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腐男子御曹司の彼  作者: 一条由吏
第5章 決別
30/40

2.腐女子は醜くても目が離せない

「ヘタレね。」


 1時間も経たずに総一郎さんが戻ってきてしまう。


「はあ・・・。」


「どうしたの? ため息なんかついて。聞いているわよ聡子さんから、この会社に入ってから10件もトラブルを引き起こしたんでしょ。こんなときこそ、頑張らなくてどうするのよ。」


「本気度が違うんだ。失えない恋なんだよ。分かっているさヘタレだってぐらいのことは。」


「待って! こんなところで恋話をはじめるつもり? どこかゆっくりと飲めるところに連れて行ってよ。」


 いくら腐女子だからって、ファミレスでゲイの恋話は聞けない。相方とBL談議をするときでもカラオケの個室を使ったもの。


「この時間からか。もう12時過ぎだぞ。それこそゲイバーでもない限り開いてない…ダメだ。今日はイベント日じゃないだから、女性は連れて行けないって!」


 ゲイバーと聞いてついつい顔に出てしまったらしい。


 しかし、女性お断りのゲイバーでもイベントのある日は入れるんだ。いいこと聞いたわ。


 このゴタゴタが終わってから、キヒロに連れて行ってもらおう。流石にキヒロとゲイバーに訪れた現場写真が週刊誌に載ったら大変なことになってしまう。


「そうだ。いいところに連れて行ってやろう。」


 そうして連れて来られたのは、新宿3丁目のあるビル。


 会員制と書かれた扉をくぐるとそこは別世界だった。


「あらいらっしゃい。珍しいわね。貴方が此処に来るなんて、聡子ちゃんは元気?」


 薄暗い店内には比較的長いカウンターとボックス席5つほど。


 カウンターには初老の女性と初老の男性。そして明らかに女装者と分かるスリムで背が高い男性が入っていた。


「貴女はおコゲね。」


「分かるんですか?」


「わかるわよ。こんなところに来たがる女性はおコゲしかいないもの。」


「こんなところって…?」


「あらあら、総ちゃん説明もせずに連れてきたの? ここは女装バーよ。おコゲちゃんなら、粗相しなくて助かるわ。男性客にセクハラされたり、馬鹿にされたからって怒らないで楽しく過ごしていってね。」


「セクハラされるんですか?」


「そう、お酒を飲みにくる男性のお客さんも女装しにくる男性のお客さんもバイセクシャルが多いからね。ほら、向こうのボックス席のカップルなんか、抱き合ったりキスしたりし放題でしょ。そのノリで女性にも来るからね。」


 ボックス席には、男性客と泥酔してカツラがズレている女装客が縺れ合っている姿が見える。


 まさにイケメンに限るの真逆だ。非常に醜い。でも、腐女子からすると萌えの一種…かもしれない。無理よ。絶対に無理。


 そう思いながらも、目が離せない。変なところで『腐女子の性』で出てしまった。


「流石にキヒロの嫁でも、ここは来れないだろう。」


 存在自体は知っていたけど、どうしても来たいと言い出せなかったところのひとつ。最近はもっと明るくて『男の娘』になれるバーもあるらしいから、そんなところなら連れて行ってほしいと言えるけど、ここは流石に無理。1回で十分、ご馳走様っていうところ。


「ここは2階に女装をするところがあるんですね。」


 それでも恐いもの見たさで聞いてしまう。カウンターは階段を背にしているようで左奥の空間には調理器具が置いてあり初老の男性がせっせとツマミを作っていた。


 アルバイトに雇われている比較的可愛いと言える女装者はカウンターの下からお酒を取り出して、カクテルや水割りを作っている。


「そうよ。今、ひとり入っているわ。かなりのベテランなんだけど、久しぶりに来たのよね。2年ぶりかしら。」


「ここには、どういった方が来るんですか? やっぱり女性になりきりたい人。」


 ついつい、沢山質問してしまう。実際に女装している男性には聞けないだろうし、総一郎さんも女装歴があるように見えない。


「そうね。そういう人も多いし、男性客に綺麗と言ってもらいたいというのもあるわ。でも、本当の理由はストレス発散ね。その昔はお忍びで国会議員が来たこともあったし、大蔵省の官僚が来たこともあったわ。今、上で着替えている人も何処かの社長さんよ。」


 キヒロもストレスが溜まったら、来るようになるのかなぁ。


 いや無理か。腐女子も腐男子も妄想がストレス発散の手段だものね。


「ちなみに、この社長さんシッカリしたガタイだけど、笑わないであげてね。」


 ガチムチ体形の女装者さんか…早く見たいような、見たくないような。


「ほら、降りてきたようよ。」


 階段からヒールの音が響く。かなり手馴れた足取り、これは期待できるかも。


 ドキドキしながら、カウンター横の扉が開くのを今か今かと待ち受ける。


 ある意味、ニューハーフのショーよりもドキドキものよ。













「て…店長!」


 出てきたのは、由広店長だった。女装して厚化粧してもその顔の骨格は見忘れもしない店長の顔だった。


「梓さんに総一郎さん?」


 まだお酒が残っているのか理解できてない様子でキョトンとした姿に思わず、可愛いなんて思ってしまった。


「ほら、総一郎さん。今度はしっかりとエスコートしてカウンターに連れて来てよね。」


女装バーは1度行ったことがあります。

オカマバーのオカマさんと友達になって連れて来てもらいました。

おどろおどろしくて、まるで別世界(笑)


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