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悪役令嬢は、前世怠惰な魔法使い。  作者: 皐月乃 彩月
続章 そして、世界は大罪に染まる。
24/31

2話 お兄ちゃん、悩む。

 

大罪を冠する者達が、マリアのいるこの世界へと来ている────


僕はアリシュタとの会話を後回しにして、一先ずその所在を調べる事にした。


「悪いが、アリシュタ。説明より先にやる事がある。僕はここで失礼するよ」


僕はマリアを恐れないアリシュタに苦笑いを溢しながらも、やるべき事を成すために部屋を出た。


世界を滅ぼしたなんて……普通は恐れるところだろ。

それを嬉々として、褒め称えるなんて……。

こいつも本当に大概だよな……まぁ、僕も人の事は言えないけど。


当初、すぐに離れていくと思ったアリシュタとの付き合いも、予想外に長くなりつつある。


それに、王子や侍女もお父様も離れないしね……本当に、どうかしているよ。


僕はマリアを愛しているけれど、その異常性は理解している。

それを普通の人間が理解出来るとは、思ってもみなかった。


アリシュタ達に苛立ちを感じる事も多々あったが、今ではそれも落ち着いてきた。

彼等はマリアを傷付ける事はないし、僕の方がマリアに近しい。

そう思えば、ある程度許容出来るようになったのだ。


まぁ。マリアの邪魔になるなら、すぐに始末するけどね。


僕はマリアの部屋を出ると、長い廊下を抜け自身の部屋へと入った。

そして、部屋の隠し扉を開く。

中にあるのは、様々な魔術導具。

その中の1つを発動させた。


「……魔力や、霊力の異常に高い者は……いるな」


元々はマリアを探し出す為の、魔術導具だった。

けれど、用途はそれだけというわけではない。

この世界の地形図、そこに強い光を放つ点が7つ浮かんだ。

皆、人の器を超越した力を持つ存在だ。


「やはり、全員揃っているのか……」


僕はマリアの魔力なら同じ世界に居れば何処へ居ようと分かるが、他の6人が何れがどいつかなんて判別がつかない。


「……アリシュタや王子の手を借りるか」


あのイカれた6人の事だ。

前世同様、分かりやすく欲望のままに世界を荒らしている事だろう。

個人を特定出来れば、多少は対策もきくかもしれない。


「傲慢の女王は、何処かで建国でもしてるだろうから分かりやすいとして……嫉妬の悪霊は、厄介かもな」


あの6人がこの世界へと来ている。

方法が転生なのか転移なのかは不明だが、マリアと違ってあの6人は積極的に他者を害する。


「向こうも恐らく、マリアがこの世界に居ることに気付いているだろうから……色欲の聖女と嫉妬の悪霊は、早々にちょっかいをかけてくるだろうな」


本来、マリアを守る必要はない。

マリアがその気になれば、害する事が出来る者など存在しないのだ。

だから、放っておいても本来構わない事なのである。


けれど、僕はあの6人の事が嫌いだ。

あの6人は、僕よりマリアに近しい存在だ。

マリアと同じ過去を共有し、強大な力を持っている。

だから、マリアに近付けたくない。

触れるのも、言葉を交わすのも不愉快だ。


「邪魔なんだよね……さて、どうやってマリアから遠ざけるか」


殺すのは難しい。

マリアが直接出れば片は付くが、面倒臭がる事は目に見えているし、それでは本末転倒だ。

ならば、どうやって遠ざけるかを考えた方が簡単であろう。


「……いっそのこと、殺し合いでもしてくれないかな?」


そうすれば問題解決なのに、と僕はありもしない希望を独り溢した。





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