6 入学式 後編
300pvありがとうございます。
2030年10月2日
俺は気絶するように眠っていた状態から目を覚ます。
もう夕方だ。
やっぱり剣術は楽しい。
そう思える昨日だった。
本来なら、今日は魔物狩りに行きたかったんだけど……まあいいや。
更に戦い方を変えていかなければならない。
あの人は恐らくだが、スキルを一つも使っていなかったのに剣聖スキルを底なしに使っていた俺に圧勝していた。
そう考えると今世でも、道具に頼り切りになりそうだ。
そんなことがあっても良いものじゃあない。
俺自体の実力がないと意味がない。
だったら何をするかと言われれば走り込みなどの体力をつける行為や、残像を作る練習だ。
残像には「陽性残像」と「陰性残像」がある。
光を見た後、その色と同じ色が残像として見える場合を、「陽性残像」と言う。
これは、カメラのフラッシュなど、強い光を見た後に起こりやすい現象だ。
俺たちは普段、モノから反射した光の刺激を、目の奥の網膜にある細胞が感知し、その情報が脳に送られ「像」として処理されることで、モノを見ている。
つまり残像とはその光の刺激が、実際に目の前にモノがなくなった後も、網膜や脳に残っているために起こるものなのだ。(ggrks)
これを利用しようと思う。
前世では、光学迷彩を使うだけで楽勝だったのだが、今世では上位者には魔力の残滓を感じることができるのだ。
要は、強烈な光を浴びせて、そこに魔力の残滓を残すことで騙すこともできるのだ。
鏡の前で練習したいからな。練習するなら森の中だな。
「善は急げ」と思ったのだが、明日は入学式なのだ。
早く眠ろう。腕立て伏せ、背筋、上体起こし、100回ずつに空気椅子10分終わったらだけど。
そうして俺はいそいそと、筋トレを始めるのだった。
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2030年10月3日
ぎりぎり時計が回ったぐらいの頃に何かの気配に目を覚ます。
「誰だ?」
聞いた瞬間、気配を消したかのように感じた。
目を閉じ、神経を一点に集める。
光が全て自分の支配下にあると錯覚するほどの色素が集まる。
俺の体がゆらめく。
その瞬間、奴の眉間を撃ち抜く。
「こ、これは……」
そこには世界最強の生物、Gがいたのだ。(死体)
取り敢えず部屋の外に置いておく。
「し、心臓に悪い。」
そう思い、’走りに行くか’と思って、外に出て、走り込み行くのだった。
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俺はピシッと制服を着こなす。
着られてるかもしれないが……
取り敢えず、シャーリアに「似合ってる」って言われている思わず笑みが溢れたのはご愛嬌だ。
入学式が始まったのだが嫌な予感がする。
こ、これは、途轍もなく長い校長の挨拶では!?
「朝夕の涼しさが心地よい季節となってまいりました。気づけば秋分の日も過ぎ、虫の音に秋を感じる今日この頃は、多くの来賓の皆様、さらに保護者の皆様にご臨席をいただき、ここに本校第四十七回入学式を挙行できますことは、新入生はもちろん、私たち教職員、在校生にとりまして、大きな喜びでございます。
ご臨席の皆様に心からお礼を申し上げます。
ただ今、入学を許可しました250名の新入生の諸君、入学おめでとう。諸君は厳しい入学試験または審査に見事合格し、入学しました。入学に至るまでの努力を称えるとともに、入学を心から歓迎いたします。……簡略」
と、こんな感じで終わった。
(続きは(没)は後書きに書きます。見ないで構いません。)
15分くらいかかったんだが虚無感が溢れてたわ。
「続いて教頭先生挨拶です。クロレス教頭先生、お願いいたします。」
ああ、ディスペラータイムだ。オワオワリ……
「自分は、建設的な話をさせていただきます。
まずここに居るのは、極めて優秀なものたちです。
ただ、残っていいのは才能があるものが努力したものであり、それ以外はここに居る価値もないのです。。
自分も合成魔法の論理を提唱しましたが、最初は誰にも受け入れてもらえませんでした。」
そこで、ざわざわと周りが騒ぎ出す。
そんな話は初めてだしな。
「しかし、当時の校長は認めてくださったのです。
その時自分は居場所が初めてわかったような気がしたのです。
だからこそ他人を色眼鏡で見ずに正しく評価することが最も大切であるのです。」
俺は感動してしまった。
短く、更に建設的な話など初めて見たからだ。
「生徒代表挨拶、サーシャ生徒代表お願いいたします。」
眠りたいっ!校長の挨拶なんて、聞いてるだけで無駄なんだよ!
そう思ってた時期も僕にはありました。
可愛すぎ、感覚鋭敏の視覚鋭敏を使って、一生見つめてるわ。(絶対領域)
心は少年になったんだな……
少し前屈みになりながら話を聞く。
要約するとこうだ。
新入生は序列がもうすでについている。
しかし座学で優れたことを成し遂げたり、新たな発想で更なる強さを得ることを否定してはならない。
常在戦場、常に上を目指し、時には仲間を作り、時には仲間を蹴落とし、生き残っていくことが最も重要なことなのである。
首席の者はそれを維持するための努力をし、その他はそこに追いつけるほどの努力をするべきで、才能の差に嘆くのではなく、その差を縮める工夫をするべきなのだ。
決して、自分がたった一つしか希少属性を持っていなかったり、相性の悪い希少属性を持っていたとしても僻むことなく生きることが重要なのだ。
ふう、眼福。
そんな事はさておき、遂に入学式も終わったんだ。
あれから頻繁に暗殺ギルドに通っているがまともな暗殺依頼がない。
「ねえねえ君、私の前に光魔法売ってた奴だよね?」
「ん?君は?ああ、あの時炎嵐撃ってた麒麟児だよね。更に新入生代表って事は首席なんだよね?
凄い噂になってるよね?で、そんなキミが光属性と剣聖属性という、相性の悪い属性しか持ってない僕に何のよう?」
まず、お前みたいな有名人が俺に話しかけるって事は何か目的があるんだろう?
その目的を言ったらどうか?流石に自惚れかも知れないが、顔が熱くなってるように見えなくもない。
「え、えっとぉ……………そうそうあれだよあれ。
光属性の雨、確か光弾雨だったっけ?
それの炎属性で、出来ない?」
どもりは何だ?と、聞きたいが……聞かないでおこう。
「まあそれくらいなら構わんが。」
「有り難うな。じゃあ。」
……ふう。
「嵐みたいな奴だったなあ。」
そんな感想を残し、何やかんや(これ以外何もない)ありながらも無事教室に入ることができたのだが、
「お義兄ちゃん!一緒の教室だ!でも最上位クラスだよねここ?
凄いよ!私たち2人とも!」
「はあ、俺の場合は、物理魔法部門の試験官の先生である、ラインハルト=エステルさんと戦って貰って、スキルをを使ってない先生に善戦したからかも。」
「凄いじゃん!エステル先生といえば、剣聖属性と魔力量倍加をピンポイントで引き当てた天才なんだよ!」
「魔力操作の練習できれば明日もできるかしら?明日は折角休みなんだし?」
「やだあ!お義兄ちゃんと明日魔物狩りに行くんだもん!」
俺の心労は一生やまない可能性があります。誰か助けてくれ。
「双子の妹なんだったらいつも一緒にいるんでしょ!譲りなさい!」
「血は繋がってないから最近強大になったの!双子じゃないの!」
「はあ!?」