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4 始まり

 僕とベンは、ケビンに連れられて元来た道を戻っていく。

 物置部屋を出て、食堂を通り、階段をおりていく。さらに学園の正面玄関から見て右の方へと歩みを進めていく。

 ここだよ、と案内されたところには恐ろしく達筆な文字で風呂と書いてあった。…誰が書いたんだろう?


 天井からぶら下がっている不思議な布…青色と赤色に別れていて、青色の方が男性だと教えてもらった。

 この布には一体なんの意味があるんだろう。


「こっちこっち〜。シャワーと、温泉とがあるけど…どっちがいいかな?」


「お、温泉で…!」


 個別のシャワーか、温泉かで迷ったけどシャワーなんて使ったことないからと温泉を選んだ。

 水だけで出来るだけ汚れを落とす方法は知ってても、シャワーとか石鹸とかは分からない。

 ベンに使い方を教えて貰った。珍しく魔力を使わないやつらしくて、雨水を除菌して地下に貯めてそれを使ってるとか言ってたけど、僕には仕組みがよく分からなかった。


 温かい水なんて久しぶりで、体にこびりついた汚れを落とすのに時間がかかってしまったけど苦じゃなかった。

 石鹸とかシャンプーとか使って、絡まって毛玉になってしまった髪の毛を切って、温泉に入って休む。

 なんだか前にもそんなことがあったような気がしたけど、多分それは赤ちゃんの頃の記憶かな?母親が、僕が喋れるようになるまでは大切な赤ちゃんとして扱えって言ってたらしいから。それ以降は、人として扱うなという意味だけど。


 ここのシャワーも風呂も、ケビンが作ったらしい。服だけじゃなくて色んなものを作れるんだなあって感心してると、実はこの学校のほとんどはケビンが作ったって聞いて驚いた。

 僕は、ここで何が出来るんだろう。僕に出来ることなんてあるのかな。



「そんなにね〜、焦らなくてもいいんだよ〜。ここには悪い人なんていないから」


「ベンの言う通りだよ、クリストファー。まずは君はここの生活に慣れることから始めたらいい!ここにいる人たち全員とはまだ会ってないよね?」


「うん。まだ他にも人がいるの?」


「いるよ〜。みんな、自分の好きなことを好きなだけやってるんだよ〜」


「学校なのに、それでいいの…?」


「えーっとね、大人になってここを離れたかったらそれでもいいけど、多分俺たちはここを拠点にして生きてくことになると思うからね。国はここの存在を忘れているし、だから自給自足できるように俺たちは頑張ってる。獣医って仕事もさ、名前だけでなんもやることないんだよ」


「獣医はね〜、たまにここに紛れ込んだ動物や魔物が怪我したら治すだけ。治すって言っても、悪化防止するのと原因を取り除くぐらいで、あとは…この学園の近くにある森に、神獣がいるから話し相手になるぐらい」


「神獣がいるの?」


「そう。でも、旅が好きな神獣だから、いつ来るかわからない。色んな場所に行ってるんだよ」


「…なんだか、楽しそう」



 風呂を終えて、ケビンさんに渡された制服と下着に着替える。ドライヤーなんて使ったことなくて、まだ自分では使いこなせないからベンに手伝ってもらった。

 ありがとう、とそう言うと嬉しそうに笑ってくれた。


「そういえば、小屋の屋根が壊れちゃったんだよね〜。ケビン、直し方分かる?」


「壊れちゃった?あの小屋を改造したいと思ってたからちょうどいいね。小屋は任せて」


「ほんと?ありがとう〜」


 今はもう夕方になっていた。お風呂場を出ると、そのまま入口へと向かって、外に出る。暗くなる前に外の紹介してしまおうね〜、とベンが言っていた。


 学校の門をくぐってすぐにある小屋には、草刈機とか薪とかが入っていた。屋根を簡易的に直してしまいたいから、と言ったケビンとはそこで別れる。

 何から何まで本当にありがとうと礼を言うと、嬉しそうな顔をされて、また夕食の時にね!と言われた。


 学園は森を切り開いて建てられた感じで、ぐるっと森に囲まれている。森には魔物がいるけど、怖がりなのが多いからそんなに気にしなくていいらしい。たまに果物を取ってきてくれるんだって。

 愛玩用として改良された動物しか見たことがないから、魔物がいるってことに驚いた。

 動物は、魔物を人に慣れさせたもののこと。魔力をあまり持っていないか、全然ない。魔物は、人に慣れていないことがほとんどで魔力を持っているもの。

 国の中心部に近づくほど、魔物の数は少なくなってくる。



 その次に見たのが、畑。小麦や米を作っていてのがほとんどを占めていて、たまにトマトとかキャベツとかがある。気候や土などの条件が同じなのに、本来なら別の気候で作るはずのものを一緒に作れるのが不思議に思った。


「それはね、先生の友達の人に貰った種でできた作物で…えっと〜、遺伝子組み換えってやつなんだよ。だから同じ土地で作れるようになってるんだ〜。もちろん体に悪影響はないし、農薬も使ってないよ〜」


 遺伝子組み換えっていうのは確か、隣の国が得意とすることだった気がする。ベンの言った「先生」は隣の国の人に友達がいるのかな?



 まだ他にもあるらしいけど、もう暗くなってしまったから帰ろうとベンに促されて学校へと入る。

 ケビンに貰った外用の靴を棚にしまって、さっきは来客用スリッパで移動してたけど、こちらもケビンにもらった学校内ようの靴に履き替える。

 外で農作業とかすることが多いから、学校を土とかで汚さないようにするためらしい。


 そして、僕達は階段を上り2階に行き、食堂へと向かった。

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