百七十九話
俺は声が大きくなるほうに耳を澄ませる
「ここか」
声は壁の中から聞こえるようだ
俺は自分の剣を振りあげ、壁に突き立てる
壁はもろく、あっけなく崩れた
壁が崩れ煙が舞う
「隠し部屋か! 全く厄介なことをする奴だ」
壁の中から扉が現れた
声はこの中から聞こえる
俺は大きく息を吸いこみ、扉に手をかける
扉はロックされておらず、簡単に開いた
「ルナ! それにレフコンまでいるじゃないか!」
扉を開けると、そこには椅子に縛り付けられたルナとレフコンがいた
白龍のレフコンまで拘束するなんてイーリスは何者なんだ?
「今外してやるからな」
俺はルナとレフコンを縛っていた鎖を剣で断ち切る
ついでに口にかまされていた枷も外す
「ぷはあ! 勇者、無事だったのね!」
「勇者殿! ご無事で何よりです!」
ルナとレフコンがそれぞれ言う
感動の再会を喜びたいところだが、今はそれどころじゃない
ここから脱出するのが最優先だ
「ルナにレフコン 体に異常はないか?」
「見た感じ何もつけられてないわね」
「体をいじられたような感じもありません」
ただの時間稼ぎだったのか 真の目的はあいつにしか分からない
とにかく動けるなら問題はない
「急いでここを出るぞ! これから何かが起こるとも限らない」
次回も読みたいと思ったら評価の方よろしくお願いします