百七十四話
「さて、君はこれからどうしたい?」
「帰してほしい、と言っても帰してくれないんだろ?」
「分かり切ってることを聞くなよ 水臭い」
どうすれば 今この場所には俺とイーリスの二人しかいない
ルナやレフコンも今はいない
俺一人の力でどうにかするしかないんだ
「さあ 覚悟は決まったかい?」
「……分かった お前が俺に何をしようが俺は屈しないからな」
「フッ その威勢もいつまで持つかな」
そう言いながら、イーリスは両手をこすり合わせる
何かされる寸前まで、俺は打開方法を考えていたが何も思い浮かばなかった
特に今 拘束されている時点でできることが少ない
イーリスの手が俺の中に入っていく
確かに他人の手が入っていく感覚は何とも言えないむず痒い感覚だった
「ほう この感覚に耐えるとは、さすが勇者というところか」
イーリスは感心したように言う
これぐらいで弱音を吐くような男じゃない
イーリスは俺の中に手を入れ、しばらく何かを探していた
しかし、どこか焦りが見え始めている
「どこだ どこにあるんだ!!」
目的のものを見つけられなくて、焦っているのかもしれない
俺の中の何を探しているのだろうか
「どうしてお前は持っていないんだ! 勇者なら持っていて当然じゃないのか!」
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