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腐男子御曹司の彼  作者: 一条由吏
第3章 偽装結婚
20/40

3.腐女子も女性だった件

お読み頂きましてありがとうございます。

「何をしてるんだ?」


 キヒロ先生が部屋に入ってきた。


「丁度よかったわ。今、ツカサさんから入社してきた経緯を聞いていたところなの。」


 彼女の名前は、方城(ほうじょう)ツカサさんと言うらしい。元の名前が女性でも通用することから戸籍変更は性別だけ変更したという。


「胸を揉みながらか?」


「そうよ。こんな機会は滅多に無いでしょ。この大きさや形が先生の好みなのかぁ。」


 大きいなぁ。片手持て余すくらいでいて柔らかくて垂れない形。それがツカサさんが先生から聞き出した好みだそうだ。それに比べて私の胸ときたら……。考えるのは止そう。


「何を聞いているんだよ梓。」


 胸の大きさや形を聞かれた通りにしただけでも凄く好かれているってわかるよね。なのに先生ったら……。


「聞いたわよ。ツカサさんの胸を触って確かめて100点満点をあげたんですって?」


 先生にはもったいない。


「ははは。そんなところまで聞き出すなよ。」


「それにしてもツカサさんに酷いと思わないの?」


「ピクリともしなかったヤツか? 悪いと思ったから、結構頻繁にお店に通ったしバースディショーの日にはシャンパンを開けたし同伴でいろいろ食べに連れて行ったりもしたよ。」


 罪滅ぼしのつもりだったのかもしれないけど全くそこまでするから、性転換して女になれば抱いて貰えると勘違いしたんだわ。


「違うわよ。そうじゃないの。なんと言って謝ったの?」


「『ゴメン女しか抱けないみたいだ。』だったかな。」


 やっぱりね。そこは『男なら抱かれれるかもしれないけど。』と続けなさいよ。


「じゃあ何故、ツカサさんが性転換後抱いてあげなかったの? 何度もアフターの誘いを断ったそうじゃない。」


 胸を入れる手術後の激痛に耐え、更に性転換手術まで受けて拡張術の鈍痛にも必死に耐えたというのに、この男は。


「それでもダメだったら、余計にキズつけてしまうだろ。」


 それでもダメならツカサさんも諦めきれたかもしれないのに……。


「彼女が昼間の仕事をしたいと言ったとき、なんと言ったの?」


 夜の仕事をしているからダメなんだと思い込んだツカサさんが先生がLBGTとかに関係無く仕事を世話していることを聞きかじったらしい。


「『わかった。俺が一生面倒を見てやる。』とだったかな。」


 はあ……。たとえ、飲み屋だろうと女の子相手にそれを言ってはダメだろう。


「そんなことを言うから、先生が結婚してくれると思い込んでいたらしいわよ。」


 それなのに一向に抱いてくれないどころか、滅多に逢えなくなってしまった。そんなところへ先生に婚約者ができたと噂になれば、追い落とすために芝居もするよね。


「ゴメン。罪滅ぼしの意識しかなかった。どうすれば良かったんだ俺は。」


「そうね。1年くらい店に顔を出さなきゃ、良かったんじゃないかな。そうすればツカサさんも諦めたでしょう?」


 そうツカサさんに問いかけると頷く。彼女と先生には店しか接点が無いんだもの。携帯番号は知っていても営業の電話だと思われたくなくて1度も彼女から連絡をしたことが無いらしい。


「女の子は好きじゃなきゃキスも許さないものなの。心が女性のニューハーフも同じだと思うよ。」


「じゃあ、梓は俺のことが好きなのか?」


 結婚しておいて今さら何を聞いているんだろう。そこに話を持っていくか?


 まさか、言わないと分からないとは思わなかった。


「あたりまえでしょ。じゃなきゃ結婚しないわよ。」


「ええっそんな婚約だって……。結婚したの?」


 ツカサさんは私と先生の顔を交互に見比べている。


「ほら結婚指輪もしているし、住民票のコピーもあるわよ。」


 鞄から出して彼女に見せる。ここ数日は住民票のコピーを持ち歩くのが自然になっている。


「そんなユキヒロさんが栗本さんと婚約したって他の女性に話していたのに……。確かに聞いたのに……。どうして!」


「ちょっと、ちょっと。キヒロ、どういうこと? 誰かが間違った噂を流していると思っていたら、本人が流していたの?」

腐男子でもなのか、腐男子だからなのかトランスジェンダーの考えは

読めなかったのでしょうね。

腐女子は女だからこそトランスジェンダーの考えが分かると思います。


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