最後の噺
掲載日:2026/05/10
最近買った小説
山場まで読み進めて
身体が浮わついてきたから
読むのをやめた
ふつふつ湧いてくるもの
最後の数頁にさしかかって
本を閉じれば決壊した
空が停電をおこして
僕の足が矛盾で空回りした
本を開けば
最後は閉じるから
それが雄弁に一番身近な本を笑ってた
その笑い声から逃れるように
新しいのを開き続けた
シャトルランも終盤に
ようやくシャトルランだって気づいたから
最近買った小説を
背表紙のあたりをカッターで切って
できた紙束を投げ捨てた
そらを明るくしながら
山場がやってきた




