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志保と不思議な夏休み  作者: 碧川亜理沙
三章
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夜道の影と思い出めぐり⑥


 無事に街に着き、街灯に照らされたかかしが視界に入ると、本当に帰ってこれたという安心感があった。

 ひまりとかげやも、会話はしていたけど、道を辿るのにかなり集中していたようだから、少し疲れているようにも見える。


「今、何時なんだろう」

 3人とも時計なんて持ち歩いておらず、最後に時間を確認したのは、最寄り駅を出た18時頃だ。

 あれからかなり道に迷っていた気がする。

 街にも時計はあるが、かなり家から離れた小さい公園にしかないので、かかしのいる場所からは確認のしようがない。


 志保がぽつりと辺りを見渡しながら呟くと、隣でひまりが大きく肩を揺らした。

「ひまり?」

「な、何時なんだろうねー。まだ7時前とかそのあたりとか!」

「とっくに過ぎてると思う。9時……前だとは信じたいけど」

 あきらかにひまりの挙動がおかしい。

 志保がそれとなく尋ねようとした時だった。



 ──誰かの視線を背に感じた。


 それはひまりもかげやも同じだったようで、2人ともピタッと動きを止めた。

 誰かにじっと見られている。まさしく今、その言葉通りに、視線が志保たちに刺さっている。


「後ろ、振り向かない方いいかも」

 かげやがぽつりと言った。

「危険じゃないけど……や、危険って言うか、不気味な奴らだから、このまままっすぐ家に帰れば問題ないから」

 不安しか煽らない言葉を聞きながら、そのままいつも通りの岐路を辿る。


「……ね、ねぇ、後ろ、何か着いてきてない?」

「気のせい気のせい気のせい」

 先ほどからずっと視線を感じている。移動していても、その視線はずっと背中にはりついたままだ。


 少し小走り気味に歩いていたので、3人とも少し息が上がっていた。

 そして、道途中でT字路にあたる。

 ──いつまで着いてくるんだろう。

 かげやに見るなと言われていたけれども、さすがにここまでついてくるものは何なのかと、振り向きたい欲を抑える。


 このT字路で、ひまりとかげやとは家の方向が違うため別れることになる。

 けれど志保は、今から1人で家まで帰るのに心細さを感じていた。それにずっと追ってくるこの視線がまだ続くかもしれないと思うと、正直怖い。


「……もう少し先まで一緒に行っちゃだめ?」

 志保はおずおずと尋ねた。このT字路の少し先、次の通りまで行っても、少しだけ遠回りになるが家には帰れる。

「それは、いいんだけど……」

 かげやが少し言いにくそうに答える。

「あれは、家着くまでずっと着いてくると思うから、どこで別れてもあんまり変わらないぞ?」

「え、そうなの? 家まで?」

「そうなんだよ……。てかさ、志保ちゃんはあれに遭遇するの初めてじゃん。さすがに1人で帰すの可哀想だよ。ひまりたちもギリギリまで一緒にいたほうよくない?」

「俺はそれでもいいけど、お前、震えながら言うんじゃねぇよ」

 すごくありがたい申し出ではあったけど、そう言う本人の顔がかなり強ばっている。

「だ、だって、ひまり、あれ凄く怖くて嫌なんだよ、かげや知ってるじゃん!」

「耳元でさわぐなうるさい。だから、大人しく帰ろうって──」



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