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志保と不思議な夏休み  作者: 碧川亜理沙
一章
5/34

変わった友だちと変わった街②


 朝食後、後片付けを手伝おうと思っていたが、碧が「志保ちゃん、ゆっくりしてていいよ」というものだから、それ以上手伝うとは強く言えなかった。

 その後、祖父が病院に行く日だと言うことで、しばらくして祖父と碧は家を出ていった。


 手持ち無沙汰になってしまった志保は、テレビを付けてみたけど、特におもしろそうな番組はやっていなかった。

 諦めてテレビを消し、早めに終わらせてしまおうと、部屋から宿題を持ってきた。


 ──図書館でたくさん本借りてくればよかったかも。


 読書感想文のための本は持ってきていたけれど、この状況が続くようならもっとたくさん本を持ってきた方がよかったかもしれない。


 大人しく宿題を進めていると、これが思ったよりも捗る。

 暑いので居間の窓は網戸にしており外の音は聞こえるのだが、それが思っているよりも気にならない。

 セミの鳴き声がいい感じにBGMとなっていて、寂しい感じは全然なかった。


 なので、祖父にお昼だと声をかけられるまで、いつ祖父が帰ってきたのかも気づかないほど、集中していたようだ。

「志保はエラいな。あっという間に宿題なんて終わるんじゃないか?」

 確かに、宿題のドリルはもう3分の1ほど進んでおり、思ったよりも早いうちに終えてしまいそうだ。


 一緒に出かけていた碧の姿が見えなかったので尋ねてみると、また夕方に来るのだそうだ。


 お昼は貰い物でたくさんあるという素麺を茹でて食べることになった。

 祖父の負担にならないようにと、志保が主だって準備を進める。

 料理はよく父と一緒に手伝ったり、時には志保が振る舞うこともあったので、基本的なことはできる。

 といっても、素麺は茹でるだけなので、そこまで大掛かりなものでもないが。


 30分もすると、2人にしては少し量が多くなってしまった素麺が大皿いっぱいに盛られた。

「茹ですぎたかも」

「余ったら夜も食べるから気にするな。それにまだまだダンボールに余ってるんだから」

 台所のすみにあったダンボールの中身は、全て素麺だったが、確かに祖父や碧が食べるにしてもかなりの量があった。

 夏休みの間のお昼ご飯は、毎日素麺かもしれない──と内心思ってしまった。


 祖父とぽつぽつと話しながらお昼を食べ終え、休憩がてらテレビを見ていると、「おじちゃーん!」と元気な女の子の声が聞こえてきた。

 お客さんかと思い、志保が立ち上がろうとした時、外から居間のほうに女の子が走って来る。

「おじちゃん! 約束通り来たよ!」

 バンっと網戸を勢いよく開けたその子は、志保と歳がかわらないくらいの、髪を2つに結わえた少女だった。


「ひまり、そんなに強く網戸開けたら外れちまうだろ。この前だって、外したの、忘れたか?」

「あ、ごめんなさい」

 素直に謝る少女は、困惑している志保を視界に捕えた。

「だあれ?」

 志保も同じことを思い、祖父へと視線を向ける。

「私の孫だよ。志保、この子は近所に住んでるひまりだ。確かお前と同じ6年生のはずだよ」

「志保ちゃんって言うの? わたし、ひまり! よろしくね!」

「し、志保です……」

 あまりの元気さに、少し気後れしながら名前を名乗る。


「ねぇねぇ、ここに来たばかりでしょ? ひまりがこの村を案内してあげる! おじちゃん、いい?」

「そうだなぁ。志保、行ってきたらどうだ? 家の中にずっといるのもつまらないだろう?」

 祖父の勧めには嫌ともいえず、それに正直やることもなかったので、志保はひまりと言う少女に案内を頼むことにした。


 玄関にまわって靴を履く。

 先ほど祖父が手渡してくれたくたびれた麦わら帽子を被って外に出ると、むわっと夏の暑さが志保を包んだ。

 家の中ではクーラーはつけていなかったけど、そこまですごく暑いとは感じなかった。それなのに、1歩外に出たとたん、夏の暑さが容赦なく襲いかかる。それでも、祖父から渡された麦わら帽子のおかげで、少しはましなのかもしれない。


 縁側に回ると、すぐにひまりが気付き、志保の所へやって来る。

「じゃあ、志保ちゃんをお借りしまーす!」

「おじいちゃん、行ってきます」

「夕方のチャイムが鳴ったら、帰ってくるんだぞ」

「はーい」

 2人して返事をしながら、志保たちは外へと向かって行った。


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