量産鎧開発凍結フラグ破壊
盗賊団を壊滅させた後、後処理の手続きをしようかと思ったが、あらかじめ俺がすぐに壊滅させることを見越していたのか、もうすでに姫騎士ダリアから騎士団が派遣されており、盗賊たちを受け渡すだけで済んだ。
「ダリア様からの計らいで盗賊団の蓄えていた財については、こちらでは回収せずに、ヴィラン男爵、貴様の領地で還元していいとのことだ。生身の単騎での盗賊団撃破見事であった! 盗賊団が鹵獲していたという精霊鎧を発見した場合は直ちに報告せよ!」
盗賊たちを引き渡すと、足早に騎士たちは馬を駆って走っていく。
仰々しい皇国の国旗から見るに憲兵団ではなく、ダリア専属の近衛騎士たちと言ったところだろうか。
自分の警備を分けてまで便宜を図ってくれるとは、命を助けたとはいえ、よくしてくれ過ぎだろう。
王族なので一介の兵士から助けられる程度当たり前くらいの気持ちで身構えていればいいと思うのだが。
『マスター、精霊鎧個体名『ガブリエル』の復元処置完了しました』
騎士たちの姿が完全に見えなくころになると、デマキからガブリエルを復元したという報告がきた。
「川に沈めて二、三時間と言ったところか。早いな。バラバラになっていただけで、欠損パーツがなければそんなものか」
精霊鎧は同じ属性の微精霊の住む場所に置いておけば、勝手に修復されるので管理が楽で助かる。
『先ほど騎士たちが、ガブリエルについて回収したいという旨を言っていましたがよろしかったのでしょうか? 皇国に渡せば微々たるものですが軍備が改善されると思うのですが』
「渡したところで、軍備は改善されない。今の皇国の地力では戦いで破壊されて、王国側に回収されるのがせきの山だからな。一騎当千の精霊鎧が手に入ったとなれば、金と資材が馬鹿にならん量産鎧の開発も凍結もするし。渡すだけで厄介な火種が増える」
『開発の凍結……。国を滅ぼされる可能性も演算できないほどこの国の人間は愚かなのですね』
「この国の有力貴族の大半は皇国の財が量産鎧の開発に割かれていることに不安を持っている。雑兵の鎧に金をかけるより、自分の家お抱えの鎧を強化して、名声をあげたいというものばかりだからな。次はこのことも踏まえて演算しろ」
『承知しました。マスター』
こういうこともあり、デマキ含めて精霊鎧以上の鎧が見つかるのは非常に都合が悪い。
実際、ゲームでも火の精霊鎧は最初皇国で見つかったものの、王国に鹵獲され、弱い量産鎧しか無くなった挙句、ラスボスの出陣まで皇国は敗戦続きになっている。
量産鎧の開発が止まれば、どこかのタイミングで戦争が激化した時に一時的であれ、俺のいない戦場で敗戦し、ストーリーフラグが回収される危険性が高い。
ストーリーフラグを全て潰したい俺としては、その事態は避けたいのだ。




