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腐男子御曹司の彼  作者: 一条由吏
第1章 最終面接
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1.腐女子としてはこれが正常

 バン…バンッ…バン。


 目の前で副社長が机を叩きながら腹を抱えて笑っている。


 アカン。・・・これは落ちた。











 鬼束家具が理想の職場と知ったのは専門学校に入学直後のこと、専門学校で仲良くなった友達が親元を離れ一人暮らしをするというので引越しの手伝いに行ったときのことだった。


 その友人の家はそのとき初めて知ったのだが田園調布の高級住宅地にあった。


 全く関係ないが同じBL創作女子仲間だった。


 道理で布教活動をするとこちらが心配するほど、いやこちらが羨ましくなるほどその作家の(どうじんし)を買ってくれた。まあそんなことはどうでもいいか。


 その引越しのときにお気に入りのカップリングを見つけた。


 鬼束家具では販売した家具の引越しサービスも行なっていて、粗雑な引越し業者に扱わせたくない家具をクリーニング後引越し先に持ってきてくれる。


 丁度、その家具の引き取りに現われたのが2人の男性と1人の女性だった。3人セットでその家の担当になっているらしい。


 引き取り後に新たに設置する家具のセールスのため、販売員らしき男性は友人の母親と話し合っていたが、もう1人の販売員らしき女性は友人とお喋りをしていた。


 どうもその女性が友人を同人の世界に引っ張り込んだらしい。


 友人と私は、その女性から男性2人の仲睦まじい姿を散々聞かされたのだった。


 その女性は2次萌えでガチムチには萌えを外していたらしいが、もちろん腐女子であることには変わりなく、苦笑しながらも次々とエピソードを披露してくれた。


 この理想の職場を見つけたあと、必死に家具のデザインを勉強しなおした。入賞は果たせなかったが家具のコンテストに応募して実績をつけて本気で挑んだ。


 まさか面接の場で妄想に耽ってしまうとは、なにをやっているんだろ私。












「ヒー……。こんな逸材は初めてだ。採用だな。」


 えっ。・・・採用?


「そうそう。入社の誓約書を書くときにも説明されると思うが当社は差別に厳しい会社だ。特に性差に当たる発言をすれば減棒も行なう。詮索は止めて頂きたいんだが性同一性障害(せいどういつせいしょうがい)で戸籍変更をした人間が居るんだ。」


 腐女子の中には本物のゲイはイヤだという人間も居るが私はLGBT(エル・ジー・ビィー・ティー) つまり女性同性愛者(レズ)男性同性愛者(ゲイ)両性愛者(バイセクシアル)・トランスジェンダーを差別するどころか大歓迎である。特にゲイカップルとは、お友達になりたい。


「元男性ですか?」


 思わず乗り出して質問してしまう。私とて腐女子。その手の知識なら本当に腐るほど知っている。知っているだけでこの目で本物を見たこともなくオカマバーにさえ入ったこともない。精々テレビの中だけである。


「ノーコメントと言いたいが元女性は知らないな。まあ相手が了承すればおいおい紹介するよ。」


 女性の販売員の中に元男性が居るというのか。


 新たな()えを発見して興奮している自分を発見する。


 やばいやばい。また鼻血を出してしまう。


 視線を感じてそちらに顔を向けると副社長が私の顔をジッと見つめていた。


「何でしょうか?」


 これだけのイケメン御曹司に見つめられても胸の高鳴りは無い。よし腐女子として正常。

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