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腐男子御曹司の彼  作者: 一条由吏
第1章 最終面接
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6.腐女子がありえない恋をする

「違うって! 優秀な人材だから獲得しているだけなんだ。勿体無いだろゲイというだけで放置するのは。まあ当時弱小だったうちの会社に入りたいという優秀な人材が居なかったことも確かなんだけどな。」


 なるほど、先生の設立した派遣会社が急成長したのは誰にも開拓されていないスカウト場所があったからなのか。












「次は観光バーだったな。」


 観光バーって何だろう。ニューハーフのショーパブとは違うってことよね。


 新たなゲイ知識習得は萌えが増える可能性が高いから大切。


「違います。ニューハーフのお姉さまたちに可愛がって頂いた話です。」


「ちっ。覚えていたのか。」


 話を逸らせたつもりだったらしい。だけど、そんなオイシイ話を聞き逃すわけにはいかない。


「さっさと白状する! 腐女子は女の娘(おんなのこ)じゃありませんから、下半身事情でもご褒美なのです。」


「お前なあ。そこまで言うか。ホント女捨ててるよな。」


「BLを実践・検証できる先生ほどじゃありません。」


「ははは。まあそうか。だけど、そんな色っぽい話じゃねえんだ。ベッドインしたけどピクリともしなかったという情けない話。あのときは落ち込んだな。俺は差別主義者だったのかって。」


 キヒロ先生は心底情けないという顔をする。


 詳細なところを聞いてみたいのに! 聞けないじゃない。


「EDじゃないんですか?」


「ソレ佐藤に喋った直後に言われた。」


 酷い。


 鬼畜だ。


 私も鬼畜か。でも直後に言われたらキツイだろうなあ。


攻め(タチ)じゃなかったというだけでしょ。受け(ネコ)という可能性もあるじゃないですか。」


「ソレも佐藤に言われた。」


 腐女子なら絶対言うよね。それに先生は私の受けキャラクタにピッタリ嵌っている。リバーシブルならまだしも攻めキャラクタは似合わない。


「それでまずは初級クラスの観光バーへ行ってみたんだ。」


「ねえ先生、観光バーってニューハーフのショーパブのことじゃ無いんですか? 観光バスのコースにも入っているじゃないですか。」


 都心だとバス会社の東京観光の終点に入っていたりするもの。これも一度は行ってみたいのだけど1人では無理よね。


「やっぱり、そう間違うか。違うんだよ。トランスセクシャルじゃないゲイバーでノンケや女性を含むどんな人種も入れるお店を指すんだと。」


「そうなんですか?」


「ああ、だからテレビで有名なオネエなんかが良くお店を出しているようだぞ。ガチなゲイは寄り付かないみたいだけど。」


「それ意味無いじゃないですか。」


 ガチなゲイが見たいし、お友達になりたいのに居なかったら意味が無い。


「ああ、ゲイがイチャついているのが見たい腐女子や腐男子にとってはそうだよな。でも考えてみろよ。ノンケを落としたいゲイにとっては絶好のハンティング場所なんだぞ。そう思えば妄想も膨らむだろ。」


 本当にそうだろうか?


「やっぱり、意味が無い気がします。ガチなノンケがガチなゲイに落されるシチュエーションが好きですから。」


 ガチなノンケは絶対寄り付かないよね。そんなところには。


「もうそこに気が付いたか。凄く早いな。俺は数回通ってやっと気付いたんだよ。だからバカ騒ぎをしたいときにしか近付かなくなった。」


「それでも、行って見たいですけどね。その辺りが腐女子(わたし)が入れる限界のようですから。」


「というわけだ。これ以上聞きたかったら、入社しろ!」


「酷い! ここまで来てお預けですか?」


「冗談だ。いつもこうやって腐女子のお嬢さんを誘っているから、つい癖で言っただけだ。」


「それ酷い。そんなことをしたら100%入社するじゃないですか。でも私の場合、5分5分だなんて、どうしてそう思うんですか?」


「あれなあ。俺がキヒロだとバレた時点で100%諦めていたんだ。普通、好きなBL作家が女性と偽っていたと知ったら、幻滅するだろ裏切りだろその作家の本、全て捨てるだろ。」


 あるあるある。腐女子仲間にも居るよ。そういう女の子。私はダンボールに封印するだけ。


「……うっ…確かに中学生のころに知っていたら。そうだったかも……。でも編集部の方針だったんですよね。性別どころかBLコン大賞の受賞式の写真も雑誌に載って無かった。」


 これじゃ、あのクレーマーや列島書房の編集部と同じ差別主義者じゃない。なんて恥ずかしいんだ中学生のときの私。


「だろ。そこで踏みとどまってくれたから、全て話そうと思ったんだ。」


「知らなかったら、どうなっていたんですか?」


「普通に幾つかの職場を巡るだろ。そうすると見守りたいゲイの恋の行方の一つや二つは見つけられる。おそらくSNSで報告してくれただろうから、その時点でキヒロとはバラさずにこちら側の人間として引き込んだはずだ。」


 なるほど目の前の萌えを手放してまで会社を辞めたいなんて思うはずがない。


 しかも、誰がゲイで誰がノンケか知る立場になる。そんなチートを与えられたら、妄想の対象が格段に広がるだろう。嬉々として手伝っていたに違いない。


「それでもキヒロ先生であることは告げないんですね。」


「ああ。二重生活が楽しくって手放せないだろうからな。」


「酷い!」


 酷い言葉を吐きながらも寂しそうな表情をする。


 その表情に胸がキュンとする。


 こんな先生、放っておけないよ。放って置けるはずがない。


 これって、恋?


 腐女子が腐男子に恋ができるの? ありえない。


「実際に楽しかったよ。同じジャンルの同じ仲間と交流するのは。」


 続く言葉に怒りさえ浮かぶ。


 どうしてっ!! そんなことを言うの!!!


「勝手に過去形にしないでください。ずっとずーっと付いていきますよ。嫌がられても。」


「だがこれで全部じゃ無いんだ。」


 ほかに何があるというのだろう。想像通りなら私が嫌う原因なんて何処にも無いはず。

そもそも腐女子の恋愛対象ってどんな男性なのだろう?

カップリングの対象にもならない男性を恋愛対象と見れるのかな(笑)


観光バーの勘違いは私がやらかしました。

知り合いに喋って間違いを指摘され大恥(笑)


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