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食べ歩きと薬草採取。

すいません。投稿順序を間違えました。

間違えて投稿したものは一旦削除させていただきました。申し訳ありません。

間違えて投稿したところまで連続で更新します。

 次の日、昼前に目が覚めた。

 完全に寝坊。

 でも、泣いてスッキリした。

 湯浴み着からワンピースに着替えて、階下に降りると、朝食を食べるか聞かれたが街を歩きながら食べると断って宿を出る。


 目元は多分、まだちょっと赤い。

 でも何も聞かないでくれる宿の人に感謝しながら、街のことを聞いて探索に出た。


 先ず向かったのは船着場。

 大きな河の船着場は活気がある。


 そうか、船で河を下るのもアリなんだ。

 今までは陸を行くことしか考えてなかったけれど他の方法があることに気付く。

 色々考えたつもりだったけど、やっぱり机上の空論なのね。

 思っていたよりずっと肩に力が入っていたことに気付いて笑いが洩れた。

 どうせ帰れないんだもん。

 もっとこの人生を楽しもう。

 私にはこの国の人間が大陸を出てまで追いかけてくる価値はない。

 油断はしないけれど、いつまでもピリピリしてるのもおかしい。


「よしっ!」


 今日は1日観光客になることを決めた。

 足りないものがあったことにも気付いたし、色々買い足すついでに買い食いもしよう。

 まずは、と船着場近くの広場へと足を踏み入れた。


 ヨーロッパのような石作りの街並みは王都に似てるが、こちらの方が背の低い建物が多い。

 広場の回りには屋台が出ていて、殆どが食べ物を売っている。

 河の近くということもあって魚が多い。


「これはなんですか?」

「この河でとれる魚にハーブをまぶして焼いたもんだよ。さっぱりしてて美味しいよ」


 匂いも美味しそうだったのでハーブをまぶしたと思われる魚をひとつ買う。


「はいよ。10銅貨ね」


 日本でいえば100円。でも、100円玉にあたる硬貨がないのでお金のやり取りは大変だ。

 それを少しでも楽にするために銅貨には真ん中に穴が開いていてそこに紐を通して持ってる人が多い。

 数えやすいし、財布にいれるよりも持ち運びが便利だからだ。

 私も80枚ほどは紐に通した銅貨を持っている。

 そこから10枚渡して魚をもらった。

 串に刺された魚をそのまま食べるなんて初めての経験だ。

 早速かじりつくと、さっぱりとした白身魚の味に濃厚なハーブとそれを引き立てる塩加減が絶妙だった。

 思わず、美味しい!と声に出せば、ありがとよ!と謂われた。

 昨日の夜から食べてないせいか、とても美味しく感じる。

 瞬く間に1本食べて、次は何を食べようかな?と屋台をめぐる。

 魔物の肉を串に刺して焼いたもの。

 匂いが堪らなくそそる。


「幾らですか?」

「8銅貨だよ」

「1本下さい」

「塩とタレどっちにする?」


 匂いがしてるはタレだ。

 迷わずタレを選ぶ。

 かぶりつくと甘くて、でも、ちゃんと食事の味。

 どこか焼肉のたれに似た味だ。


「どうだい?」

「美味しいです」


 これも食べきって、今度は何を食べようかと見ていく。

 この後、貝のスープを飲んで、鈴カステラのような焼き菓子を買って食べながら街を散策する。

 雑貨屋を覗いたり、小間物を見たり、古着屋にも入ってみた。

 雑貨屋では木のお碗を買った。

 コップだけでいいや、と旅に出る前には思っていたけれど汁物とお茶を同時に飲めないことに気付いて、軽くて持ちやすいものを買う。


 この辺は実際に体験してみないとわからないことだった。

 それを考えると食器類持ってくるべきだったと思うが後の祭りだ。


 市を開いている広場にもよる。

 ぶらぶら、と歩いていると鮮やかな緑色の鞄が目にはいった。

 手に取ると帆布のような丈夫な布で作られていて、ちゃんと裏地もついている。しかも蓋には蔦が刺繍されていた。


「それね、うちの子が作ったんだよ。まだ未熟だから安くしておくよ。そうだね。銀貨2枚でどうだい?」


 この世界は布がとても高価なので、その値段だと殆ど布代だ。


「…いいんですか?」

「あぁ、気に入ってくれた人に渡したいからね」


 そう言われたので銀貨2枚で買わせてもらう。

 でも、少し悪い気がしたので途中で買った飴をお子さんに。と渡すと嬉しそうに笑ってくれた。

 鞄を気に入ったこともあったが、リックしか持っていないので街歩き用に欲しかったのだ。


 これがあれば明日の薬草採集にリュックを持ってかなくていいかな。

 川に入るかもしれないならなるだけ軽装の方がいいだろうし。

 見張りのことが気にならない訳じゃないけれど、何も考えずに街を歩くのはこの世界に来て初めてだった。

 満ち足りた気持ちで私は部屋に戻って、早めに夕食を済ませて眠る。


▽▲▽▲


 次の日は早く起きて旅装へと着替えた。野営予定なのでマントもつける。

 持ち物は昨日買った肩掛け鞄。

 中身はコップとお椀と皿とお箸とスプーンにタオル。それと固形スープとお茶。


 水薬草が生えているのは半日ほど河を遡った支流の川の上流だというのでリュックは置いていく。

 リュックは大きいし、街歩きや、近場の探索なら大きな荷物は邪魔になるしね。

 森の中を歩くけれど足袋をつけて編上げサンダルを履く。これは川に入るから。

 ブーツだと荷物になるけど、足袋ならそんなこともない。

 薬類は必要最低限だけ身につけて他はお金と一緒に収納魔法の中だ。

 朝食を食べ、昨日のうちに頼んであった2食分の食事を受け取り、昨日の夜のうちに細工をしたリュックを預ける。

 今回はわざと荷物を縮小化はしなかった。


 さて、どうなるかな。


 意地が悪いとは思うが本当に見張られているかこれで判断できるだろう。


「いってらっしゃい。気をつけて」

「いってきます。荷物よろしくお願いします」


 荷物を預けて宿を出た私は入った門とは違う河の近くの門から出てひたすら河沿いを歩く。

 河を遡ると遠くに森が見えてきた。

 多分、あれが目的地。

 ちょっと、一休みと木陰で座る。

 身体で陰を作り収納魔法の中から果実水を出してコップに注ぐ。


「アイス」


 生活魔法で中身を冷やしてから飲むと、歩き疲れた身体に沁みる。

 やっぱり冷えてると美味しいよね。

 ついでに、と肩掛け鞄の中から取り出したようなふりをして、収納魔法の中から昨日買ったクッキーも取り出して食べる。


 うーん、美味しい。このクッキーと飴は街を出る前には沢山買おう。


 甘味がじんわり身体に広がって幸せを感じる。

 やっぱり甘いものはいい。

 堪能して、汗を拭いて、クリーンをかけて。

 よし!休憩終わり。

 あとは森を目指して川を見つけるだけね。


▽▲▽▲


 結論から言うと水薬草はあっさりと見つかった。

 森は王都の近くの薬草採集をしていた森より深くなく、歩くのに苦労する程ではなかったが、川に降りられるところが中々見つからなくて苦労している間に足を滑らせて水の中に落ちました、ハイ。

 おかげで川の中に入ることが出来て、見かけ上、クレソンにしか見えない水の中に生えていた。

 これが水薬草。

 薬草としてだけでなく食べることもできてさっぱり味だという。

 街にいる間に一度くらいは食べてみたいと思いつつ、水薬草を採る。

 収納魔法から出した革袋に川の水を入れて水薬草を入れるフリをしつつ、収納魔法に採れるだけ入れていく。

 勿論、根こそぎではない。

 残しておかないと次から採れなくなってしまうから、全部を採らないのがマナー。

 最後に肩掛け鞄に入れるフリで水薬草を入れた革袋を収納魔法に終えばおしまいだ。


 よし、後は下流に向かって歩きながら森に上がれるところを探そう。


 かなり川の中を歩くことになったが、早い時間に森を出れたので森の側で野営をせず街へ戻ることにした。

 おかげでその日の夜遅く、サーナの街の門まで辿り着いたが、門はすでに閉まっており、門の前で野営をする人達に混じって一夜を明かした。

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