7 2日目
トレーニングルームには、リズの言っていたバランスボール、ランニングマシン、エアロバイク、ダンベルとかがある。
名前が分かったのはそれぐらいだったので、他のトレーニングマシンについては入口に置いてあった説明書をパラパラと読んだ。ステアクライマー、チェストプレス、バタフライマシン、などといった名前のマシンがあった。
トレーニングルームにある機械を見たあと、制服をめくって体のあちこちを見てみた。僕は自分で自覚していたよりもガリッガリ。
この状態でトレーニングをすると体を壊してしまう気がする。下手したら骨が折れるか内蔵が潰れる!
まずは体力とかそれ以前に普通の体型に戻さないと、他のことには取り掛かれないことが分かった。
まず僕はこれまでの10年間でちゃんとした食事ができてない。摂取カロリーが少なすぎる。
逆にプラスに考えてみれば、僕はエネルギーを少しでもできるだけ蓄えるようになっている。お姉ちゃんや両親のことを考えてみれば、本来の僕は食が細いわけではない。
ここでの食事に慣らしていけば、多少時間はかかってもガリッガリ状態からは脱することができると思う。詳しくは専門的な知識がないから分からないし、僕の思っていることは間違ってるかもしれないけど…。
トレーニングルームに置いてあった筋トレに関する本を読み漁ってみる。ほとんど…というか多分全部が今の僕では出来ない事だった。腕立て伏せとかも腕の骨が折れてしまう気がするほどだから。
いつの間にか10時半になっていたので、慌てて2階に移動して食堂に向かう。
ノーラと昼食を作る約束をしているからだ。
「来たかしら。…あ、そういえばエプロンを持ってないわよね?先に物置部屋へ取りに行きなさいな」
「うん!」
物置部屋へ行って、自由に取っていってね!と書いてある箱の中から質素な黒色のエプロンを取り出した。
少し僕には大きかった。
食堂の奥には、キッチンエリアがある。食堂の方から見える設計になっている。
かなり広くて、5人ぐらいが自由に動き回っても窮屈ではない。手を洗うと、ノーラの隣へ行った。ノーラはすでに準備バッチリで、ボウルでお米を洗っている。
その後、なにかの機械…多分、お米を炊くためのもの?に入れた。機械を3つ使ってお米を炊くらしい。
お茶碗何杯分になるのかは僕にはよく分からなかったけど、かなり多いと思う。
「何を作るの?」
「朝でストックが全て無くなってしまったから、色々作るのよ。クリストファーは、何が出来るのかしら?包丁は持てる?」
「も、持ったことないよ…!」
「じゃあ、包丁を使う料理はわたくしに任せるかしら。そうね…サラダ、スクランブルエッグ、ソーセージ、カレーをお願いするわ」
「…うん!任せて!」
喋っている間にノーラが包丁が必要なところは全てやっていた。ニンジンは切り終わっていなくて、それは自分で頑張ってみたいとお願いしたから。
包丁の持ち方をノーラに教えて貰って、手に痛み止めの魔法をかけたから切っても痛くないしすぐに治せるかしら、と言われたので安心して切る事が出来た。
不格好になってしまったけど、ノーラが誰も見ていないし身内のようなものだからいいのよ、と言ってくれた。
そのあとでサラダを作り始めた。トマト、キャベツ、きゅうり、コーン、ニンジン、ブロッコリーを入れて、ゴマのドレッシングをかける。畑で取れたものは美味しいから、それだけでいいらしい。実際朝食べたサラダはすごく美味しかった。
そして、ポテトサラダを作り始めた。ノーラが卵を一瞬でゆで卵にできる魔法(???)を使ってゆで卵を用意してくれた。じゃがいもを茹でて、湯切りした後で水分を飛ばしながらじゃがいもを潰していく。さっきのサラダで使わなかった野菜と卵、こしょうと…まよねーず?っていうのを加えてよく混ぜた。
味見をしてみて、ノーラからオッケーが出たのでどちらのサラダも完成した。料理なんて初めてだけど、教えて貰ったら案外すんなりとできてしまったので驚きだ。
ついでに「卵を一瞬でゆで卵にできる魔法」とかいうノーラオリジナル(学園のみんなは習得済み)の魔法を教えて貰ったら、僕でもできてしまった。
すごく嬉しいけど、初めて成功した魔法がこれなの!?って笑ってしまった。
次にスクランブルエッグ。ポテトサラダのじゃがいもを茹でるっていう作業が、一番知らないことばかりで驚いてしまったけど、慣れてくると料理はすごく楽しいと思えるようになった。
卵、牛乳、マヨネーズを混ぜたものをフライパンに乗せて、固まってきたら菜箸でかき混ぜた。これも1回で成功できて、すごく嬉しい!
多めに作っといてくれると助かるかしら、とノーラに言われたのでスクランブルエッグを量産する。作れば作るほど上手になる感じがして、楽しい!
それにしてもマヨネーズってなんだろう?ポテトサラダやスクランブルエッグで使ったものだけど、僕には何でできているのかよく分からなかった。でも、美味しそうだ。
ソーセージはフライパンで焼いた。たくさん焼く必要があったから手が疲れたけど、菜箸が使えるようになった。電気がなんちゃらかんちゃらのやつを使っているから、僕でも使いやすい。火だと怖いと思っていたから、火傷の心配がなくて安全らしい。
そして、カレー!僕は食べたことがないけど、美味しいやつなんだって。ノーラがもう全部作り終わっていたから、手伝ってもらいながら作った。ルーっていうやつを入れるとカレーになるんだって。
完成したのが11時半くらい。1時間で机の上にズラッと並べられるぐらいの料理を作れたのが驚きだ。
ノーラに聞くと、キッチン周りの時間を歪めてあるから実際には短時間でたくさん料理が作れるらしい。この学園は見かけこそ古い感じだけど、中は改造してあるのが多くて過ごしやすい。
参考にさせて頂きました。
https://smartlog.jp/184776