↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐男子御曹司の彼  作者: 一条由吏
第2章 現場にて
12/40

2.腐女子は修羅場を知っている

「おい。栗本。いい加減にそのため息を止めないとクビにするぞ。」


「腐女子としての喜びを噛み締めているんだから、少しくらい良いじゃないですか。」


 昨日の夜、新人歓迎会で人生で初めてニューハーフのショーパブに行った。


 そこで見た40分にも渡るショーは全て見ごたえがあった。下手をすると芸能人が出るような即席の舞台よりも完璧な出来じゃないかな。


 演出は世界的に有名な映画監督のスギヤマ監督の愛弟子と呼ばれる女性の演出家が担当しているらしい。彼女はテレビ業界でも有名で昔地方で開催された万博の演出も指揮したことがあるのだという。


 さらにあのMC担当のニューハーフも顔の骨格の所為か声や喋り方まで人気グループMotyの『中田雅美』ソックリだったのには爆笑してしまった。


 彼女は性転換もしていなければ戸籍変更もしていないらしい。だが長く連れ添った旦那さんが居るということだった。いったいどんな人生を歩んできたんだか。


「違うだろ。妄想で勝手に創り上げた彼女たちの人生に宛がうキャラクタを考えているだけだろ。そういうのは終業後にしてくれ。」


 これだから腐男子の上司なんて困る。こちらの妄想などバレバレなんだから。


「これは『中田』様。ご来店頂きましてありがとうございます。」


 えっ。


 Motyの『中田雅美』さん。


 うぷぷぷぷ。やっぱり稲子(いねこ)さんにソックリ。


 この芸能人のことなら詳しい。興味も無かったしファンでも無かったのだが、後輩から良く聞かされていた。しかもその後輩と結婚したというから驚いたのなんのって。父親の噺家と友人だったらしい。


 私の癒やしだった後輩を取りやがって。このロリコン野郎め!


 心の中で毒を吐いておく。気持ちを切り替えて仕事仕事。


 だが横に視線をズラして顔が引き攣る。


 『西九条(にしくじょう)れいな』


 今一番注目されている映画女優。初主演の映画がその年の興行収入のトップを獲得し、新人賞を総舐め。しかもあのスギヤマ監督が映画の準主役として抜擢したらしい。


 芸能界では我儘な女優として嫌われているが、雑誌の記事では常に彼女にしたいランキングトップで数多くの男性芸能人と浮き名を流している。


 その中でも、『中田雅美』と後輩の父親の『お菓子屋十万石(おかしやじゅうまんごく)』の両名共にそのお相手として何度も週刊誌を賑わせていた。


 当時後輩はイライラした様子で見ていられない状況だったのを思い出す。


 だがこの女を振って後輩と結婚したと聞いたときは胸がスッとした。


 それなのに目の前の男は傍目にも分かるほどベタ惚れ状態でどんな細かいことでもこの女に確認をとっていた。


 まだこの女と続いていたというのだろう。裏切り行為じゃないかっ。


「店長。私は受付に戻っていますね。」


 女性が主導権を握っている場合、マニュアルでは男性販売員が1人で付き女性販売員はその場を離れることになっていたはず。不自然じゃないよね。


 とにかくこの場から逃げ出さなくては何を口走ってしまうか分かったものじゃない。


「ダメだ。お2人をベッドコーナーへご案内するので、『中田』様に付いていなさい。」


 そんなっ。


 だがその妙案もキヒロ先生にダメ出しされてしまう。


 先生はこのカップルを同等と判断したようだ。このまま2人を見続けなくてはならないらしい。私の神経が持つだろうか。


 私は付いていくだけで精一杯。彼らの会話も耳に入ってこない。


 顔も上げられず俯いてばかりいた。


「ねえねえ。このベッドなんだけど妊婦が使用する場合、柔らかすぎるよね。」


 私の思いも知らず、女が私に話しかけてくる。


 この女が妊娠しているというのだろうか。相手は隣の男性しかいないじゃない。


「はい。そうですね。」


 私は歯を食いしばってそう答える。


「でも、『れいな』さん。こっちのベッドのほうが高さがあって妊婦さんを運びやすそうだよ。」


 男が病院のベッドのような高いものを見ている。


「ダメよ。お姫さま抱っこするつもり? 大事な腰が壊れちゃうぞ。これくらいのほうが身体を起こしやすいし、支えやすいはずよ。ほら教えてあげる。」


 女がベッドの上で寝転がると、男に自分に覆いかぶさるように指示している。


 この女、こんなところで何をするつもり?


 女が男の首に腕を巻きつけると、そのまま男に身体を起こすように指示している。


 そして2人は起き上がり女はベッドに腰掛ける状態になる。そのまま男に羽交い絞めされる格好のまま、ゆっくりと起き上がり抱き締めあった状態になっている。


 男が鼻の下を伸ばしデレデレ状態になって醜い。


 いつまで私はこの2人を見ていなければならないっていうのっ。頭がおかしくなりそう!


「貴方!」


 そのときだった。ベッドコーナーの入口で大きな声が響き渡る。


 懐かしい後輩の声。でもその声に怒りが含まれていることも感じられる。


 まさに修羅場。浮気現場を押さえた奥様そのものの状況。


 このまま見続けなければいけないのだろうか!!

BL創作女子の修羅場ではありません。

これでは本来の意味を修羅場ですね(笑)


拙作「私の彼氏は超肉食系」を読んでいればオチは

およそ分かってしまいますよね。ごめんなさい。


ブックマークをお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。