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真っ当(まっとう)  作者: ミチナリネルネル
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第一話 ロックシンガー

『真っ当』一 仏教では、悪人が改心し、正しい道をあゆむことという意味で使われていた。


しかし、今作では、『人が正しく生きようすること』を真っ当と呼ぶことにする。


第一話 ロックシンガー


昨晩も単独ライブを成功させた。


近く、メジャーレーベルのスカウトからも声がかかりそうだ。


だが、現状は音楽だけでは食べていけない。


打ち上げの二日酔いも残っているが、コンビニのバイトで生活費を稼がなければならない。


使い古したケトルでお湯を沸かし、いつものホットコーヒーを作る。


『やっぱり、悟堂が最高だな。』


この悟堂は、戦国時代から続くインスタントコーヒーメーカーで、今でも国内トップシェアを占めている。


このインスタントコーヒーは、利休と言う偉人が考案したらしいのだが、彼がどのような人生を送ったのかについては、現代でも解明されていないらしい。


ところで、最近はミュージックシーンでは、やはり女性アイドルソングが幅をきかせている。


彼女らは踊って歌いながら(口パクだけど)、恋だの愛だのと訴えている。


でも、よく考えて欲しい。


彼女らの曲を作っているのは、自分が叶えることができなかった青春時代を今でも引きずりまくって拗らせている、キモいおっさんだ。


彼らの作る曲の正体は、そこからくる『願望』ってやつだろう。


ふと、アイドルやってる子たちを見ると、踊っているというより、相変わらず、そのおっさん達に踊らされている感じがして気の毒でならない。


一方で、それでもアイドルが好きだと言える人はまあ、それもいいんじゃないかなと思っている。


人の好みはそれぞれだと思うからだ。


だけど、納得いかなねーことが一つある。


『アイドルは恋愛禁止』とか言うクソルールだ。


そもそも、恋愛経験が積めない奴に恋愛ソング歌われても説得力ねーし、客を感動させることなんかできねーんじゃねぇのか?


どうして、本人達の恋愛を大切にしてやれねーんだ?


この前、恋愛が発覚したアイドルの女の子がネットや握手会で誹謗中傷を受けていた。


なぜ、運営側は彼女を庇ってあげないのだろう?


なぜ、相手の男は体を張ってでも

彼女を守ろうとしないのか?


結果、そのアイドルの娘は精神的に追い込まれ、

丸刈りになって動画配信サイトで謝罪していた。


人を好きになることは、人として普通のことだ。

だから、本当はそんなことしなくていいのに…。


周りも、本人の恋愛を当たり前に喜ぶことができる一一

それが、真っ当な社会ってもんじゃねぇのか?


俺は、過去を引きずるおっさんの『願望』による被害者がこれ以上生まれないことを切に祈っている。


え?それじゃあ、お前に何ができるのかって?


そりゃたしかに、俺がやってるロックンロールは万人ウケはしないし、このミュージックシーンを変えられる力はねー。


だけど、俺は、自分の魂を込めた歌をライブハウスで全力で奏でてきたんだ。


そして、ライブに来てくれた皆んなが明日も純粋に生きていこうって思って帰ってくれればそれでいい。


今の流行りへのささやかな抵抗かもしれねーけど、

こんなカタチの真っ当があってもいいだろ?


あ、やべぇ!バイトに遅刻する!


それじゃあ、いつかライブハウスに来てくれよ!

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