百十四話
「みなさーん! こーんにーちわー!」
出てきたのはやたらと元気のいいおっさんだった
魔導師でも間違うことがあるんだな
「冗談はいいですから 本物の先代の勇者を連れてきてくださいよ」
「だからいるじゃないか 君の目の前に」
何をバカなこと言ってるんだ
今 目の前にいるのはサングラスをかけた太っちょのおっさんだぞ!?
何処にも先代の勇者はいないじゃないか
「勇者よ いい加減現実を見たまえ 今君の目の前にいるのが先代の勇者だ」
「ば、バカな!? こんなおっさんが先代の勇者なはずがない!」
トーリアの言うことを否定する
俺は認めない こんな勇者がいるだなんて
俺はこの人を探していたのか?
「おっ 君は勇者じゃないか 世界を救うために日々修行しているか?」
おっさんが話しかけてきた
今の俺にはただのおっさんにしか見えない
でも、受け入れるしかないのか
「は、はい 一応日々鍛えています」
「そうかそうか おいらも昔はお前みたいに輝いていたなあ」
「は、はあ」
先代の勇者は話し始めた
仲間を連れ、魔王討伐の旅に出たこと
途中、砂漠の守り主に殺されそうになったこと
そして、一緒にやってきた仲間を犠牲にしながら、魔王の元へたどり着いたこと
俺達が知らないことまで話してくれた
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