百九十九話
男は小さくつぶやいた
そして俺たちの方をちらりと見る
「お前らが今の勇者か フーン」
その男は興味なさげに俺たちを見る
「一人は俺と対等に戦えそうなやつもいるが、あとは雑魚ばっかだな ま、これからどうなるか見ものだな」
そう言って去ろうとする
俺は急いで呼び止める
「あ、あの あなたの名前を!」
「名前? 知ってどうするんだ」
「いえ 何をするってわけじゃないですが」
「まあいい お前とはまたどこかで会いそうな気がするから教えておいてやるよ 俺はシン この世界で最強の男だ!」
そう言い放ち、シンと名乗った男は壁に空いた穴から出て行った
俺たちのすること もう無くね!?
「か、帰りましょうか」
「そ、そうだな いつまでもここにいても何も無いしな」
「ん? あそこに何かあるわよ?」
ルナが魔王の玉座の下に何かが落ちているのを見つけた
拾い上げると、それは魔王そっくりのぬいぐるみだった
かなり精巧に作られている
「だめええ!!」
柱の陰から大声で聞こえた
声の主は小さな女の子だった
角が生えており、見た目は魔王そっくりだ
「これは私の物なの! 触らないで!」
その女の子はそう言って出て行ってしまった
「何はともあれ、魔王はいなくなったことを、王様に報告しないとな」
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次回で一章は完結します