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志保と不思議な夏休み  作者: 碧川亜理沙
三章
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夜道の影と思い出めぐり④


 浅草は楽しかった。

 観光名所から、ひまりとかげやおすすめの穴場スポットなど、たくさん教えてもらった。

 そしてそれだけでは飽き足らず、電車に乗って少しだけ離れた場所まで繰り出した。




 思い切り楽しんだ3人は、帰りの電車を待っていた。

 いつもの17時のチャイムが鳴らなかったため、時間の感覚が分からず、17時過ぎていることに気づいてから急いで帰るところだった。


「もう5時過ぎちゃってるし、電車遅れてるなら、1回電話したほうよかったかな……」


 ホームには、学生や仕事終わりの大人たちが、遅れてくる電車を待っている。普段電車に乗らないが、かなり人が多いのは間違いない。


「大丈夫だって。もうすぐ電車来るだろうし、暗くなる前だったら、なんとかなるよ」

 さすがに遊び疲れたのだろうか。昼間より少し落ち着いたひまりが答える。かげやも大丈夫だと言うのだから、おそらく問題ないのだろう。

 子どもだけで遅くまで遊ぶことをあまりしてこなかったからか、志保は内心すごく落ち着かない気持ちだった。


 ──でも、ひまりもかげやもいるし。


 そうこう考えているうちに、電車はやって来た。遅れているといっても、15分20分くらいなので、そこまで遅くならずに家につけるだろう。

 そう思うと、志保は少し落ち着いた心持ちで電車に乗り込んだ。





 数時間ぶりに、浅草に戻ってきた。


 ひなたの家の近くの通りから街に入るということで、志保は2人に着いていく。

 街に入るには、入り組んだ道を通るが、その道は定期的に変わるらしい。あらかじめその兆しがあると、住民たちに事前に知らせが行く。そして、その役目を担っているのが、ひなたとひかげなのだそうだ。


 疲れたからか口数少なく、ひまりとかげやの後を着いていくこと数十分──。

 ひなたの家の近くの道に入ったあとから、3人は永遠と続く薄暗い路地に不安を覚え始めていた。


「ひまり、ここさっきも通らなかったか?」

「……やっぱり? 見間違いじゃない?」

「私も何となくだけど、ここさっき通った気がするよ」


 志保はどこをどう通ったかは覚えていないが、それでも先ほど通った際にもあった置物が電柱近くにあるのを見つけた。


「……ひまりたち、迷子になってる」


 これ以上迷わないように、いったん足を止める。

 あたりもほぼ暗くなってきており、街灯の灯りが目立ち始めてきた。

 聞いたことがない、ひまりの焦った声に志保は余計に不安になってきた。


「あー、こうなったら入口まで戻って誰かに聞くか……」

「ひなたさんたち、今日夜いないって言ってたよ? それに誰も通らなかったらどうしようもないし……」

「だとしても、一旦このまま迷うよりは、1度入口まで戻る方がいいと思う」


 かげやの言葉に、志保もひまりも同意し、3人は元通った道を戻る。

 戻るにしてもまた迷うのでは……という志保の心配は他所に、呆気なく見覚えのあるひなたの家が見える場所まで戻ってきた。


 だが、ここから街へどうやって帰ればよいのだろう。

 志保はまだこの街のことを完全に理解しているわけではない。特に街へ行くための、路地は1人で行き来できる自身はないのだ。


「ど、どうしよう……」

 そうなると、必然的にひまりとかげやに頼るしかなくなる。だけどその2人も、今回ばかりは少し焦っているようだった。


 そんな間にも、時間はどんどん流れていく。

 気付けば、日は完全に落ちきっていた。


「とりあえず、じっとしてても意味ないから、一か八かで進もうと思う。別にこういうこと、俺らは初めてじゃないから、なんとかなるとは思う」


 珍しく饒舌なかげやの提案に、志保とひまりは頷く。

「その上で提案だけど、この道をもう一回進んでみるか。それか、もう1つの道を試してみるか。どうする?」

「もう1つの道……?」

「あのね、入口は何ヶ所かあって、かげやが言うもう1つは、多分神社の裏道に出るとこのことだと思うよ」

 ひまりに補足してもらい、話し合った結果、このままもう一度この道を進むことに決まった。


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