13 失われた200年の謎と校長 他人称有り
チャイムが鳴る。
次の授業である、古代語だ。
「さあ、授業が始まりました。地理・歴史よりもさらに古代の文献を探すのが古代語の研究者です。失われた200年を知っている方はいますか?」
サーシャが挙手をする。
「はい!失われた200年とは、896年から、1086年までの記録や文献がなくなったことです。一切この世から、記録や文献がどのような場所にもなく、エルフやドワーフなどの長命種たちも一切語らないため、すべてが謎に包まれ、幾人もの古代語研究者命を懸けて探しても、いまでもわからないということです。結局いまでもわからないということです。」
「サーシャさんはエルフで、その若さとはいえ、なかなかに知識をためていますね。その通りです。ただここで大きな問題なのが、唯一エルフが漏らしたことが、『かのダンジョンには行くな。』ということを漏らしたのですがそれを頼りに、多くの冒険者もあまたのダンジョンに挑戦しましたが、Sランクダンジョンのすべては未だにクリアされていないとのことなのです。」
ん?あんなに強い人たちが多いのにもかかわらず?
「この世界にはたくさんの強者がいるはずですが?」
「ええ、ニッケル=ローランドさんの指摘はその通りですが、毎年Sランクダンジョンなどの最奥のボスを倒したときに、落ちる魔物の涙を、龍の器の中に入れることで、たまっていくのです。毎年リセットされるので、いまだに龍の器が満タンまでたまったことは無いとのことです。」
「でも、流石にクリアできるのではないですか?」
それは冒険者が成長したり、初代国王が、がんばったら行けたんじゃないのか?
そんな素朴な疑問がわいてくる。
「まだ未発見のダンジョンがあるのよ。」
「なるほど。」
たしかに、海底が完璧に地図ができてない状態で、海底ダンジョンもあるといわれているこの世界、発見するのは無理だろう。
「前座は終わりましたね。ここから授業は始まりました。」
「「「「「よろしくお願いします。」」」」」
「古代語は、今の現代語とは違います。例文を出すと、『くらす、やしにすを』これは、焼き肉を食べる。と、訳すことができます。あ行、か行、さ行をすべて、さ行に直します。そして、動詞を一番目に出していきます。ここが一番重要で一番大きなルールなのです。母音はあるのに不思議ですね。これも大きな謎です。古代人に直接聞いてみたいですね。」
ふむ、それ以降は現代と同じなのか?
「これは、第一ルールあてはめただけで、第二第三のルールがありますし、単語も今とは違うものもたくさんあります。なので、今から単語帳を配りますね。」
つまり、単語も違ったりすることもあるのか。
覚える単語や物が増えるのは燃えるな。
「冬休み前の、11月の第三週にテストがあるのでそこまでに、100ほどの範囲の中から10個ほどは出しますので、100\10は確実に取れます。なので、古代語の勉強を確実にしておきましょう。」
「「「はい!」」」
・あ行、か行、さ行をすべて、さ行に変える。
・ワ行をヤ行に変える。
ここまでで授業は終了した。
前座の紹介の熱意がすごかったため、半分くらいの授業分は使ってしまったようだ。
今日は午前授業なのでこのようにして、終わった。
***
ギルドメンバーを学校に申請して、ギルドパーティー作った結果、Cランクパーティーと認めてもらった。
なので、Cランクダンジョンの調査というか、お試しをするかと思った。
「びっくりしたけど、いきなりCランクパーティーは珍しいよね。だって、Cランククラスの実力者4人は必要なのだからね。でも、Sクラスはみんなプライドが異常に高いからね。そんな人たちがいきなり組むなんて、常識的に考えてあり得ないんだ。」
「そう思ったんだよ。みんな強いからこそ、ギルドマスターになりたがるんだけど、俺よりも強い人たちが、なぜか俺の下につくのは不思議でしかない。まあついてきてくれるのはうれしいが。」
「お前には生まれつきのカリスマがあるんだろうよ。サーシャがギルドマスターをしたとしても、俺はついていこうとは思わんのだが、こいつにはついていこうと思えるんだ。」
「ねえねえ、ローランド君?私は?」
いくら触れられないからってそれはないだろう?シャーリア?
「おいおい、ギルドマスターにそんなこと言うのかよ!?」
「ふざけんじゃないわよ!」
「シャーリアはちょっと鈍感だからな~」
サーシャが少しかわいそうになってくるな。
そんないじりやすい性格なのか?
後シャーリアにそんなことを言うなんて、たとえ事実だったとしてもそんなことは言ってはダメだろう?
「そんなんだからもてないのよ!」
「それとこれは関係ないだろう。」
「ふぐう……」
「はあ、そこまでにしとけ……
シャーリアが泣いてるぞ。」
そこで喧嘩する、ローリーとサーシャを取り成す。
「好きな女子から気を引こうとするローリーの気持ちも、その気持ちに応えたいとは思いながらもつんつんしちゃうサーシャの気持ちもわからなくもない!」
「「そんなわけない!」」
「自分の気持ちに素直になれよ!」
ああ、めっちゃいい反応してくれるなこいつら。
いいないいな、両者素直になれずにかわいそうだね。
「お、お前、まさか俺たちが相思相愛だと思っているのか......?」
「うそでしょ!?」
「違うのか?」
そういうと同時に二人ともゆでだこのように赤くなって切れてきた。
やっぱりそうじゃないか。
「図星だな~」
「ああ、もう!」
「お、お義兄ちゃんそこでやめときなよね。」
しばらく放課後の喧騒はやまなかったという。
***
校長先生視点
儂は本来寿命がなくなっているはずなのじゃが、最近年を取っている気がする。
普通だとありえないようなことが少しだけ思い当たる節がある。
「ふう、コーヒーは老体に堪えるな。」
「ふふっ、学園長が年を取るわけないじゃないですよ。あなたは賢者ですよ。」
「ああ、そうかもしれんのう。これでも五百年生きとるからのう。わしの力を授けることが可能な、個体属性2つ持っている人間が儂と出会うまでは死んでも死に切れんわい。」
天文学的な数字じゃのう。わしのように、乱数調整しないとそんなことあるわけないのじゃ。初代国王様は、偉大じゃった。
まるで神のような力を儂以外にも、平然と使っていた。
ただ、儂以外の奴らはもうすでに全員死んでしまったがのう。
次代へと託せず、儂にあいつらはすべてを託してしまった。
本当につらいが、もうすぐ儂もこの世からの引き際なのかもしれんのう。
ああ、国王様約束を果たせないかもしれませぬ。
そういえば今代の一年生はどのようなものなのだろうか?
儂の力を託すに至るほどの大きな力を秘めているのだろうか?
「そんな冗談言わないでください。不安になっちゃうじゃないですか。」
そういい、あははと笑う。
彼は純粋に賢者である儂に憧れを抱いているのだろう。
そんな憧れを抱いてもらって申し訳ないが、もうすぐ儂は死んでしまうだろう。
一年生にすべてをかけるか、儂も死に際に奴らのように思い出に残る死に方をしたいものだ。
そう思い、己の過去を巡るのだった。
次回は伏線の大量発生回です。
盛り沢山の伏線を考えるのでもしかしたら、午後になってしまうかもしれません。




