ヒロインと奴隷商合流フラグ完全破壊
「ヴィラン様、この度のことをなんと言ったら良いか! 周辺貴族が皆、目を背ける中、実際に動いて頂けたのはヴィラン様のみ! 儂はもう娘は戻ってこないとばかり!」
ここに人や村人をほったらかしにするわけにもいかないので、財と人を回収して領地に分配するために近隣の村から人手を呼んでいたのが、騎士団とのやりとりが終わるときて、今現在俺の前で村長が感動のあまり号泣している。
精霊鎧持ちの盗賊団にはかなり困らせられていたようだ。
周りの皇国貴族もこの土地の人間を救うために、わざわざ自分の領地を火の海にできるほどの強大な力を持った精霊鎧持ちとことを構えたいと思いたくはないだろうし、放置されてもしょがないところはあるとはいえ、この姿を見ると同情する。
とはいえ、このままここで泣かれ続けても、財や人の移動が進まなくなってしまうので発破をかけたほうがいいだろう。
「泣くな! ささっと作業を進めて、捕まっていた奴らを休ませてやれ!」
「はは! ヴィラン様! 永遠の忠誠を!」
村長は諦めていたとは言っていたが、前からこうして解放された時に向けて準備をしていたのか、引き連れてきたいくつもの馬車に人と財を各村ずつに振り分けていき、そのまま出発すれば直通で村に送り届けられる準備を進めていく。
あっという間に財と人が捌けた。
残っているのはどこにも振り分けられないものーーヒロインだけだ。
彼女は亡国の出身であり、この領地の村出身ではないため、どこにも振り分けられないのだ。
「村長、貴様のところはどれだけ余裕がある?」
「恥ずかしながら、盗賊団の連中にかなりやりたい放題されておったので、傾いております。今回盗賊団から取り戻した財も返済に消えるので、しばらくは厳しいかと」
この領地に村で任せたらいいと、思っていたが、この状態だと子供一人任せるだけでも酷そうだ。
最悪、状況が悪化すれば、口減しを行いかねない。
血のつながりのない子供などその最先鋒だろう。
そうなれば、奴隷として売られた先で暗殺者として育成されるというストーリーをなぞりかねないこともあり、せっかく救出したのに本末転倒だ。
状況によって即ストーリーフラグが復活する村はやめておいたほうがいいか。
「そうか。立て直すまで税を半分にしてやる。励めよ」
「おお! なんという温情を! あなたこそ領主の中の領主でございます! このご恩、ポラガス、必ず返させていただきます!」
村長のポラガスは涙を流すと、村人と財を乗せた場所に乗って、村に飛んで帰っていた。
様子からして、早速村を立て直すために尽力しに行ったようだ。
村がダメとなると、俺が取れる手段は、猫耳少女のようにヴィラン伯爵領で自立できるように援助することだけだ。
そちらのほうが俺としても奴隷商との合流を避けられ、ストーリーフラグの管理がしやすいが、ストーリー上において物語を動かすことに関して大きな力を持つキャラクターを近くに置くことは漠然とした不安がある。
できるだけフラグ破壊以外で関わらないのが良さそうだが、他にも手もないし、伯爵領で保護することで手を打つべきか。
「貴様! どこにも身寄りがないのならば、俺とともに来い!」




