6話 だいすきなおねえさま
弟視点
幼児なので全部ひらがなです。
まともな教育も受けていなかったので、通常より更に幼いイメージです。
読みにくいです。
ぼくは、ずっとかぞくがほしかった。
ぼくはきぞくのちをひいているけれど、おかあさまはめかけでずっとちいさなへやでくらしていた。
おとうさまたちはぼくのことがきらいで、よくいたいことをする。
おにいさまやおねえさまも、ぼくにひどいことをいったりたたいたりした。
でも、ぼくはしってる。
ぼくいがいのかぞくは、みんななかがいい。
ぼくだけが、なかまはずれ。
ぼくは、ぼくだけのかぞくがほしい。
なんどもなんども、おほしさまにねがった。
そのねがいがつうじたのか、ぼくはあたらしいおうちにすむことになった。
あたらしいおうちには、あたらしいおとうさまとおかあさま、おにいさまとふたりのおねえさまがいた。
ぼくはかぞくがほしかったから、とってもうれしかった。
ねがいがかなったとおもったんだ。
でも、ちがった。
あたらしいおとうさまはやさしかったけど、すぐにしごとでいなくなっちゃった。
そしたら、まえのおうちとおなじように、ぼくはなかまはずれになった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
そのひもおおきいおねえさまが、ぼくにおおきなこえでいやなことをいっていた。
きのうは、あたらしいおかあさまにいわれた。
ぼくはもう、かなしくてかなしくてたまらなかった。
おおきいおねえさまとあたらしいおかあさまは、たのしそうにごはんをたべているのに、ぼくはちいさなぱんをへやのすみでひとりでたべた。
いっぱい、いっぱいおねがいしたのに、なんでおねがいはかなわないの?
ぼくがわるいこだから?
ぼく、いいこにするよ。
だから、もうさびしいのはいやだよ……。
「本当に汚らわしい! こんなのが公爵家の屋敷にいるなんてっ!」
おおきいおねえさまがてをあげた。
また、いたいことされる!
《………………うるさい》
それはとってもきれいなこえだった。
あらわれたのは、ちいさいおねえさまだった。
おそらをとんでいて、とってもふしぎなちいさいおねえさま。
ちいさいおねえさまはふしぎなかみのいろをしていて、おにんぎょうさんみたいでとてもきれいだった。
「何よ!? あんたには、関係ないでしょ!? あんた、ちょっと顔がいいからって生意気なのよ!!」
おおきいおねえさまがおにのようなこわいおかおで、ちいさいおねえさまをにらんだ。
た、たすけないと、ちいさいおねえさまがいたいことされちゃう……!
《…………》
「何とか言ったら、キャアあ゛ぁあ゛……」
するとぼくがなにかするまえに、おおきいおねえさまがぴかっとひかった。
そしたら、ぱたっとおおきいおねえさまはねむってしまった。
ちいさいおねえさまは、すごいまほうつかいだってあたらしいおとうさまがいってた。
もしかして、ちいさいおねえさまが、ぼくをたすけてくれたのかな?
「あ、あの!」
どこかにいこうとしたちいさいおねえさまを、ぼくはおおきなこえでよびとめた。
《……何?》
「ありがとうございます!」
ぼくがたすけてくれたおれいをいった。
うれしい!
……ぼく、おねえさまとなかよくなりたい!
ちいさいおねえさまは、ぼくとなかよくしてくれるかもしれない!
「ま、まって!」
けどおねえさまはうなづくだけで、ぷかぷかといどうしていった。
ぼくはあわてておいかけた。
「あの、ま、マリアおねえさま!」
おねえさまにつづいてへやにはいると、ぼくはマリアおねえさまのことをおなまえでよんだ。
えへへ、なまえでよんじゃった。
ほんとうのかぞくみたいだ。
マリアおねえさまは、いやじゃないかな?
《……………》
おねえさまはぼくをちらりとみると、ぼくをいすにすわらせてくれた。
「あ、ありがとうございます、マリアおねえさま! おねえさまはとっても、すごいですね!」
すごいすごい!!
これが、まほうなんだ!
ぼくもおそらをとんだ!
すごい!
ぼくのマリアおねえさまはすごい!!
「お嬢様、ご所望のチョコバナナクレープです」
ぼくがめをきらきらさせていると、じじょのひとがおねえさまにごはんをもってきた。
いいにおい……おいしいのかな?
〈ぐーぎゅるるるー〉
ぼくはおなかがすいていたから、とってもおおきなおとがおなかのなかからきこえた。
《……………………》
「ご、ごめんなさい……」
ぼくははずかしくて、したをむいた。
はずかしい……こんなんじゃ、マリアおねえさまにきらわれちゃう……
こういうのを、いじきたないっていうんだ。
《……食うといい》
ぼくがしたをむいたままでいると、ぼくのめのまえにおさらがやってきた。
……ぼくにくれるの?
「ありがとうございます! マリアおねえさま!」
ぼくはマリアおねえさまにおれいをいうと、ひとくちくちにいれた。
!!?
おいしい!!
ぼくはむちゅうでたべた。
マリアおねえさまは、とってもきれいでとってもやさしい。
そのあとも、またごはんをはんぶんこして、いっしょにねむった。
おほしさま、ありがとう!
ぼくのおねがいをかなえてくれて!
ぼくはマリアおねえさまが、だいすきになった。