百十九話
足跡が続いていた家に、俺達は足を踏み入れる
レフコンも女性の姿で一緒についてきている
「この街はどこか変だ 勇者殿もそう思わないか?」
「そうだな 街にしては静かすぎる」
家の中からも人の気配はしない
足跡は、つい最近ついたもののように見えたのだが
どんどん奥へ進んでいく
それでも人の気配はしない
「何か変な匂いしない?」
「そうか?」
ルナが何かを感じたようだ
よくよく嗅いでみると確かに異様な匂いがする
「ゆ、勇者殿! あれを!」
レフコンに言われ、その方向を見る
そこには赤い液体が垂れ流れていた
「勇者! 行こう!」
「ああ、そのつもりだ」
俺達は不穏な空気を感じ、急いでその場所に向かう
そこには確かに人がいた
その人は、かろうじて息をしていた
その人の頭を、何者かがガッシリとつかんでいた
その何者かは、その人の頭を乱雑に離した
「おやおや こんなところにまで人がやってくるとは」
「お前は、キリリス!」
「名前を覚えておいてくれたなんて嬉しい限りだ」
キリリス ペレジネと一緒にいた魔王軍の幹部だ
まさかこんなところにいるなんて
「ここで何をしてるんだ」
「別に 大したことはしてねえよ ちょっとした調査だ」
「調査? 何のことだ?」
「今は知らなくていい事だ」
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