10 大剣狼討伐
本日投稿二本目です。
俺はポーションを飲んだため、MPは全回復しているから、特に問題はなく戦闘を再開することができた。
しかし、大剣狼も全回復していたため、非常に扱いにくい状況だ。
そこで出てくるのが、劣化神獣だ。
「おいおい、大剣狼さんよぉ。全然追いつけていねぇじゃねぇかよ!」
ほぼ爆速というような速度で、劣化神獣が走っているため、大剣狼も気が散っているようだ。
そして俺は、
「身体強化 パワー版!腕力 脚力!」
身体強化の両方をパワー版に移行して爪に傷をつける。
さっきと比べてギルドマスターが、ダメージディーラーの役割をしてくれているから、大剣狼も消耗しているようだ。
「ふんぬう!」
剣聖スキルと、炎属性で魔剣の大剣を、軽々と振り回し大剣狼にダメージを与えている。
そして、遠距離アタッカーである、シャーリアが火の玉を三ケ所同時に攻撃しているところに援護してくれるからさらに攻撃が通りやすくなっているのだ。
なので早いペースで爪を二本ほど折ることに成功する。
「キャシャキャイン」
剣がぶつかるような悲鳴を上げている。
今までかみつくと振り回すくらいしかやってこなかったこいつが、いま、突撃しようとしている。
「みなさん!突撃しようとしていますよ。」
そういった瞬間、シャーリアの前に移動する。
予想通りにシャーリアの前に突っ込んできたため、相手の牙に剣で切り込みながら、めだまに光線百連撃を打ち込む。
そして、シャーリアがいなくなったことを確認し、無理やりその場から離れる。
そのまま木に突撃していき、木が豆腐のようにあっさり切れる。
「そこにいっとあぶねえぞ!」
そう聞いた瞬間後ろを確認すると。巨大な火の玉を二発用意した、ギルドマスターと、火の玉を三発用意した、シャーリアがいた。
そう聞いた俺も、そこをどいて光玉雨を用意する。
「いくぞ!せーの!」
その言葉を皮切りにどんどん魔法がそこに突っ込んでいく。
そして、大剣狼立っているのもままならなくなり回復しようとしたところに俺が、ナイフを五本ほど投擲する。
そして、大剣狼は討伐されたのだった。
***
「久しぶりの大仕事だったな。」
ギルドマスターはそう答える。
ギルドマスターになる条件は、
・Sランク冒険者であること。
・危険区域レベル5から生還したことが2回以上あること。
・希少属性を二つ所持していること。
この3つだ。
この条件は、Sランク冒険者になれば、自然と達成されるものが多いため、実質Sランク冒険者になったら、ギルドマスターになれるのだ。
引退した冒険者にとっては大仕事だっただろうと内心勘繰る。
「本当にありがとうございました。魔術の訓練感覚できたはずが、ここまで大ごとになるとは思ってもおらず……」
「はっはっは!Sクラスに入学できたとはいえ、いきなりこのようなことが待ち受けているのはとても大変だっただろうな!」
「もう本当に……」
他愛もない会話をしながら、一応Cランク冒険者になっていたことを思い出す。
「おおお、久しぶりの大物解体だ。運がいいな!お前ら!」
要は、いくらギルドマスターとBランク冒険者が救援に向かったとはいえ、Aランクモンスターを討伐するのは難しい、といったところだろう。
それに、大剣狼の剣は、優秀な剣になってれるそうだ。
まあ、愛剣を持っている俺は浮気はしないが、暗殺の時の投擲用の短剣は持っておいて損はない。
それに、湾曲した刀も欲しいから牙をもらおうかな、なんて考えながら返事を行う。
「イヤー本当にそうですね。解体お願いします。
牙一本と、短めの剣5つほど、それ以外は降ろします。」
「またこいよー」
そういわれた俺は疲れた様子で冒険者ギルドから出ていくのだった。
「暗殺者ギルドに行って、よさげな依頼出てないか確認してきますか。」
誰にも聞こえないようにそうつぶやくと、シャーリアが不思議そうにしたため、「シャーリアは先に帰ってて」といい、鍛冶屋にも行くことを決める。
***
「すまねぇ、大剣狼の牙と毛の加工と鍔をつけてくれ。
金貨3枚だ。」
材料代は鍔のみだし、このくらいが妥当だろう。
「おう、お前さんみたいなひょろがりが大剣狼を討伐して護身用の武器を持つってか?そういうのはお断りだよ!」
「あ?こちとら魔剣士なんだが?武器が資本だから、ここにきたんだが?俺の短剣見せてやろうか?入手先は絶対に教えないけどな。」
「ん?短剣を持っているのか?なら、毛は何に使うんだい?」
当たり前の質問が飛んでくる。まあその質問は順当だろう。
だって短剣か投擲用にしか使わないと思っている。
で、短剣をすでに持っているとなると、使い道がなくなるからだ。
「これを見ろ」
「な!?これは!?ものすごい光沢だ。それにこれは相当高純度な鉄?いや鉄ではない何かを相当特殊な方法で練り上げた代物だ。ぶつぶつ……」
短剣を見せた瞬間衝撃に体をよじらせてまで、いろんな方向から見ようとしてくるから、一瞬一歩身を引いてしまう。
「これでだいじょうぶか?」
そう聞くといい笑顔で返される。
「俺もまだまだだと知ったさ。これを機に最高の形で仕上げてやんよ。」
「それは助かる。」
「ふっふっふ」
「あっはっはっは!」
二人でひとしきり笑いあったのち、次なる目的地へ向かうのだった。
***
暗殺者ギルドとは、王家や貴族も依頼したり、召し上げようとしたりするため、表向きでは非公認であったとしても裏では存在を許されているのだ。
そもそもギルドとは、『集え冒険者』というクランから始まったもので、そのクランの下にいろいろなクランが付き始めたため、上限人数などを無視した、大きなクランになり総勢1000人を超えたあたりからは、冒険者ギルドと呼ばれていた。
そしてそこに入ってクランを作れば依頼者との仲介や買取、その他もろもろをやってくれるということになったおかげで、その冒険者ギルドに入りたいクランが続出した。
そこから、冒険者になるにはそのクランに入ってなければならないという風潮が出来上がっていたのだという。
そんなことはさておきぼろいと感じる暗殺者ギルドの中に入る。
「この依頼を受けたい。」
俺が指をさしたのは、Cランク冒険者の大狼の牙の暗殺依頼だ。
「了解。」
そういい暗殺者ギルドを出る。
ここはバーなのだが、それは表向きのカモフラージュだ。
そのため、カクテルを二本飲んですでに俺は泥酔状態だ。
「帰って寝よう。」
無事帰宅できた頃には、すでに次の日になっていたのだった。
ブクマと星5つください『乞食』