騎士育成と金策
「私、騎士になりたいです」
「ほう」
宴が終わり、家の者と領民総出で後片付けをしてから、メリーが出した茶を飲んでいると、ユノが畏まった口調でそう切り出してきた。
亡国の姫だったので、人への頼み方など命令口調でしか知らないはずだが、あらかじめメリーが話を聞いていて、入れ知恵でもされたと言ったところか。
盗賊に無理矢理口調を矯正されたという可能性もあるが、それは胸糞なので除外する。
皇国騎士となるのは、ゲームでのユノのストーリーをなぞらないので問題ない。
彼女はゲームでは騎士とは真逆の暗殺者だし、まず以ってして敵国の騎士なので、王国側の主人公たちの展開されるストーリーと合流することが難しい。
主人公たちと出会ったら、関係を築く前に容赦のない殺し合いに発展することは必至だ。
唯一の懸念として、この領地で暮らすよりも危険に遭遇する頻度が騎士の方が高く、死亡率もそれに比例しているが、ユノ自身が決めたことだし、好きにさせた方がいいだろう。
この世界は前世のような危険が極端にセーブされた世界ではないため、死はありふれたものだ。
もしその時になった時に後悔してほしくない。
ーーー
後日、デマキを使って皇都まで空間転移して、スピアと報奨金を回収すると、暗黒平原でユノに稽古をつけてやることにした。
前回は集団行動を義務付けられ、一両日飛行船を乗らなければならなかった分、デマキで1時間足らずで用事を終えられたことが非常に快適に感じる。
「皇国騎士となるのならば、鎧を動かせなければ話にならん! 基本操作を教えたはずだ! 今から動かしてみろ、ユノ!」
人が指導することを前提に作られているのか、二人分入るくらいの余裕は有にあるスピアの操縦席内で、早速ユノに口頭で基本操作を教えると、実践に入る。
「バランスを崩さないように全身に魔力を調整して送って歩く……」
一歩を踏み出すと、早速バランスを崩して、転けそうになったので、風魔法を起こして体勢を立て直し、魔力を通す操縦竿を操作して直立不動の状態に戻す。
「一歩を踏み込めたな! 貴様はセンスがあるぞ、ユノ! 次は反復して着地をする際にバランスを取りながら、二歩目に移行するコツを掴め!」
世辞では無い。
最初操作する時には一歩目を踏み込めないものが多い。
大抵のものは一瞬の魔力の均衡も保てずに、鎧が飛び跳ねて、地面に転がる。
ゲームのラスボスの騎士学園編では、関節をあらぬ方向に曲げ、鎧をダメにした奴もいたことを考えれば、上々である。
ストーリーでは奴隷から主人公を暗殺する暗殺者に抜擢されたこともあり、優秀なのだろう。
二度反復すると、二歩目を踏み込み、ゆっくりであるが、歩けるようにまでなった。
「騎士学校であれば特待生に取り立てられるレベルだ! よくやった! しばらく歩いて、慣らしたら、昼休憩と行くか!」
「わかった!」
徐々に思い通りに動かせるようになりテンションが上がったのか、元気よく返事をすると歩いていく。
この調子ならば、今日中には走って跳躍できるようになるかもしれない。
しばらく歩いていくと、突如地面から、金塊を背負った二頭身のサングラスをかけた鎧が現れた。
倒すと金塊を落とすゴールデンアクダイカンだ。
「あれは何?」
「金ヅルだ! ヤれ!」




