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志保と不思議な夏休み  作者: 碧川亜理沙
一章
6/34

変わった友だちと変わった街③


 土地勘がない志保は、少し先を歩くひまりの後ろをついて歩いていた。

「まずはかげやを拾いに行くね!」

 どこへ向かうのかと尋ねたところ、そんな答えが返ってきた。

 疑問しか浮かばない志保を他所に、ひまりは軽い足取りでどんどん道を進んでいく。志保はただただその後ろを着いて歩いた。


 時間にしたら10分も歩いてはいないだろう。

 ひまりは、1軒のお店の前で立ち止まった。

『アダチ商店』

 薄れかかった看板にはそのように書いてあった。


「かげや! 連れてきたから、一緒に行くよ!」

 大声で叫びながら中へと進んでいくひまり。志保はその後に着いていく。


 店の中は、駄菓子からおもちゃ、隅には文具まで、様々な種類が置いてあった。品数は多いとは言えないけれど、あまりみないようなおもちゃが置いてあったりと、少し興味をそそられる。


 お店の中をぐるりと見ながらひまりのところへ行くと、彼女の前に椅子に座った大人しそうな少年がいた。

「お前……うるさい」

「あー、まぁたお前って言った! それに、志保ちゃん誘ったら、かげや迎えに行くって言ったじゃん! 何で家にいないの!」

「家で待ってるなんて誰も言ってない……」

「へりくつ! でもいいもん。ひまりは、かげやがどこにいても分かるもんっ!」

「だから、うるさい……」


 ──正反対。

 まだ出会って数十分だけれど、志保はこの2人を見てそう感じた。

 すごく元気が良くて明るいひまり。片やかげやと呼ばれた少年は、猫背で長めの前髪のせいで暗くみえるのに加えて、話し方も気だるそうだ。

 それなのに、この2人の顔はどことなく似通っているところがある。


「はい、かげや、こちら志保ちゃんです! 志保ちゃん、こちらはかげや。ひまりの双子の弟です!」

 少年との口げんかを終え、ひまりはかげやと志保にそれぞれ紹介する。

「双子、なんだ」

「そうだよ! ほんのちょっとひまりのほうが産まれるの早かったから、ひまりがお姉ちゃんなのです!」

「だから、うるさいって……」

 先ほどからちょくちょくと口げんかが挟まれるけど、それでも彼らの仲はいいのだろうと雰囲気から伝わってくる。兄妹のいない志保は、正直その関係が少し羨ましいと思ってしまった。


 2人の口喧嘩がある程度おさまった所で、志保はこれからどうするのか尋ねる。

「えっとね、志保ちゃんに村を案内するけど、さすがに今日全部案内するのはできないから、少しずつ案内していくね」

 かげやを無理やり立たせながら、ひまりが答えてくれた。


「まずは、ここからね! 子どもたち皆がお世話になってるアダチ商店です! お菓子やおもちゃ、文房具まで揃っているから、ちょっとしたものなら何でもここでそろっちゃうよ」


 体いっぱい使って説明するひまり。その口調は言い慣れているのか、とても流暢だ。

「アダチさん……あ、お店の人ね。だいたいこの時間はいつもお昼寝してるから、用事がある時はおっきな声で叫ぶか、直接起こしに行かないとなかなか来ないから気をつけてね」

 どおりで、先ほどから割と大きな声で喋っているにも関わらず、店員が表に出てこないと思った。

 ──……誰もいなくて大丈夫なのかな。

 建物内にいるとはいえ、店のほうに誰もいないのは防犯上大丈夫なのだろうか。ついそんな事を考えてしまう志保であった。


 簡単な店の紹介が終わると、ひなたは店を出て左へと歩いていく。

「ほんとはね、住職さんやゴトさんのお家に先に行きたかったんだけど、なんか今日は用事があって家にいないって言うから、違うところから案内するね!」

 志保は住職さんもゴトさんも誰のことかさっぱりだが、いずれ教えてもらうのだろうと思い頷くだけに留めた。


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