の人と重複しても別途シリアルキーが付いているから好きな名前を付けられるよ。パラメータの初期値はランダムで決定するまでは何度でも選べるよ。最後にボーナスポイントを割り振ってね』
「名前はエルフでいいか。容姿はランダム。パラメータはランダムだから良い目が出たらでいいや。いや、待て待て、MMOなんだから面白い名前の方が良いな。うん面白い名前を考えよう」
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『ゲームにログインして三時間が経過しました。健康のためにあと一時間以内にログアウトしてください』
全然面白い名前が思いつかない、絶望的にセンスが無い事が分かった。最終的に好きなアニメから拝借してモジル事にした。パラメータも粘ったけどMAXって感じには、今一歩及んでない気がする。
見た目は基本ランダムで設定したが、スラっとしたイケメンだと感情移入出来ないので、肉付きをマックスにして、腹はつぶれた大福みたいなぷっくりした感じにした、とてもエルフっぽく無いしこれはいいぞ。
さてこのままじゃ一生ゲームが開始出来ないし、ログアウト時間も迫っているので、そろそろ始めるとするか。
「あああーでもスキルを選べ切れてない、薬学と採集はセットで、あとは、あとは」
『スキルはスキル枠がいっぱいになるまで、チュートリアル中はいつでも覚えられるよ。ゲームを開始してからでも冒険者ギルドや魔法ギルドなど、色々な場所で覚えられるから先にチュートリアルを開始しても大丈夫だよ』
思わず漏れた独り言に、妖精がアドバイスしてくれる。
「おおー、じゃいいか。チュートリアルを開始したいのですが」
『準備はOKかな? じゃあチュートリアルを始めるよ』
妖精にOKと答えると、画面が真っ白く輝き、草原に移動した。
読んでいただきありがとうございます。
あとがきで、ちょこちょこ話のネタを解説する事があります。毎回じゃないですよ。
というのも本文で分からないような書き方しているから、こんな事になるんですよね。
つまらない冗談を言った後に、「今のどこがおかしかったの?ちょっと説明して」
「はい、ここが面白いつもりでした」って感じですかね。
と、書きましたが、今回は解説しません。
おかしいなと思ったら、心の中でツッコンでくれると嬉しいです。
ちなみに、知識はインターネットで調べているので、付け焼刃です。
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