5.腐女子の胸はスッした
今日は、株主総会当日。決戦のとき。
「それでは、第1の議案。先日の取締役会の決定に基き、鬼束幸広副社長の代表取締役副社長の解任決議に対する会社提案についてです。」
そこから、会社側の説明が続き、議案に対する投票が行なわれた。
「議決権総数1万5340個、賛成8425個、反対1345個、棄権5570個。賛成多数で議案は可決成立しました。尚、鬼束幸広氏は今期任期満了つき取締役も退任されることになります。」
「それでは、第2の議案。先日の取締役会の決定に基き、鬼束千広社長の会長への昇格。鬼束玲子常務取締役の社長昇格。そして鬼束由広取締役の副社長昇格の件です。」
「異議あり! 私はその件を了承していない。よってその提案は無効にしてくれ!」
1人の男が異議を唱えた。由広店長の顔が見えた。
「何を言い出すの由広。私は貴方のためを思って。」
「それが必要ないと言っているんだ。ついでにこれが辞任届けだ。こんな会社には居られない。居たくない。」
「そんなもの受け取らないわ。受け取るわけが無いでしょ。」
「いいや。これは貴女に渡すものじゃない。ここに居る、弟の幸広に渡すんだ。」
「何を言っているの。今、株式総会で可決されたところを見たでしょ。会社と無関係な人間に渡してどうするの。絶対に受理しませんからね。」
「ああ、確かに受け取った。まだ、俺の代表取締役の登記は有効なはずだ。代表取締役の俺が受け取った以上、商法上会社には由広の取締役辞任登記をする義務が発生したことになる。」
「そういうわけで、第2の議案は無効だ。今まで通り、千広社長と玲子常務の体制でやっていってくれと親父には伝えておいてくれ。」
「そんなっ。」
本妻さんの肩が崩れ落ちる。まさに上げてから下げる。最も効果的な攻撃よね。
「尚、俺が解任されたことで株式会社鬼束家具と株式会社鬼束スタッフには取引先という関係でしか無くなった。そのため、当社で所有している『ファニチャープラザ。ONITSUKA』という商号およびデザインロゴの使用差し止めを要求する。」
「なんですって!!」
「聞こえなかったのか。株式会社鬼束家具の店舗に掲げている看板の撤去、今後いかなる媒体でも商号及びロゴを使用することを禁じると言っているんだ。但し、既に印刷済みのチラシなどに掲載されているものに関しては、使用料を請求するつもりだから、そのつもりで居てくれ。尚、ドメインアカウントについては、第1の議案が決議成立した瞬間に鬼束家具の名前が消えているから安心してくれ。」
「なによ。使用料を払わなければ、営業するなと言うつもり? ふざけないで、商号やロゴは我が社のものよ。ありえないわ。」
「当然だろ。商号の登記は株式会社鬼束スタッフでしてあるんだぞ。それにロゴをデザインしたのも我が社の人間だ。それから、アメリカ・イタリア・ロシアの家具デザイナーブランドの独占輸入権も我が社のものなので、今後一切、株式会社鬼束家具へ卸さない。他の国内の仕入先については、独占契約を行なっていないが、こちらも卸さないのでそのつもりで。」
「嘘でしょ。輸入家具は売り上げの4割を占めるのよ。それが売れなくなってしまうというの?」
「そうだ。株式会社鬼束家具の3店舗に置いてある商品も売れた時点で卸すという扱いになっているので、全ての商品を物流センターに引き上げさせて貰う。」
「えっ。売る商品まで無いの。明日からどうやって営業しろと言うのよ。」
「ちなみに言っておくが、我が社の社員は全員会社に残ることを快諾してくれたぞ。これは関係無いが、今後2年間で5店舗を開店させて15店舗体制にするつもりだ。」
「何処にそんなお金が……まさか?」
「そうそのまさかだ。株式会社鬼束家具の持ち株30%を担保に融資をしてもらった。だが、この株式も俺の解任と連動するように俺の手から離れるようにしてある。まあせいぜいライバル会社に渡らないように祈るんだな。決定するのはZiphone系列の銀行だから、近しい関係にあるNIKEAかもしれんが。」
「ちょっと、待ってください!」
私は鬼束玲子を呼び止める。
「何よ。梓さん、何の用なの。これから忙しいのよ。」
「これを見てください。」
私は彼女の前に1冊の手帳を取り出した。
「これは母子手帳……。そんなバカな。」
「というわけで多額の慰謝料が結審されて裁判所から命令が行くと思いますが素直に払ってくださいね。」
あまりの当然の結末を迎えてしまいました。
兄弟でタッグを組み大企業を資金源に・・・って展開では面白く無いので・・・あえて、捨ててみました。
如何でしたでしょうか?
次話は嫁姑の戦い(笑)です。




