閑話休題 二人の弁護士の通話記録
閑話休題。
今回は二人の弁護士によるサブストーリー。
ボロボロの建物が事務所の商売ベタな弁護士と、
東京の一等地に事務所を構えるやり手弁護士だ。
二人は大学の法学部からの親友同士であり、互いに事務所を開いてからも交流は続いている。(もっとも、二人ともただの腐れ縁と言って否定しているが。)
閑話休題 二人の弁護士の通話記録
『お前は本っ当に、金にならねー仕事ばっかりよこしてくるよなー。』
『アホかー!弱者のために力んなったることが俺らの仕事の醍醐味やんけ!』
『お前らしいっちゃお前らしい考え方だよな。』
『まあ、確かに、俺はクソ貧乏生活や。今日もスーパー玉出で、もやし買うたったわ。』
電話でのやりとりは、いつもこんな感じだ。
東京で稼ぎまくるコイツは、忙しいとか言いつつもなんだかんだ協力してくれる。
『ところで、この前のシングルマザーはどうしてる?』
『おう。息子さんと元気にやっとるみたいやで。』
『東京にいる元旦那はどんなもんや?』
『風の噂だけど、少しは真面目に働くようになったらしいな。』
人間である以上、誰もが間違いを犯す。
しかし、取り返しのつかないことをしてしまったと気づいた時には、本当に大切にしたいものを失っていることだってある。
DVをしてしまったことについて、元旦那はこれからも後悔と懺悔に苦しむことになるだろう。
それでも、ようやくだが真っ当に生きる道を模索し始めている。
『そんなあなたに花束を』、最近メジャーデビューしたロックシンガーの曲が、町中を優しく包み込んでくれている気がした。