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始まりの道

 西暦2037年東京の、とある高校に、そこら辺の学生と何らかわりのない一人の生徒がいた。彼の名前は 柊 レイ 。今朝も普段の生活を送っていた。事が始まるまでは・・・。


「柊!今日、転校生が来るらしいぜ。」

「えっ。今時珍しいな。」

「だろ?しかも俺、職員室でそいつみたんだぜ。後ろ姿だったけど、ありゃあ・・・」


 目がきらきらしているのを見て、柊は少しあきれた顔をした。


「・・・美少女・・・ですか・・・」

「そうだよ!俺、ぜってえ、アタックするぜ。」


 そう話しかけてきたのは、幼馴染みの 山吉(やまよし) ケンタ だった。彼は、美人や美少女に目のない男だ。時々ナンパをすることもがあるが、成功した試しがない。この前も振られたのに、懲りないやつだ。諦めないのはいいことだけどさ・・・。

そのとき教室のドアが開き、美浦先生が入ってきた。この学校の先生の中で、一番(特に男子生徒に)人気のある、女性教師だ。美人なのに、おっとり系の先生である。


「は~い、皆さん静かにしてくださ~い。今日は転校生を紹介しま~す。さ、入ってきて。」


そう促されて教室に入ってきたのは、一見大人しそうな女子生徒だった。肩までの淡い水色の髪に、右目が青、左目が赤という、変わった目の色をしていた。確かに美少女だ。


「水瀬 ユキネです。よろしくお願いします。」


そう自己紹介した後、柊は水瀬と目があった。そして、柊に向かって微笑んだ。『君を探していたんだよ』とでも言うかのように・・・。柊はその笑顔をみて、


『か・・・かわいい・・・。』


と思った。そんなときに、他の男子生徒がはやし始めた。


「すげぇかわいいな。俺、アタックすんぜ。」

「君には無理だよ。あの子は、この僕のようなイケメンが好きなんだよ。」

「ねぇねぇどこから来たの?」

「3サイズ教えて!」


そんな中学生みたいな男子生徒を見て、女子生徒は大半があきれかえっていた。美浦先生が呼びかけた。


「は~い、皆さん静かにしてくださ~い。」


美浦先生の鶴の一声で、一斉に静まりかえった。


「水瀬さん。あそこの席に座ってくれる?」

「はい。」


水瀬は、柊の後ろの席に座った。柊が水瀬の方へ振り向くと、水瀬はこういった。


「久しぶり。レイ君。」

「あ・・・ああ・・・ひ、久しぶり・・・?」


柊は戸惑った。なぜなら、彼にとって彼女は知らない人だからだ。『初めまして』でなく、『久しぶり』と言われ、彼女と関わった覚えがない柊は、『誰だったっけ?』とは言えなかった。


キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴り、一時限目の授業が始まった。一時限目の授業が終わったとき、水瀬は質問攻めにあった。


「ねぇ、あなた、どこから来たの?」

「どうして、ここに転校してきたの?」

「俺とつきあってくれよ。」

「3サイズ教えて!」


水瀬は少し困惑した顔をしていた。そんなときだ。


ズダダダダダダダダダダダァァァン

「ぎゃああああぁぁぁぁぁ」


突然、廊下の方から、銃声と悲鳴が聞こえてきた。教室の中にいる生徒全員が凍り付いた。一瞬何が起きたのか分からなかった。教室のドアに見えたのは、赤髪の男だった。そのまま教室に入ってきた。男の服は、返り血を浴びていた。


「邪魔だ。全員消え失せろ。」


そういうと、手に持っていた銃を片っ端から撃っていった。次々と生徒が倒れていった。柊と水瀬だけが残った。柊は恐怖に怯え、水瀬は男をにらみつけていた。


「小娘は残れ。・・・そこの小僧は消え失せろ。」


男がそう言い放ったとき、柊の中で何かが渦巻いた。その瞬間、体が勝手に、赤髪の男へと走って行った。気が付いたら腕を出していた。否、生物兵器のような刀を男に向かって、突き出していった。男は間一髪、横へ避けた。


「貴様っ!その腕は何だ!?」


男が言った。柊は、刀と化した腕を見た。柊は自分の腕に恐れおののいた。


「う・・・うわ・・・うわあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


柊の刀と化した腕は、彼の悲鳴に反応するように、うごめいた。そして、普通の腕に戻った。男はその腕を見て言った。


「くっ、0システムか。お前は生かしておけないな。」


再び銃口が、柊に向けられた。そして、撃った弾は柊の脳天に命中した。血しぶきが飛び、その場に倒れた。水瀬は倒れた柊を抱きかかえた。その目には、恐怖の色が映っていた。


「そんな・・・いやっ・・・死なないで!!いやぁぁぁぁっ!!!」


 水瀬がそういった瞬間・・・。


ヴヴヴッ


 突然、柊が体から光を放ったかと思うと、ゆらりと立ち上がった。頭から血を流して死んだはずの柊が、立ち上がったのだ。その姿は、まるで『ゾンビ』のようだった。


「なん・・・だと・・・!?」


男は死んだ人が蘇るという、その姿に冷や汗をかいた。


「れ・・・レイ君・・・?」


 水瀬も自分の目が信じられなかった。死んだ人間が蘇ることなんて、絶対にあり得ないことだからだ。


「くっ・・・!死ねぇっ!!」


ズダダダダダダダダダダァァァァン


男は、柊の体のあちこちに撃ちまくった。蜂の巣になったが、それでも倒れなかった。それどころか、ものすごい早さで傷がふさがった。柊の腕が、もごもごとうごめき、粒子砲のような形に変化した。柊は、その砲口を男に向けた。


「や、やめろ!!やめろぉぉぉぉっ!!!」


 水瀬も言った。


「レイ君、やめて・・・やめてぇぇっ!!」


 そんな声も今の柊には届かなかった。砲口からまばゆい光を放ち、男の姿は跡形もなく消え去ってしまった。学校の片方や、砲口先の住居もろとも・・・。

 その後、柊の腕はもう一度元に戻り、そのまま、また倒れ込んだ。柊は、意識が遠のいていくのを感じた。





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