俺には向いてないよ!異世界
「俺はだいぶ薄情だぜ?確かにあまり深い関係ではないがそう他人の死で悲しむ俺じゃない」
「お前が1番知ってるだろ、彼の死には選択とその薄情さが心を抉るはずだ」
精神系の魔法で夢のような空間に彷徨わされる、もちろんこの展開であり得るのは過去に自分がいじめから救わずに死んだクラスメイトの姿が映った。
記憶も忘れようと必死になったせいで朧げな光景が見える、見捨てて裏切るなんかではないしそんな最低な現場から合理的な理由で逃げただけだが、どうも罪悪感はユウガから離れずに付きまとう。
後悔とは違う無駄な感情が人生に水を差してくる。
「もう分かったから!仲間なってやるよ!」
「後悔しないように頑張らせてあげよう、自分から言うのも恥ずかしいが私の目標を達成させれば軽く世界平和は叶う」
「ただ初めに言うが、お前は何も分かっちゃいない!」
ライムにそう言うが全く分かっていないようだ、きっとライムの敵はアニメなんかで聞く世界征服がどうとか生贄が何だとかをしているのだろう、だがそれをやめさせると言うのは。
「何故だ?」
「どんな理由があろうと正義なんてのは一方の敵になるって言葉を美化したにすぎない、それを忘れず気に食わないものをぶっ壊していくってのも忘れるなよ!」
「ふっ、それは1番分かってる」
分かっていてもやめられない理由があるのだろう、それともそういうことはもはや考えていないのか。
「君は普通の人間が目を向けないとこに目を向けてしまった人の言う空気を読めないやつ、そう見られても仕方がない」
「空気を読むのは苦手でね、そんでお前の敵の数は?」
「大悪魔、モルテデモ隊、剣の英雄、他にもドス黒いものはあるが俺達じゃ手に負えんからこれだけだ」
まあ世界には様々な隠蔽された汚すぎる歴史や、信仰系のものが様々だ、それはどれも人が作り出したが人の手に負えなくなってしまったものだ。
少し不思議に思ったが魔王なんかは目標に入れないのだろうか?
「そしてこれらすべては繋がっている、大悪魔は差別されしデモ隊の味方に周り加護を与えた、そして剣の英雄は全ての命を例外なく救うことを正義とするから必ず邪魔になる」
「……」
これら全ては循環機能を保っているように見える、不整備といえどまだ動き続けているのなら放置していてもいいはずだ。
「そして大悪魔はデモ隊を使い一般人に少しずつ侵食していき腐食を与えデモ隊を増やす、だが剣の英雄はそれに気づかないからこそ自分達が邪魔をすれば逆にやられてしまう」
「俺には関係のない話だと思いたい、なぁライム!俺はそんな大勢力と戦えるほど強くない、俺はそんな」
相手は何万と味方がいる中こちらは3人、口論だけでも大人数には負けてしまうのにどう戦えばいいのだろう。
「君はきっと私を悪だと思うかもしれない、だが作戦を伝える、暴食の大悪魔のペットを人質に取ってくれ」
「おい待て待て!そいつはなんかしたのか?」
「大悪魔と共にいることを拒まない、それは罪だ」
今更気づいたがこれは強い思想のぶつかり合いだ、どう伝えても本心は変わらず気に食わなければ壊す、ライムは自分の信じる正義のため動くが大悪魔は野望のため動く、それはどちらも大差ないものだ。
「……もう好きにしてくれ、そんでキーノはどうするんだ?」
「彼は自分と時が来たら行動することにした、どう考えてもこの作戦は上手くいくから安心してくれ」
「フラグ立てんな!でも自信があるのはいいことか、それでも絶対に失敗はしないでくれ」
「それは君の中では願望にとても近く命令である、それほど大事にしたいということは分かったよ」
話は大体まとまったがまず人質がどこにいるのかが分からない、正直いうとそんなことしたくもない。
「まず人質とは自然と仲良くなってくれ、これは長期的な作戦だからカップルにまでなってくれ」
「おいおいおい!なんだよカップルにって!?そいつ人質にするならそんなのいらないだろ」
「館に入るには必ず関係者とじゃないとダメだ、まず付き合い始めたらまた作戦言うよ」
そいつに情なんてできたら人質になんてできるわけがない、まあするしかないからするが世界平和のために悪になるなんて、絶対に嫌だ。
「その前にその人質はどこにいるん?」
「実は〜、それがよくわからなくって〜」
(こいつだけは殺してやりたい)
案外曖昧な計画を立ててこのまま見つけてこい、だなんて言われたら何年経っても見つかるはずがない。
「どうすれb……」
聖堂の扉が開くとメティア達が揃ってきた、フミコもどうやらやっと解放されたようだ。
「あ!メティアさん、あの計画ゴミすぎない?何であれでいけると」
「ええい黙れぇい!」
なぜかユウガは声が出せなくなり強制的に椅子に座らせられ、耳元でこう言われる。
「フミコが標的だって、」
「……!?」
今ままで隣にいたのがそんなヤバいやつだったとは思わなかった、ヤバいとはいえ優しい人に変わりはないが気が引ける。
「ちょっ、どう言うことだライムテメェ!」
魔法が解けて文句を言おうとしたが、聖堂の神像近くにライムがいたはずなのにいつの間にか消えていた、もうわけがわからない!
「ライムって人本当に会ったの!?てか実在してたんだね!」
「……あ、ああそうだ、そうだす……」
(圧倒的緊張感!)
どう接すればいいかわからないので皆がこちらを見ているが、一応気配を消して聖堂を出ようとする。
全員がボケーっとユウガを見ながらやはり捕まった。
「お前ならいける!」
(えー腹立つぅー)
まさかの店長さえもユウガを見捨てたのだった。
「俺は表面だけ幸せな世界でも構わないって、ほら!この国でする事ってまだ何かある?」
「僕達は依頼も狩り尽くしたし……騎士団カツアゲしに行く?」
「やめてやめて!せっかく仲良くなったのに努力を無駄にしようとすんな!」
少し話を聞いただけなのにだいぶ疲れが溜まった、これならまだランニングをしていたほうが疲れない。
「ユウガとライムはいるか!」
今度聖堂の扉を開けたのはなんとチェムネの兄だ、今度は一体どうしたのだろう。
「本当にすまない、今度は腐食が現れてしまって」
「腐食かぁ、見た事ないんですけど俺だけいきます」
「本当ありがとう!メティアが次何かしても拷問で許すよー!」
雰囲気に似合わないグロい事を言うと、兄はチェムネの元まで走りながら連れて行かれる。
「はぁ…はぁ…速いっての」
「死んじゃやだよー!もう私には妹しかないのに……」
(なんか闇がありそうだな)
家に上がってチェムネの部屋を開ける、今度は足がほんの少しだけ腐っているというものだ。
「こ、これなら俺でも」
(そうだ!氷魔法で神経を鈍くして肉を削って、そんで治癒魔法かければいけるな!)
兄はごちゃごちゃ言いながら家から出て行くと、早速ユウガは実行しようとしたがかなり重大なことに気づいた。
(あ、俺治癒魔法も氷魔法も使えません)
考え詰まっている顔をしてどうすればいいか過去の経験を見つめ直す、クソだった。
「ごめんなさい、私家の外には出ていないのだけれど」
「結晶の時の副作用じゃ?知らんけど」
「こんなんじゃ兄の妹として駄目だよね、こんな腐食にも耐えられる力があればいいのに」
魔法がなければ自分は本当に医者でもないのだから何もすることはできないだろう、というときにライムが部屋に入ってきた。
「まさかユウガの働く所の店員さんが、例の人質とはね」
「恋愛経験もない俺には無理難題ですね」
「いやいや!同じ店で働くならそれこそ自然となっていくものだろう!」
別になろうとはしていないのに無理やりすぎるだろと思いつつも今後を考えた、するとライムが突然チェムネの足を何かの魔法で一部切り取ってしまった。
「はぁーう!?」
「はい治ったよ」
新たな足の一部分がなくなったところにピッタリハマると、崩れることなくちゃんと溶接されている。
「よーし帰るぞ」
「さよならー」
かなり簡潔的に終わった、家を出ると兄がすぐに笑顔になって礼もなしに家の中へ笑顔で駆け込んで行った。
「……忘れてたが俺はお前の元で強くなりたいだけで、あんな無理難題こなす気はないからな」
「自信がないならバフをかけてあげよう!」
「いらんて、それに俺みたいなやつに恋愛は無理だ、さっさと強くなる方法教えてくれ」
ライムは実際のところどう転んでも上手く行くと思っているのでため息も吐かずにいた、転移石で勝手に転移させられ連れて来られた場所はまた湖だ。
「ここは何もないからチェムネや一等兵団長がよく鍛錬のためにここへくる、ユウガは彼らほど強くなれるか分からないがならなければ暗殺者の道を行くのがおすすめだ!」
「俺は転生者だぞ?いつかは最強になれるはずだ!そーんな暗殺者とかいうしょっぱそうなのやるわけない」
「のくせして攻撃力全振り命中力マイナス、どこで役に立つ?」
異世界ではどんな人間でも必ず魔力を持っている、どれだけ広範囲な攻撃をしてもそれが遅ければ簡単に避けられる、それに命中力がカスならそれ以前の話だ。
「そもそも君はショートソードよりも小さい短剣を使うべきだがまずは魔法だな」
「もう魔法は諦めてんだけど、なんか使えるのある?」
「スティールとか追撃かなぁ」
「暗殺者にしようとしてんな?」
追撃は知らないがスティールは確か窃盗だかなんだかである、複雑なのは自分の記憶力じゃ覚えられない気がした。
「とにかく追撃だけは覚えよう!……ちなみに魔法か加護どっちで覚える?」
「加護はよく分からないから魔法で」
「珍しっ、じゃあまず追撃現象ってのは文明が栄えてた時代にデモ隊を裏で操る」
「そういうのいいから」
歴史から説明されてもどうせ関係なんてあるわけないのでスキップしておいた。
「魔力剣かそれの類似品でしかできない技でね、とにかくこれで私を切って見てくれ!」
「おーいいぜ!」
憎しみしかなかったので結構本気で渡された魔力剣で腹を切り裂いた。
「自分の魔力を後もう一度同じように切り裂いて!」
「どゆこと?まあもっかい切るわ」
切り傷をもう一度ざっくり切ってみた、すると魔力が軽く光り切り傷に斬撃を何故か与えた。
「これが連鎖反応で起きる追撃ってやつ、でも威力は重ねられるのに全然弱いね」
「だいぶ血吹き出てなかったか?」
「もう治ったよ、格上相手にも少しは抵抗できる技なのに私を怯ませられないようじゃまだまだ」
ライムがおかしすぎるのだがユウガはそれを信じた、自分はまだ未熟すぎる転生者の恥なんだろうと感じた。
「俺はまだ転生して15日程度だ!それでここまで来たなら凄いだろ!」
「他の奴らは固有能力で優越感に浸ってる頃だがな」




