表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

 瑤子にもまた冬がやってきた。あれから一年。夫伸一の夢を継ぐべく、この1年間少しずつ準備をしてきた。事故加害者がきちんと任意保険にも加入していたことと、〈やまヰ〉の顧問弁護士山形佳織の手腕もあって、それなりの賠償金が拠出された。それによって伸一が望んだような1階が店舗仕様で2階が住居の住宅を購入することもできた。飲食店を開店するには、さまざまな手続きが必要なことも初めて知ることになったが、それもすべて山形佳織が準備や手配をしてくれた。

「増井さんっ、こんにちは~」

1階を改装中の店舗に山形弁護士が来てくれたようだ。下から大声で叫んでいるのが聞こえた。2階につながるインターホンを先に付けたほうがよさそうだ。

「は~い、横の階段上がってくださ~いっ」

瑤子も2階から、同じように大声で声を掛けた。

「りょうか~い」

山形佳織の声が聞こえた。

「はい、こんにちは~」

佳織が階段を上がって、居間にしているキッチン付きの8帖間に入ってきた。

「わざわざ、すみません。佳織先生」

瑤子は丁寧に頭を下げて、キッチン横のダイニングテーブルに腰掛けるよう促した。

「いいえ、大したことやってませんから大丈夫ですよ」

佳織は右手を左右に振りながら応えた。

「今日、先日いただいたお店の図面で、保健所に営業許可の申請しておきましたので、問題ないと思いますけど、もうしばらく待ってください。」

「ありがとうございます。何から何まで」

「それとね、これは増井さんに行ってもらわないとダメなんですけど、食品衛生責任者の講習会って云うのがあります。これ資料ですので目を通して、都合のいい日に申し込んで受講してください」

「あらっ、そんなの必要なんですか?」

「ええ、この資料に今月の開催について詳しく書いてありますし、ネットで調べればすぐわかりますので。でも講習会自体は丸一日かかりますからご注意くださいね」

「は~い。了解しましたぁ」

瑤子は子供が面倒臭さそうにするような顔つきで応えながら、すぐに笑顔になった。

「あはははっ、みんな佳織先生に任せっぱなしにしておいて、そんな顔するなって?」

「いいえっ、大丈夫ですっ。これも仕事ですからっ」

佳織も瑤子をちょっと睨んでから笑い返した。

「ほんと、佳織先生には足向けて寝れないです。何にも知らない世間知らずのあたしなんかを相手にして、感謝しています」

瑤子は改めて頭を下げて礼をいった。

「ま、そんなのどうでもいいですから、いま1階見たら改装工事も順調みたいだし、これからが本番ですよ。頑張らなきゃね!私も応援していますのでっ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ