百三話
テロスは俺をバカにするかのように言った 腹が立つ言い方だ
「魔王様が封印されるわけないじゃんか! お前たちは先代の勇者に封印されたとか言ってるけど、そんなことないからな 魔王様はとんでもなく強いんだ! 勇者なんかに封印されるわけないじゃん!」
やっぱりそうか 魔王の幹部が言うのだから間違いないのだろう
ならなんで嘘の話が世界に広まっているんだ?
「他は? 僕は何をすればいいんですかあ?」
急に敬語になった
テロスはさらにおびえた目で俺の方を見る
「いや、そのままいてくれるだけでいい お前は囮として使う」
「お、囮ですかあ!?」
テロスはものすごく悲しそうな目で俺を見つめている
こいつを囮にすれば、もっと上のものが釣れるかもしれない
しばらく様子を見ることにしよう
ルナの魔法で他の人から見えないようにした
魔王の幹部がいれば大騒ぎにもなるだろう
やがて、俺達を案内してくれた女性が夕食を持ってきてくれた
見た目だけで、おなかがいっぱいになりそうだ
「当旅館のすべてを詰め込んだ最大級の夕食でございます どうぞごゆっくりとお楽しみください」
「あ、ありがとうございます」
女性は俺達に一礼し、去っていった
俺たちの目の前には豪華な食事だけが残された
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