権力闘争フラグ発生
その日、王都に悪魔が現れた。
漆黒の翼を広げ、真紅の瞳で地に伏した王国の光ーートールを睥睨すると、トールと共にその場から消えた。
後に王国では災厄の起こる兆しとして、悪魔が姿を現すことが語り継がれていくことになる。
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「ヴィラン男爵。主に子爵の地位と大英雄としての証である大緋翼勲章を与えよう。報奨金は儂からの気持ちも含めて1億デスを与えたいと思う」
「大緋翼勲章だと!? 建国王パルパティが忠臣モルダークに送ったと言う伝説上のものではないか!」「王はその者を一番の騎士と認めるということか」「それよりも1億デスの報奨金だと! 前代未聞だ! 1人の騎士にそれほどまでの報奨金を与えるなど!」
雛壇の臣下たちから悲鳴のような声が上がる。
権力闘争を長年続けてきた者たちからしたら、ぽっと出がいい立ち位置に就いた上、力ーー財を与えられることが気に入らないのだろう。
「武功を示ぬ者が囀るな! この者以上のことができるものだけが異議を唱えるが良い!」
「全くですな。ダリア殿下」「力のないものほど僻みが強くてならんのお」「座してるだけのくせに威張り腐りよって」
「田舎騎士どもが!」
ダリアが喝を入れると、グール子爵を皮切りに辺境貴族が声を上げる。
こちらに向けてウィンクを送ってきてることを見ると、先の戦いで捕虜から解放したことがプラスに働いたようだ。
世には人から助けられても歯牙にもないものもいるというのに、律儀なものだ。
「姫は口を慎めと言ったはずだ。皇族の言葉を遮るのはお控えいただこう」
「クっ! 第一近衛騎士団長までも味方か!」
悔しそうな声をあげて、不平を言っていた臣下が引き下がる。
今の一瞬だけでも権力闘争のめんどくさそうな一端が垣間見えるな。
だからこそ爵位などいらんのだ。
「ほう、辺境騎士たちの信頼も得ていると言うのか。素晴らしい。儂は確信したぞ。ディアブロの土地を納めるのはヴィラン子爵主こそが相応しい。領地と共に辺境伯の地位を与えよう」
そんなことを思っていたらまた爵位が上がった。
そんな簡単にあげていいものではないと思うが。
二つ目の土地となるとさすがに人がいるな。
領地に戻ったらまず人材収集から始めるか。




