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5 入学式 前編

 朝、俺は目を覚ます。

 いや、未だ夜は明けてはいないが、光属性の魔道具が大量にあるからか、昼間のような明るさに、スイッチを押したらなる。

 体は至って絶好調。

 暗殺業にも半年に一度くらいで十分稼げるからな。

 この世界はとてもいい世界だ。

 人をたった一人殺すだけで、ね。


 体が鈍る可能性もあるし走りに行くか。

 そう思い、扉を開けて走りに向かう。

 走り込みはとても重要なものだ。

 戦いの中で求められるのは体力と、一瞬にしてどれだけ加速できるのかという加速力だ。

 踏み込みを全力で行い、息を止めた状態で全力でどれだけ走れるか。

 これを、剣聖の内在スキルである、脚力強化をしている状態でする。

 この状態は二つに分けることができ、脚力のスタミナを強化するか、パワーを強化するのかを選べるのだ。

 腕力強化も然りなのだがここでは割愛させてもらう。

 脚力強化のスタミナ版とパワー版を使い分ける必要があるのが難があるが、非常に難しいのが現状である。

 幾ら戦い慣れしてきたとはいえ、撃ち合いは基本的にしていない。

 小剣の扱い方は異常に慣れているからこそ、並々ならない速度で吸収できていっているのだ。


 このくらいにして、寮に戻って仮眠をとった後は学生服に着替え、入学式会場に向かうのだった。



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 制服に着替えた俺はぐ〜っと伸びをする。

 今から入学式なのだが、それは名ばかりでクラス分けを行うのだ。

 まあ、入学テストが無かったから、パワーバランスを考えるための指標なのだろう。

 俺みたいに、希少属性2つなんて、ごまんといる。

 そいつらと対等に戦うためにも、普段から鍛えることも重要なのだ。

 暗殺者は基本的にSTRとDEXに特化している。

 VITは捨てているのだ。

 攻撃を受けないことが大前提なのだ。

 受け流すなり、同等の力で弾くなりさなざまなやり方があるが、やはり攻撃を受けてはならない。

 避ける行為自体を剣術に組み込むことにはあまりにも時間がかかりすぎるのだが、剣聖のスキルのお陰かわからないが、イメージしたら簡単に実現可能なのだ。それで、その結果舞のようになっているが……



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 ただ、炎属性がこんなにド派手なんて聞いてない!

 この炎に包まれる的に対する反応に至る前の経緯を説明しよう。



 これは入学式の試練で、的を魔法で攻撃するのが目的なのか。

 皆上手に順繰り順繰りで的を射抜いてゆく。

 工夫は皆しているのだと感じているのだ。

 火属性だったとしても、火弾(ファイヤーボール)を圧縮し、棘の状態にしたものを撃っていたりしている。

 火属性に念力属性纏わせることで、威力を上げている。

 俺はそんなことできない属性だから憧れる。

 そんなことを思いながら、自分の番になる。

 緊張するないつもやっているだろう。

 光属性を圧縮し、分離させる。

 光弾雨(ライトボールレイン)を発動させ、的の中央に降り注ぐ。

 まあ流石にこの程度壊れるわけはない。

 いわゆる広域殲滅型であり、一点特化型ではない。

 この試験は魔力操作と、発動後の精密な肉体から離れた魔力を操ることが重要なのだ。

 そう思い、一つ後ろの番を見る。

 炎属性と、嵐属性だ。

 ……っ!炎と嵐の同時発動を魔力量倍加無しに行うことができるのか!?

 人によって生まれながらに、持っている魔力は違う。

 魔力量倍加を持っていると、さらに顕著になる。

 ただ、持っていないやつはそこまで顕著じゃないはずだ!

 これは、二人で発生させるはずの炎嵐(ファイヤーストーム)!?

 この学園は、一筋縄ではいかないようだな。



 冒頭に戻る。

 威力半端ない。

 相乗効果が激しいものなんだな。

 お互いの効果が2倍ずつになっている。

 これが戦術兵器嵐属性。

 戦いにおいて、嵐属性が幾らいるかによって戦局が決まると言われている。

 その所以は他の希少属性と組み合わせることができるからだ。

 お互いの相乗効果が発揮して、大量に殺害することができる。

 俺も、嵐属性が欲しかった。

 負け惜しみはやめよう……悲しくなっちまう。




 次は、剣聖属性のお試しだ。(試験だろふざけんな)

 そうして、剣士の先生と対峙する。

 大剣使いか。

 こちらは小回りが効くから相対すると有利だが、攻撃を無効は何回か受けることができるのに対し、こちらは1発アウトなのだ。

 前提のVIT(耐久力)と、HPが違う。

 有利が不利かで言うと、どちらでもないと言うべきなのだろうか。

 ‘始め’その合図で俺は駆け出す。

 大剣を弾く。

 くっ、何だこれは……

 威力の桁が外れている。

 これが、スキルの恩恵と年齢の差か。


「ほう、これを短剣で弾くのか!

 よく鍛えているようだな。

 ただ、相当消耗しただろう?

 少し奢っているな?

 もう少しギアを上げるぞ。」


「辞めてくださいよ。」


 必死に懇願しているのにも関わらず、「軽口を言うくらい余裕があるんだな」と、更に力が増す。

 化け物め。

 そう思いながら、相手の攻撃をバク転で躱す。

 身体強化をスタミナから、腕力強化もスタミナから両方ともパワーに切り替える。

 一気に早くなったのに驚かれたのか、少しのけぞっていたがすぐに立て直される。

 スタミナに戻し、背後に回る。

 反応してくるのは以前通りだ。

 ここで剣術強化を施し、小剣2つで大剣を受け止め回し蹴りを叩き込む。

 不味いと思ったのか、硬化を使っていた?

 そして、足を下ろした瞬間、頭突きが飛んできたので、額に硬化を施したが、相手も効果を施していたようで、ただの削り合いになった。


「ふむ、ここまできたなら余裕で合格なのだが、個人で戦いたい。

 お前が最後の奴だしな。」


「分かりました!魔法を使ってもいいですか?」


 重要なことをきいてみる。


「許可する。全力でこい!」


 そう言われた瞬間、両手にナイフを持った状態で詠唱する。


「『圧縮』光線(レーザーガン)


「くっ」


 少し油断していたのか、顔をスレスレに攻撃すると少し出血している。

 ただ俺も魔力が残り少なくなっている。

 パワー版に変更する。

 そして全力で、間合いをなくす。

 片方だけで受けて、もう片方を投擲する。

「っ……!」

 余裕がなくなってきたみたいだ。

 小剣を回収するために足に力を溜めてジャンプして、小剣を無事回収する。

 こののタイミングで魔力が切れて……倒れた。


 直ぐに、回復属性持ちが駆けつけてきて、回復魔法をかけた。

 俺自身が光属性持ちなこともあり、直ぐに体調は良くなった。


「まさか、不意打ちのように一瞬で仕留めてこようとするとはね。」


「ははは、」


 おそらく普段からの癖が出たのだろう。

 いつも速攻で戦いは終わるからこそ長い戦いに、多数の撃ち合いは楽しい。

 ただ、もう楽しめないとなると少し寂しくなるが……もしかしたら、


「お願いがあります。今まで魔物ばかりを狩ってきたのですが実践訓練は初めてなので、これからも訓練をつけてほしいのです。」


「おう!勿論だぜ。」


 ギロって睨まれてますよ。試験官……


「生徒に、『おう!勿論だぜ!』と、タメ口ですか……」


「あ、ああ申し訳ないな。じゃあ俺はこれで」


 逃げるな!卑怯者!


「……」


「……」


「じゃあ僕もこれで〜」


 気まずい雰囲気に耐えられなくなり逃げ出して、入学式のクラス分けを終えたのだった。

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