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身近な闇、隣の道

 柊たちのいるシェルターの中の、誰も知らない階のフロアで、エルフの少女メルティルス・イルミネアリスは言った。その姿は怪我のために、あちこちが包帯で巻かれていた。


「スパイ任務、失敗しました。敵の中に、僕の能力が効かない者がいました」


 彼女の頬を汗が伝う。怪我をしたときの状況を思い出しているのだ。


「そのとき、科学者が敵の中にいました」


 上層部の一人が言った。上層部12人の老若男女が机に向かい、エルフの少女を睨めつけている。


「科学者とは?」

「沢渡コウスケです。2000年代から生きているようです」


 上層部がざわつき始めた。一人の人間が2000年近くも生きることは不可能なことだからだ。また一人別の人が言った。


「それは間違いないのか?」

「はい」

「そうか」


 そのとき、メルティルスの後ろのドアが開いた。そこに入ってきたのは・・・。


「サラ。話は聞いていたな」

「はい」

「前回調査に行ったきり、帰ってこないバカがいる」


 サラは思い出した。すべての討伐任務が未解決扱いになったとき、大勢の人に「原因を調査しに行く」と声を張った人物がいた。あの人たちは帰ってきていないそうだ。


「そこでサラ、お前に任務を言い渡す。奴等の計画を阻止せよ」

「はい、かしこまりました」

「そのときにメルティルス、お前も変装などして手伝え」

「はい」


 二人は部屋を出た。

 二人が部屋を出てから、上層部の一人が言った。


「さて、あたい達はどうすればいい?」

「そうだ。俺たちはどうするんだ?」

「急いては事を仕損じる。しばらくした後に、あの二人の報告が来る。それまではしばし待とう」

「それまでは甘んじていろと?」

「仕方がないだろう」


 さまざまな主張が飛び交う。


「これでは別の意味で、我々は能無しのようなものではないか」

「君たち、今ここで争っても何も起きない。ただ醜いだけだ」

「な、何だと・・・っ!」

「ふざけるな!敵対するCNW機関は得体のしれない組織なんだぞ!」


 主張がいつか罵声に変わり、互いに罵りあう姿がそこにはあった。そんな中で一人だけ、冷静に、高機能ノートパソコンを弄っていた女性が言った。彼女の声はかなり響きがよく、一声で全員の注目が集まった。


「みなさん、静かにしてください。検索してみましたところ、沢渡コウスケは確かに2037年9月、行方不明になっています。ただ、彼の役職が・・・・・・」


 女性は少し黙りこんでしまった。その顔には驚愕と畏れの入り混じっていた。


「役職がなんだ?」

「はい・・・・・・。『最先端機械工学教授』『最先端生物工学教授』『新種生物工学研究教授』『医薬学大学教授』・・・・・・等々の肩書きを持ち、いずれも天才的な才能を発揮しています。彼女たちの話では、その彼が黒幕と思われます」

「な・・・・・・っ・・・・・・!?」


 この場にいる全員が絶句した。呆気にとられて声も出せない。しばらく沈黙が続いた。


「それはどういう事だ?」

「それほどの者が今の時代にまだ生きていて、そいつがCNW機関の組織を立ち上げたなどと・・・・・・。信じられん・・・・・・」

「そもそも、それ以前に、彼はどうやって生き延びている?」

「2000年代で行方不明になったと言っていたが、その間、何をしていたんだ?」


 彼らの脳内で様々な疑問が浮かび上がる。様々に思索を巡らすも、当然結果は見えない。大半がもどかしそうに、うんうん唸っている。


「今考えても埒があかん」

「そうだな。今は奴らの計画を阻止せねばならない」

「あたいも賛同する」

「ここにいる者全員、一致したようだな」

「あぁ」

「おう」

「はい」


 全員で意見が一致したのを見届け、各自部屋を出て行った。その中で一人だけ静かに嗤っている者がいたなど、誰が知ったことだろうか・・・・・・。





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