捕虜解放
領都に辿り着くと、生身の王国兵が怪我をした男たちを一箇所に集められているのが確認できた。
おおよそグール子爵領の騎士たちだろう。
敗北して一箇所に集められているようだ。
敗残兵の処理を任されている王国兵は鎧は持っていないようなので、放っておいてもいいが。
「見つけてしまったものはしょうがないか」
そのままにするには後味が悪いので、王国兵を風魔法で吹き飛ばし、皇国騎士に付けられた枷を風の刃で断ち切る。
王国兵が昏倒し、皇国騎士が解放されたことに驚いた顔をすると、その中で一番年寄りの中年の男が声を上げた。
「赤いスピア……。どうやって死の壁を超えてきた? このウェイン・グールを押し潰した王国の精鋭どもを」
ウェイン・グール。
こいつがグール子爵か。
どうやら鎧は失っているようだが、本人は無事らしい
『蹴散らしてきたに決まっているだろうが』
「あの多勢に無勢を倒してきだと!? その理不尽なまでの強さ! お前が血を流さずに先の戦いを収めたという無血騎士のヴィランか!』
『ふざけた修飾については知らんが俺はヴィランだ。こいつらで全部か? ディアブロ辺境伯領を落としにいく必要があるから俺はいくぞ』
「全部だが。待て、武勲で優れるディアブロ殿が無傷でこれほどの王国兵を通す訳がない何かが起きているはずだ」
『そうか。有益な情報に感謝する。貴様らはそこでアホの王国兵を小突いておけ。俺は先に行かせもらう』
ディアブロ辺境伯領に向けて、スピアを走らせる。
『マスター、ディアブロ辺境伯領では戦闘をした後の魔力の痕跡がありません。裏切りもしくはクーデーターによって無血開城が行われた疑いがあります』
「ほう、裏切りの疑いありか。裏切りは万死に値する。中にいる腐った蛆虫どもを城ごと吹き飛ばすことにするか」




