1話 びびっと!
続編です!
最終的にはシリーズ化したやつと、繋がってく感じになればいいなぁと。
後半視点変わります…最早、デフォですね。
《……ぅむ?》
ふと感じた違和感に、私は心地のよい眠りから目を覚ます。
昼寝を始めてから、まだ2時間も経っていない。
「……マリア? どうしたんだい?」
そんな私を訝しげに思った兄が、私の顔を覗きこんだ。
普段は1回寝たら6時間は眠り続けるから、不思議に思ったのだろう。
《今……前の世界から何かが来た……これは、傲慢か?》
私は異世界転生なるものをして、この世界へとやって来た。
先程、その世界とこの世界が一瞬繋がったのを感じた。
何か、びびっと来るものを感じたのだ。
「傲慢?……まさか、いや、……可能性は高いな」
兄は私の言葉を聞いて、何やらぶつくさ呟き始めた。
まぁ、この事は兄に任せておくか……面倒臭いしな。
「あの、マリアお姉様、傲慢って、何ですか?」
私が兄に任せて2度寝に入ろうとした時、私達の会話の意味が理解出来なかっただろうアリシュタが私にその意味を聞いた。
《……兄、説明よろ》
だが、私は眠いので兄に任せて眠りについた。
傲慢がこの世界に……傲慢ってちょいちょい絡んでくるから、確かうざかった奴の筈だ……多分。
また、面倒臭い展開になりそうだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「……お姉様、もう眠ってしまわれたんですか?」
僕はお姉様の頬に手の甲を重ねるが、一切の反応がない。
どうやら、本当に眠ってしまったようだ。
「それで? 傲慢って誰なんですか、お兄様?」
マリアお姉様ともっと話がしたかったが、仕方がないのでお兄様に事の子細を聞くことにした。
マリアお姉様やお兄様が、別の世界の前世を持つことは聞いたことがある。
けれど、詳しい話は聞いたことがなかった。
「……マリアは強大な力から、前世では怠惰の魔王と呼ばれていた。他にも6人、同等の力を持つ奴が存在していた。傲慢はその1人だ。傲慢の女王──頭のおかしい支配者。マリアにも度々絡んでた。まぁ、純粋な力勝負ではマリアに勝てる奴はいないからね。プライドが馬鹿高いから、自分より上がいるのが許せないんだろう」
「……殺しますか?」
「動かせる駒は幾らでもあります」
侍女と僕はすぐさま、その女王とやらを暗殺する算段を整える。
そこに躊躇いはない。
マリアお姉様だけが尊くて、他はどうでもいい。
不本意だけど、僕達四人は本当に気が合うのだろう。
「そうしたいのは山々だけど……多分、お前達じゃ無理だろうね。相手は紛いなりにも、神の領域に在る存在だし」
しかし僕達の案は、お兄様にあっさりと否定されてしまった。
「では、お兄様はこのまま放置するつもり何ですか?」
マリアお姉様を煩わせる存在を、生かしておくなんてあり得ない。
早々に、始末すべきだ。
「いや……だけど、女王より聖女や悪霊の方が、ね」
僕はその女王とやらを消せば済むと思っていたが、お兄様の話ではそれだけは済まないようだ。
「ソイツ等もこの世界に? そんな偶然あり得るんですか?」
流石にお兄様の話でも、首を傾げたくなる。
1人は偶然でも、何人もが同じ世界にいるなんて……いくらなんでも、偶然が過ぎる。
「あり得るんだよ、それが。アイツ等はマリアに近い存在だし、それに前の世界は多分……」
「多分?」
お兄様の歯切れの悪い言葉尻に、ついつい答えを急かす。
前の世界がどうしたと言うんだ。
「マリアは恐らく、前の世界を滅ぼしている。だからこそ、他の6人は引き寄せられたんだろう」
お兄様が明かした真実は衝撃的で、僕が予想だにしないものだった。
流石、マリアお姉様です!
世界を滅ぼすなんて、凄すぎますっ!!
そして僕は改めて、マリアお姉様の事を尊敬した。




