放蕩王子暴走フラグ破壊
王族所有の一騎当千の精霊鎧が失われていたこともあり、王都でのクーデターは破竹の勢いでなされるかと思われたが、アルゴ王派に奴隷を肉の盾にする手を取られたアロンダイト率いる公爵派が攻めあぐね、泥沼の膠着状態に陥っていた。
各地でも度重なる失策で国を傾けたアルゴ王に見切りをつけ、公爵派につくものとアルゴ王派との争いが起こり、戦乱の火が上がっている。
「閣下、ご決断を!」
痺れを切らした副官に催促され、アロンダイトも理屈としては矢面に立たされる奴隷を切り捨てるべきだとわかっていたが、いまだに決心がつかずにいた。
切り捨てようと思うたびに領地にいる奴隷たちの顔が思い出されて彼にはどうしても、奴隷たちを踏み躙ることが出来なかった。
「おいおい、こんなので本当に足止めできるなんてマジかよ!」
奴隷の壁を挟んでアルゴ王派と公爵派が睨む中、軽薄な声が響いた。
放蕩王子と有名な第二王子のガラハッド・アヴァロンだ。
「奴隷ごときで戦いの手を止めるとは、大逆者の公爵殿は王国貴族の礼を知らんと見える! これは公爵様に王国貴族の礼を教えてやらんとな! 常に強者は弱者の屍の上に立たねばならんと言う礼を!」
「あああああ!」
ガラハッドは彼の1番近くにいた年老いた奴隷を火魔法で火だるまにする。
「貴様!」
アロンダイトが怒号を飛ばすと、ガラハッドは喜悦の表情を浮かべると笑い転げ始めた。
「これだからたまらんな! 他人の大切にしてる物をぶち壊すのは!」
ガラハッドは咽せるまで笑い続けると奴隷の少年に向けて手を向けた。
「奴隷は腐るほどいるし、あと1匹くらい構わんよなぁ」
下卑た表情を浮かべ、魔法を発動しようとすると、唐突に青ざめた顔をして尻餅を付いた。
「な、何だよこいつ!?」
目線の先には漆黒の翼を広げて、赤い瞳でこちらを睥睨する悪魔の姿があった。
「胸糞を俺に見せたな、貴様! 消え失せろ!」
「ぎゃああああああ!」
ガラハッドは炎の竜巻をぶつけられ、絶叫を上げながら空の彼方に吹き飛んでいた。




