家族に拡散する胸糞殲滅の輪
「ただいま戻った!」
「よくぞ無事で帰ってきました、クリア」
俺が家に戻ると魔力で近くまで来ていること察していたようで、母上が出迎えてくれた。
「その子は?」
「客人だ」
「ほう……。メリー! 客人だ! もてなして差し上げろ!」
「はは! 奥様!」
身内だけではないと認識すると皇国貴族の礼にのとって、口調を格式ばったものに変え、この屋敷唯一の使用人であるメリーを呼ぶ。
「こちらにおいでなさいませ、お嬢様」
メリーは音もなくその場に姿を現すと、猫耳の少女に手を差し出して招く。
見知らぬ大人に対して、猫耳の少女警戒を見せたもののメリーの皺だらけの顔に浮かんだ柔和な笑みを見て警戒を解いた。
メリーが少女の汚れた身を整えに行くのを確認すると、母上は再度口を開いた。
「してクリア。先の戦はどうであった」
「名無しの雑兵しか倒してはいないが、戦果としては皇帝のお墨付きがついた。スピアの戦闘記録の確認次第、殲滅報酬の1000万と報奨金の1000万を送られる手筈になっている」
「……殲滅報酬で1000万。国が出せる上限報酬とは。初出陣で大したものだ。我がヴィラン家の誉を戦で知らしめたな。よくやった」
「それとこれはヴィラン家ではなく、俺への個人的な報酬だが、男爵の地位と領地として暗黒平原を皇帝から与えられた」
「何!? 爵位に領地だと! クリアはまだ成人になっていないと言うのに皇帝は何を言っているのだ! 子供を政治に巻き込むつもりか!」
報酬については俺の実力を知っているだけあり、驚きはしなかったが、国王から爵位と領地をもらったことを言うと母上は目を見開き、怒声をあげた。
俺が貴族の暗闘に巻き込まれることを心配しているらしい。
本来なら野を駆け回っている年頃の子供がいきなりなんの後ろ盾のない状態で、権謀術中巡る貴族の世界に巻き込まれれば、誰でもこうなるだろう。
だが俺は中身は母上より前世を含めれば上だし、いざとなればチート鎧による武力やゲーム知識にある金策によって得られる財力によって、ねじ伏せることができる。
敵も胸糞も全部殲滅だ。
「心配するな、母上。俺には力がある。俺を信じてくれ」
「無論だ! 私はお前を信じる! だが敵が出て来たなら、私に伝えろ! 私が真っ先にそいつを叩き潰す!」
「ふ、流石だな、母上。 俺はあなたの息子で本当に良かった。 他の馬鹿に付け込まれる隙を作らんために明朝領地の掃除に向かう。おそらく客人は自分の進べき道を今日で決めるのは難しいだろうから俺がいない間、彼女の面倒を頼む」
「任せろ。 客人を私がこの土地に相応しい淑女に仕上げてやろう」




