不意打ちフラグ破壊
『王国で内乱が勃発した。辺境伯領にも禍が広がる恐れがある注意されたし』
鞭打ちと払える分の賠償金を払わせて、釈放したら、絶対にこの報いを受けさせてやると言っていた王国貴族どもからなんの音沙汰もなく、三日ほど経つと内乱の知らせが届いた。
前の様子からしておそらくアロンダイト公爵の仕業だと思うが、ことがことなので、内乱の内情が知りたいが。
「おぼっちゃま。アナベル只今参りました」
そう考えていると、つい先日免許皆伝して、俺の専属メイドとなったアナベルが辺境伯領に現れた。
以前会ったころよりも凛々しくなっているように見える。
「来たか。一人前のメイドとしてメリーに認められたらしいな」
「はい。メリーメイド長からもう教えられることはないと。クリア様、もし王国の内情が気になるようであれば、王国に潜り、調べて参りますが」
王国に潜って内情を調べてくる。
どうやらメリーはとんでもない技術をアナベルに伝授したらしい。
メリーは謎の多い老メイドで、身の運びや仕事量が常人のそれを大きく乖離していると思っていたが、こんな技術を持ち合わせているとは思ってもみなかった。
「そうか。ならばちょうどいい。王国の馬鹿騒ぎの内情を調べてきてくれ」
「御意」
そう命じるとその場から消える。
「雷魔法による身体強化か。聞いたことはないが、メリーが秘伝している魔法と言ったところか」
動く瞬間に帯電しているのが見えたので、そこから推測を立てて、使ってみると、映る景色がゆっくりになり、窓の外にいる鳥の羽ばたきがスローモーション再生しているように見えた。
「これは加減を間違えたら死ぬな」
騎士たちに広めようかと一瞬魔が差したが、加減を間違えたらお陀仏なので、やめておくことにする。
ーーー
「クレラン宰相からヴィラン辺境伯を潰す協力要請ですか。今は公爵のクーデーターで皇国には来ないだろうと高を括っているところを狙うと。ここまでならば断ったかもしれませんが、クレラン派の貴族が辺境伯の味方のふりをして後ろから打ってくれるということですからね。これならばどれだけ強い騎士でも打てる。乗らない手はないでしょう」
ヴィラン辺境伯領と接する王国のセイクリッド辺境伯は城の玉座でほくそ笑む。
皇国に煮え湯を飲まされたヴィランが打ち取られる姿を頭に思い描き、酒盃を傾けて悦に浸る。
何者かにその様子を見られているとも知らずに。




