宰相逃げ切りフラグ破壊
皇都の謁見の間。
宰相はいつもは皇帝の隣にいるのだが、今回は他の謁見者と同じように正面にいた。
「此度はヴィラン辺境伯と組み、王国のセイクリッド辺境伯を打倒してくれたようだな」
「皇帝よ、どうかお聞きくだされ! ワシはただこの国の禍の目を摘もうと! セイクリッドと手を組んだのはそのためなのです!」
「この後に及んでなんと見苦しい男だ」「陛下の怒りがわからぬというのか」
皇帝の働きを労うような言葉とは裏腹に、宰相は脂汗を流し、言い訳を募り、場の空気は冷え込んでいく。
「ほう、そうか。この国の英雄を誅殺を企て、儂の悲願だった停戦を無に帰すことが護国のためになると」
「あの者は危険なのです! 始末することに成功していれば、全て丸く収まっていたはずーー」
「貴様の丸く収まるとはこの国が滅ぶことを言うのか。我々が王国から侵略をされ、難を逃れておるのは、ヴィラン辺境伯という抑止力があるからだ。それを潰そうとするとは、貴様はやはり王国の間者と言うより他にない」
「滅相もない! ワシは皇帝に、この国に、忠を誓っております!」
「口ではなんとも言えよう。行動で示せ。貴様の忠が本当であるか、どうか」
「な、何を!?」
建国王がクーデターを企てた大逆者に死より重い罰を下すときに、言った決まり文句を聞き、宰相は青ざめた。
「もはや内乱状態である今王国に攻めねば、多くの犠牲が出るだろう。貴様が先陣をきり、皇国の誉を示せ」
「ワシを先陣をなど、あんまりでございます! 極刑よりも残酷だ! 敵地に一人赴き、嬲り殺しにされろと! ワシは先王の代より忠を尽くしてきたのですぞ!」
「宰相が出陣だ。お助けしてやらぬか」
「「は!」」
皇帝は宰相の言葉を取り付く島もない様子で無視すると、近衛騎士に命じる。
「皇帝! 陛下ああああ!」
宰相は断末魔のような叫び声を上げると、近衛騎士に引き摺られて、謁見の間から姿を消した。




