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腐男子御曹司の彼  作者: 一条由吏
第6章 ハラスメント
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4.腐女子は浮気性なんです

「これはどういうことなんだ!」


 雑誌の特集記事を机に広げるとキヒロが声を荒げる。


「別にいいじゃない。家具デザインの著作権は株式会社カオルが持っているんだし、『ファニチャープラザ。ONITSUKA』と独占契約してないんだから。今年はキヒロに配当を払えそうよ。」


 会社設立の経験をしろというキヒロの勧めもあって、家具デザインのペーパー会社を設立した。この会社名は同人誌の死んだ相方の名前を使った。


 私が育児休業中に設計した家具デザインはこの会社の名義になっている。そして『ファニチャープラザ。ONITSUKA』と製造販売契約を結んでおり、1点売れるごとに定価の1割が入ってくることになっている。


「そういうことじゃないだろ。」


「もちろん、差別化は図っているわよ。NIKEA製は合板だし、価格も5分の1だもの。『ファニチャープラザ。ONITSUKA』の客層じゃあ買わないよね。」


 これがNIKEAでは売れたのだ。1つのデザインに付き1000を越えているからヒット商品と言っていいよね。


「だから何故、この家具がNIKEAから売られているんだ!」


 さらにキヒロが声を荒げる。相手するだけ無駄かな。相手に取って都合が良いことだけを説明する。


「『ファニチャープラザ。ONITSUKA』製も受注数が10を越えたのよ。これで店頭で売ってくれるわよね。」


 同じ家具が5分の1の価格でNIKEAにあるのに『ファニチャープラザ。ONITSUKA』の無垢木で作られた製品を買いたいという需要も高まり続けている。雑誌の特集記事の影響が大きいみたい。


「店頭で見せて欲しいという問い合わせも多いから置くよ。置くけど、なあどういうことか教えてくれよ。俺と別れて独立するつもりなのか?」


 結局、キヒロが折れる。初めから素直に言えばいいのに、キヒロも男という生き物なんだ。


「そんなことは考えて無いわよ。どうすれば、この家具が『ファニチャープラザ。ONITSUKA』でも売れるようになるかを考えて貰ったの。」


「誰に…なんだ。」


「賢次くんだけど。」


 あの後、何度か抱き締めてあげるだけの関係が続いている。母親の愛情に応えたいと性転換する意思を固めると共にどうしてもお礼をしたいと言ってきかなかったのだ。それで相談してみた。


 賢次くんのコネを使ってくれたらしくNIKEAとの契約では定価の2割が取り分になっている。雑誌での特集記事もプッシュしてくれたらしい。


「良く会っていると思ったら、浮気をしていたのか。」


「違うわよ。相手はゲイよ。私に欲望を抱くわけないじゃない。」


「ゲイでも女性とエッチだけできる人間は多いんだ。」


「そうなの? でも賢次くんは違うみたいよ。純粋に社長のことを愛しているわね。」


「何故。断言できるんだ。」


「何故って、抱き締めてあげても1度も手を出してこようとしないもの。」


 何度も確認して胸を触られたけど性愛によるものじゃなく。ただ何かを確かめるような感じだった。彼は赤ちゃんからやり直しているのかもしれない。


「やっぱり浮気したのか?」


「だから何でそうなるのよ。私は抱き締めてあげているだけ、あの子は可愛い子供よ。」


 キヒロが視線をナナメ上に向けて黙り込む。何かを考えているときの仕草だ。


「つまり梓は母親代わりに落ち込んでいた彼を抱き締めて慰めていたということか。そんな理由、俺以外なら納得しないぞ。」


 キヒロも腐男子だから母性本能があるらしく納得できたようだ。


「キヒロが腐男子だから行動したのよ。今にも壊れそうな彼を放置できなかったの。」


「確信犯かよ。全く勘弁してくれよ。」


「頭が可笑しい女の行動だと解っているわ。でも謝らないわよ。私があの場で出来る最善の手段だったんだもの。キヒロも彼とエッチすることで慰めてあげられたらしてあげたいと言っていたじゃない。それと同じことよ。私が腐女子じゃなかったら浮気宣言していると思うところよ。」


女性も入れるゲイバーで男性客と意気投合して酷く酔っ払いエッチしてしまったというエピソードは

結構良く聞く話です。

翌朝ベッドの上で相手を確認して後悔するらしい。

でも世の中にはトランスだけど性的にはストレートだったり

ノンケだけどゲイバーに出入りする男性も多いのでゲイバーだからといって間違いが起こらないとは限りません。

ゲイは女性ホルモンを打たないので欲望も人並みにありますので、ハメを外しすぎてお持ち帰りされないように

お気をつけてくださいね。


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