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志保と不思議な夏休み  作者: 碧川亜理沙
三章
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夜道の影と思い出めぐり⑤


「まずこういう時、いつもの道順からどこがどう変わったかさえ分かれば、ある程度の予測はできる」


 かげやは、地面に石で矢印をいくつか書いていく。

「ひまり、いつのも道はこれで合ってるよな?」

「……うん、合ってる」

 志保は2人が何について言っているのかよく分からなかった。

「ねぇ、これは何?」

「えっとね、街に着くまでに曲がる角の向きと数。ひまりたちはね、こうやって街に着くまでの道を覚えるんだ」

 なるほど、と志保は納得しながら改めてその矢印を眺める。


「さっきはこの順番で進んで……ここか? ここで迷ったんだっけ」

「多分、その次の次……あたりで、違うって気付いたはず。でも最初は違和感なかったから……そうなると、間違った所より手前、でもそんなにはじめの方じゃないところから変わったのかな」


 ひまりとかげやが2人で話し込む傍ら、志保はこのまま帰れなかったらどうしようと思った。

「……志保、大丈夫か?」

 そんなに不安の色が出ていたのだろうか、かげやが心配そうに尋ねる。志保は大丈夫と返すけれど、その頷きは弱々しい。

「慰めになるか分かんないけど、俺たち……というか主にひまりのせいで、こういうことは何度かある。だから、帰れないってことはないから安心しろ」

「ちょっと、そのうち何回かはかげやのせいでもあるじゃん!」

「お前に比べたら全然少ないだろ」

「うぇー、志保ちゃん、かげやが夜だから更に意地悪だ〜」

 そう言って志保に縋るひまりとかげやの応酬を見ていると、いつも通りの2人に、思わず笑ってしまうくらいには余裕が出る。それに彼らとなら何とかなるだろう、そう思えるのだから不思議だ。


 気持ちを新たに、ひまりを先頭に改めて薄暗い道を進んでいく。かげやが途中途中口を挟みながら、慎重に、でも迷うことなくどんどん進んでいく。

 街についての知識が足りない志保へも、ところどころで説明をしながら歩く。




 ──どのくらい時間が経ったのだろう。

 体感として、かなり長い時間歩いている気がするが、実はそうでもないのだろうか。さすがに足も痛くなってきた。


「あー、疲れたお腹すいたぁ」

「ひまり、うるさい。今のところいい感じなんだから、邪魔しないで」


 今のところ、進んでいる道は問題ないらしい。

 志保もひまりと同じことを思っていたけど、口には出さないでいたら、予想通りひまりから発せられた。

 ひまりを宥めながらも、2人が進む後をついて行く。


 そして、ついに──。


「……あ、ここ、見覚えある」

 さっきまでは似たような景色が続いていたけれど、ここに来て、志保も確実に通った覚えのある場所に出た。

「……ふぅ、なんとか抜けられた」

「もう大丈夫……なの?」

「うん、ここから先はいつもの道だから、大丈夫!」


 ひまりのその言葉に、志保たちは思わず顔を見合わせてハイタッチをしていた。

 まさかのハプニングがあったけれど、なんとか街に着くことが出来た。志保は心の底から安堵した。


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