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第7話 魔族の子

 フェアリー差別を無くすにはまだまだ手柄が足りない。

 そこでミモリたちは新たな大陸へと旅立つ…はずだったが。


「ミモリさん。荷物が多すぎて持ちきれません。」


「そうだなぁ、荷物を運ぶための何かがあればなぁ。車とかないの?」


「くるまって何ですか?」


「ないかぁ。じゃあ人手を増やそう。」


「誰か心当たりはあるんですか?」


「フェアリアは守らなきゃだし、そうだ、魔族を救いに行こう!一緒に活躍させて一気に平和に!」


 一部の貧困地域では貧困故に人が売られてしまうところもある。

 ミモリたちはヴァルディア国へ向かった。


「えっと、この穴がヴァルディだったかな。」


 比較的安全なヴァルディア国の首都ヴァルディの奴隷商で奴隷を選ぶ。


「この可愛い子にしよ!魔族にも女の子いたんだ!」


「でも荷物持ちですよね。強い方がいいのでは?」


「いやいや、可愛くないといつもの作戦が使えないし。」


 可愛い魔族の女の子を買った。

 紫色に光る羽と褐色の肌が特徴的だ。


「名前はなんていうの?」


「ない。気づいたらここにいた。」


「じゃあ、『荷物』を『持つ』『者』でニモモで。」


️「可愛そうですよそんな名前。えっと、『ヴァルディア』と『希望』でヴァキアでどうでしょう。」


「えー?ねえ、ニモモとヴァキアどっちがいい?」


「ヴァキアがいい。」


 ヴァキアが仲間になった!

 人間、フェアリー、魔族の3部族パーティーは今までいなかったので少し話題になった。

 だが、フェアリーを連れるな、魔族はパーティーに認めないなどの批判の声も多い。


「よし、これで大陸を渡れるね!」


「はい。丁度フリージュ共和国の港に着く頃に船がありますよ。」


 今いる大陸は中央に位置するセントラルディア大陸で、あと東西南北にも大陸がある。

 フリージュ共和国から行けるのは東に位置するオリエンティア大陸だ。

 大陸に着くまでかなり時間がかかるので船に乗り込んでからはドリンクや雑談で時間を潰そうとする。


「ヴァキア?楽しんでる?」


「べつに。」


「えぇーと、カフェオレ飲む?」


「いらない。」


 ヴァキアがなかなか心を開いてくれない。

 きっかけは荷物持ちだが、ヴァルディアの環境を何とかしたいという意味も込めてヴァキアを連れると決めたのだ。

 ミモリはこれまでの旅のような世界の楽しさを知ってもらうためにもまずは感動を共有する仲間が必要だと思い、諦めずにコミュニケーションをとる。


「新しい大陸に着いたら何したい?」


「どうせ主人の言うこと聞くしかないんだろ。」


 ヴァキアは無愛想にミモリを睨みつけながら答える。

 ミモリが困っていると、ビキカがこんな提案をする。


「そうだ!何かゲームをしましょうよ。共通の話題があれば友達になれます!」


「そうしよう!でもゲームかぁ。ゲーム機とかこの世界にないよなぁ。」


 異世界にもトランプのような国民的カードゲームがあったのでやってみることにした。


「いっせっせーのせっ!」


「アタック。」


「いえ、13だから私の勝ちです。」


「むっ。計算が狂ったか…いや、確かにデベットしたはずだが。」


「どういうルール!?何言ってるのか全然わかんないんだけど!」


 ヴァキアの表情が少しずつ明るくなってきた。

 やはりゲームの力は凄い。


「それにしても…大陸遠すぎない?」


「まあまあ。間もなく5時間過ぎたら着きますよ。」


「5時間は間じゃないの?」


 すると突然船のデッキで大きな音が鳴る。

 海賊が現れたようだ。


「だれか!冒険者様はいらっしゃいませんか!?」


「行こう!ビキカ!ヴァキア!」


 デッキに出てみると海賊は合計5人いる。

 海賊が襲いかかってくると、ヴァキアは鋭い悪魔の爪で攻撃を受け止めた。


「ヴァキアないす!援護するよ!身体強化魔法、パキイア!」


「私は拘束魔法で海賊を捕まえます。拘束魔法、トース!」


 あっという間に海賊たちを制圧していく。

 だが、取りこぼした1人がヴァキアを背後から襲いかかる。


「ヴァキア!危ない!」


「その爪は魔族か。魔族の攻撃方法は対策済みだ。諦めな。」


 唯一の攻撃手段が効かないとなると、ミモリたちの作戦はアレしかない。

 ヴァキアは一旦ミモリの元へ退く。


「ヴァキア!あとは見てて!こういう相手はこうするの!」


 ミモリとビキカは海賊の男を素早く回り込んで抱きついた。


「なっ!何する気だ!」


「さあ。何して欲しい?もっと押し付けてあげようか。」


「おかしいですね。海賊ともあろう方が美少女に挟まれるのが怖いのですか?」


「も、もうやめてくれー!」


 海賊は闇夜の海に消えていった。

 ヴァキアは顔を真っ赤にして指の隙間から覗き見ていた。


「あ、あわわ…。」


「せっかく可愛いんだからヴァキアも出来るよ!一緒に残りの時間練習しよっか。」


「私も手伝います。さあ、ヴァキアちゃん。行きますよ?」


「助けて!」


 ヴァキアはむっちりと練習し、可愛さでやり過ごす術を身につけた。

 そうして、遂にオリエンティア大陸に上陸した。


「着いたー!」


「まずはやっぱり街ですかね。新しい服があるといいのですが。」


「…。」


 ガイドも無いためどこに行けば街があるか分からない。

 とりあえず道なりに進んでみることにした。


「気温はそんなに変わらないけど風が強いなぁ。」


「岩が変な形してますね。」


「風に削られてああなるんだ。それにしても、あてもないのに悠長な旅だな。」


 しばらく進むとミモリの予想通り街があった。

 しかし、城壁のようなもので囲まれている。


「え、入れない!?」


「あなたたちはオリエンティア諸国連合の加盟国の国籍では無いので無許可でこの国を移動できません。」


 最初に着いたのはウィンドールという国で、セントラルディア大陸の国からの侵略を防ぐために移民には警戒している。

 街へはいるには首都、カゼタウンで旅行許可証を取らなければならない。


「首都までは…まだだいぶ遠いなぁ。」


「早速野宿ですか。」


「大丈夫だ。慣れている。」


 強い風が吹く独特な気候で岩が削れてあたりは開けている。

 明かりも少なく、星空がはっきりと見えた。


「ヴァキア!見て見て!星綺麗だよ!」


「ふん。それはダタツ星。怠け者の星と言われている。お前にピッタリだな。」


「ありがとう!ヴァキア、詳しいんだね!」


「それ、褒められてませんよ。」


 ヴァキアは奴隷の時の休憩時間によく本を読んでいたらしい。

 そのへんの人達よりは頭がいいみたいだ。


「いつかあの星にも行きたいなぁ。」


「ちょっと冗談に聞こえないのでやめてください。」


「バカじゃないの。」


 星のように動き回って旅をする美少女たちの物語はまだ終わらないー。

つなぎの話だから短いだけですよ…。

次回からまた文字数書きます!


読んでくれてありがとうございました!

よければ評価、ブックマーク、感想もよろしくお願いします!

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