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CNW機関との戦闘開始、切り開かれる道

 二人と離れてしまい、柊と水瀬は二人で研究所の中に入った。見た目はかなり広い研究所。玄関から入ると円形の部屋があって、二人を囲むように27つのドアが並んでいた。


「この扉かな・・・?」


 柊はたくさんのドアのうち、一つを選んで開けて入った。すると同じような円形の部屋に出た。そこになぜか水瀬がいた。水瀬は柊を見て、目をパチクリさせている。二人とも一瞬理解しかねていた。


「えっ?どうして水瀬がここに・・・・・・?」

「レイ君、どうして別のドアから・・・・・・?」


 しばらく沈黙が続いた。そして、やっとのことで事態を理解できた。

 要するにこの部屋は、ハズレのドアを開けて入ると別のドアから戻ってしまうという仕組みらしい。何ともファンタジーな仕組みだ。もう初めの時のような驚きはしなかった。

 27つのうちいくつかはハズレだった。さらにはランダムで当たりハズレがころころ変わるようだ。


「どれがアタリなんだろう・・・?」

「レイ君、能力は使える?」

「そうか、その手があったね!」


 柊は早速能力を使い、アタリの部屋を探そうとした。刹那、イライラするような、もどかしいような、そんな違和感を強く感じた。そして、何も起こらない。


「どうして?能力(ちから)が・・・・・・出ない・・・?」


 柊は水瀬に視線を向けた。おかしい。能力が使えないなんて今までに無かったはず。


「どうしたの?」

能力(ちから)が出せないんだ」


 水瀬は驚いたような顔をした。この後、二人は自力で見つけなければならないことになった。



 柊と水瀬から無理やり離され、川原と花形はエレベーター式の電磁檻によってある場所へ案内された。そこは、闘技場のような場所。彼らがいたシェルターの闘技場とは違い、こちらはまったく何も無いといっていいほど殺風景だった。その割には壁や床、天井に幾何学的模様が並び、まったく別次元のような場所で、暗いのに明るく感じる。


「やぁ、久しぶり。二人とも」


 そう声を発した男は電磁檻に近づいていった。この世界のものではない服を着て、腰に剣を差している。青みがかかった黒髪は、外ハネで少し短いショートヘアだった。切れ長の目は鋭さを帯び、ハッキリと見開いていた。その男はどこか人を小ばかにしたような表情を浮かべていた。


「なんで俺たちを?」


 川原が問う。男が答える。


「もう一度、君たちに会いたいと思ってさ」


 笑みを浮かべた男は、腰の剣に手を添えた。


「その剣で何をするつもりですの!?」

「僕はそんなに信用されてないのかな」


 男は剣を引き抜き、ものすごい速度で電磁檻を切りつける。電磁檻はバラバラと崩れ、二人は自由になった。


「あなた、いったい何を考えているんですの?」

「やれやれ、意図も汲み取ってくれないようだね」

「これがテメェの意図だと?信じられねぇな!」

「ここから逃走しても構わない。その代わり、君らに相手してもらう」

「相手って・・・何を考えてるんですの?」

「お嬢様はいちいち質問が多いね」

「分からないことだらけですわ!」


 男はため息をついた。そして剣を二人に向けて言い放つ。


「クレア・セレイユは君らに勝負を申し込む。拒否は認めない」

「・・・・・・分かった。やってやろうじゃねえか」

「川原っ!?」


 花形は制止しようとするが、川原はクレア・セレイユを睨みつけたままだ。クレア・セレイユはこの世界で最強の剣士。まともにやりあえば負けることは確実である。何か策があるのだろうか。


「花形、手伝ってくれ」

「・・・・・・分かりましたわ」


 二人はそれぞれ武器を構えた。クレアは言う。


「あぁ、そのままじゃつまらないと思うから、能力とかなんか使って全力で来て欲しい。そのすべてを、僕は受け止めてみせよう」


 川原は瞳を黄色く発光させ、体中に氷を纏わせた。氷に包まれた双剣は以前にも増して鋭くなり、手の甲辺りには氷で作り出した円形の巨大な盾を出現させていた。背中からは氷の翼が生えており、彼の周りで氷の結晶がキラキラ瞬いていた。能力を強化させた、『第2の力』だ。

 花形も『第2の力』を出した。彼女の瞳も黄色い光を帯びて全身に旋風を纏い、常に浮遊している。その姿は風の妖精シルフィーのよう。


「君たちの力は綺麗だな。見入っちゃうよ」

「それはどうも。でもあなたに褒められても嬉しくないですわ」

「それは残念」


 クレアはおどけるような仕草をし、肩をすくめた。


「それじゃあ、始めようか」


 クレアは手始めに川原に向かっていく。川原もクレアとの間合いを一気に詰めた。そして一閃。川原の攻撃が外れ、クレアの攻撃は川原の氷の翼を切り落とした。その動きは一切の無駄を完全に省いたものだった。そして流れるような剣技を連続で繰り出した。川原はその連撃をかろうじて防いでいた。

 そこへ、横からクレアに向かってカマイタチが飛んできた。クレアは慌てる様子も無く、そのカマイタチを切断し、前方からの川原の攻撃を見事にかわし、すれ違いざまに切りつける。とっさの判断で防御に使った川原の氷の盾が真っ二つに切り裂かれた。すれ違ったクレアの眼前に花形の鉄扇が飛び込んでくる。クレアはその鉄扇を剣で巧みにいなし、同時に花形の体を切りつけた。しかし、花形は風と一体化しているため、彼女に傷をつけることは出来なかった。二人はクレアが間合いを離したのを見届けると、花形は突風を、川原は突風にのった氷の針の雨をクレアに向けて飛ばした。


「この極限の勝負、最高だよ!」


 クレアはその攻撃をすべていなそうとしたが、完全にいなし切れず、いくらかの攻撃を受けた。突風の中にカマイタチが織り交ざっていた為、服のあちこちが裂け、そこから血が垂れている。

 それでもクレアは怯むことなく、二人との間合いをまた詰める。川原が氷壁を作りだし、そこから氷のゴーレムを生み出した。その間、花形は鉄扇と風の能力で時間を稼いでいた。その花形が・・・・・・。


ズシャアァァッ


「くぅ、あぁっ!」


 花形が右肩を切られた。幸い、切り落とされることはなかった。しかし、その傷は深い。血は噴き出したが、止めどなく流れ出ない。彼女の能力で、傷口をとてつもない風圧で抑えているのだろう。


「ミサキ!?」


 川原は自分で止血して右肩を押さえている花形に声を掛けた。その瞬間、氷の崩れる音が響く。川原がそちらを見た時、彼の首には剣の切っ先が迫っていた。危うくのところで避けることが出来た。


「よそ見している場合かい?そんなに余裕があるのかな」


 クレアが不敵な笑みを浮かべ、もう一度剣を構えた。










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