百五十三話
「とりあえず、一通り街を回ってみよう 運が良ければ先代の勇者の手を借りずに、五石を見つけることができるかもしれないしな」
「そうかな?」
もちろんそんなことはないと分かっている
それに知らないことは知っている人に聞くのが一番なのは分かり切っている
時間つぶしか はたまた本気で探しているのか 今の俺には分からない
俺達は何の目的もなしに街をグルっと一周した
しかし、先代の勇者の言う通り何も進展はなかった
もう一回だけ五石について聞いてみたが、同じ反応が返ってきただけだった
「ほら 最初から先代の勇者のことを聞いておけばよかったんだ」
「そう言うなよ これで本当に何の心配もせずに先代の勇者についていけるだろ?」
俺達は先代の勇者のもとに戻った
先代の勇者は、俺達と別れた場所と全く同じ場所にいた
「戻ったか 収穫はあったか?」
「いえ 特には」
「はは そうかそうか それじゃあ行こうか」
先代の勇者は軽く笑って言った
この人にとって俺達はどのように見えているのだろう
先代の勇者はどこまで行くのか俺達に告げず、先々進んでいく
何も言わないのが、さらに恐怖を煽ってくる
「どこまで行くんだ?」
「心配か? 安心しろ ちゃんと五石のある場所に案内してやるから」
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