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16話 怠惰な令嬢、学園へ…行く?


この世界へ転生して15年目の春――

私は、学園に通うことになった。


《行かぬ》


今日は初登校の日で、王子が迎えに来たが私は布団から出ようとしなかった。


学園……何故そのような面倒な場所に……、自宅警備には必要なくないか?


「マリア……駄目だよ。家は、公爵家だから…… ほら……」


父はそう言って、私を布団から引きすりだした。

私の外見は5年前と対して変わらず、父に楽々と抱き上げられて鏡台の前の椅子に座らされた。


む、むぅ、父よ、何て非道な真似を!

裏切り者め!


「はいはい、家の寝坊助なお姫様はやっぱり可愛いなぁ。でも、15才以上のすべての貴族は学園に通わないといけないから、ね?」


くっ!

権力に屈したのか、父よ!?


「じゃあ、頼むよ」


「はい、後はお任せください」


父はニコリと笑うと、後は侍女に任せて部屋を出ていった。


「今日は髪を編み込みましょうね。制服姿も新鮮で、お美しいですわ!」


侍女はうっとりと目を細目ながらも、私の身支度をテキパキとしていく。

長く伸びた髪を繊細に編み込んでいき、後ろでお団子に纏めていく。


《侍女よ、私は体調が悪い。病欠で頼――》


「マリア様申し訳ございません。必ず行かせるように、旦那様から言いつけられておりますので……身の回りの事なら、私達がおりますので大丈夫ですよ。なに不自由なく、過ごすことが出来る筈です」


私が言い切る前に、侍女によって却下されてしまった。


流石だな、父。

私の考えを読んでいたとは……


「さぁ、準備が出来ましたよ。行きましょうマリア様」


侍女は私を車イスに座らさせて、王子の待つ玄関へと椅子を押していった。








◆◆◆◆◆◆◆◆










「不満そうだな、マリア?」


《当然だ》


王子の問いかけに、不満たらたらで答える。


私は1ミリ足りとも納得していないからな。

まぁ、そもそも授業は全て寝ている予定だが、どうせならベットでのびのびと寝たいのだ。


「心配しなくとも大丈夫ですよ、お姉様? そう仰ると思って、対策をたてていましたから」


《?》


対策とは何だ?

私を家に帰してくれるのか?


突如沸き上がった希望に、私は目を輝かせる。


「くくっ、残念だが一緒に学園には通ってもらうぞ。将来の為にも必要だからな。……だが、俺達がマリアを有象無象の前に晒すわけないだろう?」


王子が悪戯っぽく笑いながら、私と目を合わせて言った。


《??》


……何だ、結局通うことになるのか。

では、何が言いたいのだ?


「マリアお姉様には、病弱設定がありますからね。試験さえ受ければ、保健室登校が認められるように学園と交渉しました」


《何!?》


ナイスだ、弟よ!

保健室には、ベットがあるではないか!!


「勿論、マリアが眠る部屋に他人を入れる訳には行かないから、専用の部屋を用意させたぞ」


何と!

流石は王子! ビバ権力!

やはり、権力は素晴らしいな!


「勿論、学園での生活は私がバックアップしますので、マリア様は屋敷と変わらない生活が送れます」


おぉ! 完璧な布陣だな!

出来る侍女は、抜かりないな!






そうして、私の薔薇色学園生活が始まった。










◆◆◆◆◆◆◆








「ここが君恋の舞台ね!」


多くの貴族達が通う学園の門を、平民である少女がくぐった。


「やっぱり狙うは逆ハーよね! やっぱり、一番は王子かしら? 私が将来の王妃になるなんて、素敵!」


少女はこれから先の生活に、期待を膨らませた。


「悪役令嬢のマリアもいるけど、どうにか出来るわよね?」


少女はこの時、自分の考え甘いだなんて思いもしなかった。


「だって、私はヒロインだもの!」


ゲーム通りには、決して進みはしない。

悪役令嬢はゲームと違い、怠惰で残酷な魔王なのだから――

後、3、4話で完結です。

サクッといきます。

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